
はじめに:遺品整理の期間は状況によって大きく変わる
故人を亡くした悲しみの中で、遺品整理をいつまでに、どれくらいの期間をかけて行えばいいのか悩んでいる方は少なくありません。遺品整理にかかる期間は、遺品の量や家の広さ、誰が作業を行うかによって大きく異なります。
ご自身たち遺族だけで行うのか、専門の業者に依頼するのかによっても、必要な時間は全く違ってきます。この記事では、ご自身の状況に合わせて遺品整理の期間を見積もれるよう、自分でやる場合と業者に依頼する場合の日数を徹底比較します。あわせて、期間内にスムーズに終わらせるためのポイントも解説しますので、故人との思い出と向き合う大切な時間を、後悔なく進めるための参考にしてください。
【状況別】遺品整理にかかる期間の目安
遺品整理を始めるにあたり、まずはおおよその期間の目安を把握することが大切です。ただし、ここで紹介する期間はあくまで一般的なケースであり、故人の生活スタイルや物の量によって大きく変動します。
「思ったより時間がかかってしまい、退去日に間に合わない」「相続の手続きが遅れてしまった」といったトラブルを避けるためにも、ご自身の状況と照らし合わせながら、余裕を持ったスケジュールを立てるようにしましょう。ここでは「間取り」と「故人の家の状況」という2つの視点から、具体的な期間の目安を解説します。
間取り別の期間・日数目安
遺品整理にかかる期間を考える上で、最も基本的な指標となるのが家の間取りです。部屋の数や広さが分かれば、必要な作業時間や人員をある程度予測することができます。ここでは、作業に慣れていない方がご自身で行う場合を想定し、協力する家族や親族の人数も考慮に入れた期間の目安をご紹介します。
ワンルーム・1Kの場合(作業人数1〜2名)
ワンルームや1Kの遺品整理は、比較的物が少ない場合が多く、期間の目安は1日〜3日程度です。自分ひとり、あるいは二人で作業しても、週末などを利用して完了させることが可能な範囲でしょう。
ただし、収納スペースに物が詰め込まれていたり、故人が収集していた趣味の品が多かったりすると、想定以上に時間がかかることもあります。まずは部屋全体を見渡し、どれくらいの物量があるかを確認してから具体的な作業計画を立てることが、スムーズな整理への第一歩です。
2DK・2LDKの場合(作業人数2〜3名)
2DKや2LDKになると部屋数が増え、家具や家電も大型になる傾向があるため、期間の目安は2日〜1週間程度を見ておくとよいでしょう。家族や親族で2〜3名の協力者がいれば、効率的に進められます。
例えば、「この部屋はAさん、あちらの部屋はBさん」というように役割分担をすると、作業がスムーズに進みます。もし週末しか作業できない場合は、完了までに数週間から1ヶ月以上かかる可能性も考慮し、早めにスケジュール調整を始めることが重要です。遺族間での協力体制が、期間を左右する鍵となります。
3LDK以上・一軒家の場合(作業人数3名以上)
3LDK以上のマンションや一軒家の場合、期間の目安は4日〜2週間以上かかることも珍しくありません。部屋数が多いだけでなく、押し入れやクローゼット、屋根裏、物置、庭など、確認すべき場所が多岐にわたるためです。
全ての遺品を把握し、仕分けるだけでも相当な時間と労力を要します。計画的な作業スケジュールと、3名以上の十分な人手の確保が不可欠です。肉体的・精神的な負担も大きくなるため、無理をせず、遺品整理業者への依頼を本格的に検討するのも有効な選択肢となります。
故人の家の状況による期間の違い
間取りが同じでも、故人の生活状況によって遺品整理にかかる期間は大きく変わります。特に注意が必要なのが、「遺品の量」と「家までの距離」です。これら2つの要因は、作業の負担を増やし、期間を大幅に長引かせる可能性があるため、事前に状況を正確に把握しておくことが大切です。
遺品の量が多い・ゴミ屋敷状態の場合
故人が物を大切にする方であったり、収集癖があったりした場合、遺品の量は膨大になります。いわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれるような状態であれば、整理期間は1ヶ月以上、ときには数ヶ月に及ぶことも覚悟しなければなりません。
このようなケースでは、単純な整理作業だけでなく、不用品の分別や処分に膨大な時間がかかります。また、ゴミの中に貴重品や相続に必要な重要書類が埋もれている可能性もあり、一つひとつ慎重に確認する作業が求められます。自力での対応は非常に困難なため、専門の遺品整理業者に相談するのが賢明な判断と言えるでしょう。
遺品整理を行う家が遠方にある場合
遺品整理を行う家が遠方にある場合、通うだけでも大きな負担となり、期間が長期化する一因となります。週末や連休を利用して集中的に作業するしかなく、完了までに数ヶ月から1年以上かかるケースも少なくありません。
交通費や滞在費といった金銭的な負担に加え、限られた時間で作業を終えなければならないという精神的なプレッシャーもかかります。無理なスケジュールは、心身の疲弊や親族間のトラブルにつながりかねません。このような場合は、現地の遺品整理業者に依頼することで、時間的・身体的・精神的な負担を大幅に軽減できます。
【徹底比較】自分でやる場合と業者に依頼する場合の期間の違い
遺品整理を進める上で、まず決めなければならないのが「自分たちの手で行うか」それとも「専門の業者に依頼するか」という点です。この選択は、遺品整理にかかる期間を大きく左右します。単に日数の長短だけでなく、それぞれにメリット・デメリットが存在します。ご自身の状況や故人への想い、かけられる費用や時間などを総合的に考え、最適な方法を選ぶための比較情報としてお役立てください。
自分で遺品整理を行う場合にかかる期間
前の章で間取り別の期間目安を「数日〜数週間以上」と紹介しましたが、これはあくまで作業そのものにかかる時間です。実際に自分たちで遺品整理を行う場合、トータルの期間はさらに長くなる傾向にあります。
なぜなら、親族とのスケジュール調整、不用品の処分方法の調査、自治体の粗大ごみ回収日を待つ時間など、手を動かす作業以外の時間も多く発生するからです。特に、遠方に住む親族との日程調整が難航したり、処分方法が複雑なものが出てきたりすると、作業は中断しがちになり、数ヶ月単位で時間が経過することも珍しくありません。
メリット:費用を抑え、故人を偲びながら整理できる
自分たちで遺品整理を行う最大のメリットは、業者に支払う費用を大幅に抑えられることです。発生するのは、ゴミ袋代や粗大ごみの処分費用、交通費など実費のみです。予算に限りがある場合には、非常に大きな利点と言えるでしょう。
また、故人の遺品一つひとつに触れながら、家族や親族と思い出を語り合う時間は、何物にも代えがたいものです。自分たちのペースで作業を進めることで、故人を偲び、悲しい気持ちを整理していくための大切な時間を持つことができます。
デメリット:時間と労力がかかり、精神的負担も大きい
一方、デメリットは心身への大きな負担です。仕事や家事で忙しい中、遺品整理のための時間を確保するのは容易ではありません。特に遠方に住んでいる場合は、移動だけでも大きな労力がかかり、期間は長期化しがちです。
また、遺品を前にして思い出がよみがえり、悲しみで手が止まってしまうことも少なくありません。「これは捨てられない」という気持ちから判断が鈍り、作業が進まないという精神的なつらさは、経験した人でなければ分からない大きな負担となります。
遺品整理業者に依頼した場合にかかる期間
遺品整理業者に依頼した場合、作業そのものにかかる期間は驚くほど短くなります。家の広さや物の量にもよりますが、プロのスタッフが複数名で対応するため、ほとんどのケースで1日〜3日程度で作業が完了します。
問い合わせから見積もり、契約、そして実際の作業まで、非常にスムーズに進行します。遺族は、作業当日の立ち会いと、最終確認を行うだけで済む場合が多く、拘束される時間は最小限で済みます。事前の準備や後片付けの必要もほとんどありません。
メリット:短期間で完了し、精神的・肉体的負担が少ない
業者に依頼する最大のメリットは、時間的・肉体的・精神的な負担から解放されることです。短期間で全ての作業が終わるため、賃貸物件の退去日が迫っている場合や、相続手続きを早く進めたい場合に非常に有効です。
また、不用品の処分や買取、貴重品の捜索、供養、ハウスクリーニングまで一括で請け負う業者も多く、遺族がやるべき作業を大幅に減らせます。故人との別れで疲弊した心身を休ませたいと考える遺族にとって、大きな支えとなるでしょう。
デメリット:費用がかかる
業者に依頼する場合の明確なデメリットは、費用がかかることです。料金は部屋の広さ、遺品の量、作業内容、必要なスタッフの人数などによって変動し、数万円から数十万円、遺品の量が膨大な場合は100万円を超えるケースもあります。
ただし、遺品の中から価値のあるものが見つかれば、買取によって費用と相殺することも可能です。業者を選ぶ際は、必ず複数の業者から相見積もりを取り、料金体系やサービス内容をしっかりと比較検討することが、後悔しないための重要なポイントです。
【結論】どちらを選ぶべき?状況別の判断基準
これまで見てきたように、自分で行う場合と業者に依頼する場合、それぞれに一長一短があります。「どちらが正解」ということはなく、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。以下の表を参考に、ご自身やご家族がどちらのタイプに当てはまるか考えてみましょう。
自分でやるのがおすすめな方 | 業者に依頼するのがおすすめな方 | |
---|---|---|
時間 | 時間に十分な余裕がある | 時間がない、早く終わらせたい |
費用 | 費用を最優先で抑えたい | 費用より時間や労力を優先したい |
距離 | 整理する家が近所にある | 整理する家が遠方にある |
物量 | 遺品の量が少なく、分別が容易 | 遺品の量が多い、ゴミ屋敷状態 |
協力者 | 手伝ってくれる家族・親族がいる | 人手がまったく足りない |
精神面 | 自分のペースで気持ちを整理したい | 精神的な負担を少しでも軽くしたい |
遺品整理の期間が長引く主な原因とリスク
「最初はすぐに終わるだろう」と思って始めた遺品整理が、気づけば数ヶ月も経っていた、という話は決して珍しくありません。遺品整理が計画通りに進まないのには、いくつかの共通した原因があります。そして、その期間の遅れは、単に片付かないという問題だけでなく、さまざまなリスクを発生させることにつながります。ここでは、遺品整理が長引く原因と、それに伴うリスクについて解説します。
なかなか終わらない3つの原因
遺品整理の期間が想定より長引いてしまう背景には、物理的な問題だけでなく、遺族の心理的な状態も大きく影響します。特に多くの方が直面する、作業を停滞させてしまう3つの原因を見ていきましょう。
1. 精神的なつらさで手が止まってしまう
遺品整理は、単なる「物の片付け」ではありません。故人が大切にしていた衣類、趣味の道具、写真一枚一枚に思い出が宿っており、それに触れるたびに悲しみがこみ上げてくるのは当然のことです。
「これを捨てたら故人が可哀想だ」「まだ使えるのにもったいない」といった気持ちが生まれ、捨てる・残すという判断ができないまま時間が過ぎてしまうのです。この精神的なつらさが、遺品整理が長期化する最も大きな原因の一つと言えます。
2. 相続人・親族間で意見がまとまらない
遺品は、法的には相続財産の一部です。そのため、相続人全員の合意なしに勝手に処分することはできません。この過程で、親族間の意見が対立し、作業が完全にストップしてしまうことがあります。
例えば、「誰が何を受け継ぐか(形見分け)」「価値のある品の分配方法」「整理にかかる費用の負担割合」などで揉めてしまうのです。事前に相続人全員で話し合いの場を設け、進め方やルールを共有しておかなければ、深刻なトラブルに発展し、期間も大幅に延びてしまいます。
3. 処分方法の判断に時間がかかる
いざ遺品を分別しても、その処分方法が分からず作業が滞ることも多いです。家具、家電、衣類、食器、仏壇など、品目によって処分方法は異なり、自治体のルールを調べたり、専門の回収業者を探したりするのに手間と時間がかかります。
特に、テレビや冷蔵庫などのリサイクル家電や、個人情報が含まれるパソコンなどは、法律で処分方法が厳しく定められており、安易に捨てることはできません。こうした複雑な処分の手続きが、作業全体の遅れにつながります。
期間が長引くことによる4つのリスク
遺品整理を先延ばしにすることは、気持ちの問題だけでなく、金銭的・法的なデメリットに直結します。時間が経てば経つほど、さまざまなリスクが高まることを理解し、計画的に進めることが重要です。
1. 賃貸物件の家賃など不要な費用が発生する
故人が賃貸アパートやマンションに住んでいた場合、遺品整理が終わって部屋を明け渡すまで家賃や管理費は発生し続けます。整理が1ヶ月遅れれば、その1ヶ月分の家賃を無駄に支払うことになり、金銭的な損失に直結します。これは駐車場やトランクルームの契約でも同様です。
2. 相続放棄(3ヶ月)の期限を過ぎてしまう
故人に借金などのマイナスの財産があった場合、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行えば、借金を相続せずに済みます。しかし、この手続きには「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という厳しい期限があります。
遺品整理が遅れ、この期限を過ぎてから借金の存在が発覚した場合、原則として相続放棄は認められず、多額の借金を背負うリスクがあります。
3. 相続税申告(10ヶ月)の準備が間に合わない
遺産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税が必要です。この期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。
遺品整理が進まないと、預貯金や不動産以外の「価値のある美術品」や「骨董品」などの財産の全体像が把握できません。その結果、税理士への相談が遅れ、申告準備が間に合わなくなる可能性があります。申告が遅れると、延滞税などのペナルティが課されることもあります。
4. 空き家の劣化や犯罪リスクが高まる
故人の家が持ち家だった場合、長期間放置するとさまざまな問題が発生します。人の出入りがない家は、換気不足によるカビや湿気で急速に傷み、資産価値が下落します。
また、庭木が伸びて隣家にはみ出したり、郵便物が溜まって人のいないことが明らかになったりすると、不法投棄や放火、空き巣といった犯罪の標的になるリスクも高まります。これは近隣トラブルの原因にもなりかねません。
遺品整理を期間内に終わらせるための5つのポイント
遺品整理が長引く原因やリスクを避けるためには、事前の準備と計画が何よりも重要です。ここでは、心身の負担を減らし、期間内にスムーズに遺品整理を完了させるための具体的な5つのポイントをご紹介します。これらを意識するだけで、作業の効率は大きく向上し、後悔のない遺品整理につながります。
1. まずは遺品整理のスケジュールを立てる
行き当たりばったりで遺品整理を始めると、作業が中途半端になったり、何から手をつけていいか分からなくなったりして、かえって時間がかかってしまいます。まずは「いつまでに終わらせるか」という完了目標日を決め、そこから逆算してスケジュールを立てることが重要です。カレンダーや手帳に、「○月第1週:貴重品の捜索」「第2週:部屋ごとの仕分け」といったように、大まかな作業計画を書き出すだけでも、やるべきことが明確になります。
2. 相続人・親族全員で事前に話し合う
遺品整理における最大のトラブルは、親族間の意見の食い違いです。作業を始めてから揉めることのないよう、開始前に必ず相続人全員で話し合いの場を設けましょう。全員が集まるのが難しい場合は、電話やオンライン会議などで意思疎通を図ることが不可欠です。
- 遺品整理をいつから始め、いつまでに終えるか
- 誰が作業に参加し、どのような役割を分担するか
- 形見分けの進め方やルール
- 処分費用や業者への依頼費用を誰がどう負担するか
- そもそも業者に依頼するかどうか
これらの点を事前に共有し、全員の合意を得ておくだけで、後のトラブルを格段に減らすことができます。
3. 期限のある手続きから優先的に進める
遺品整理と並行して、故人に関するさまざまな手続きを進める必要があります。その中には法的な期限が設けられているものも多く、これらを放置すると大きな不利益につながる可能性があります。特に、「相続放棄(相続開始を知ってから3ヶ月以内)」と「相続税の申告(同10ヶ月以内)」は重要です。これらの期限を念頭に置き、まずは遺品の中から遺言書や不動産の権利書、預金通帳、借金の督促状といった財産状況がわかる書類の捜索を優先的に行いましょう。
4.「残すもの」「捨てるもの」の基準を明確にする
作業が停滞する大きな原因は、「これを捨てていいのか」という判断の迷いです。この迷いをなくすため、事前に家族や親族で「何を残し、何を捨てるか」という共通の基準を作っておきましょう。
例えば、「貴重品・重要書類・写真は必ず残す」「1年以上誰も使っていない衣類は処分対象」「価値が分からない骨董品は保留」といったルールを決めておきます。そして、仕分け用に「残す」「処分」「保留」「形見分け」と書いた段ボール箱を用意し、機械的に分類していくのです。「迷ったら保留」というルールが、作業のスピードを上げてくれます。
5. つらい時は無理せず、専門家の力を借りる
どれだけ計画を立てても、故人との思い出の品を前にして、つらく悲しい気持ちになるのは当然のことです。そんな時は、決して無理をしないでください。作業を中断して休憩したり、その日は切り上げたりすることも大切です。
そして、どうしても自分たちだけでは難しいと感じたなら、遺品整理業者という専門家の力を借りることを検討してください。これは「逃げ」や「手抜き」ではなく、遺族の心と時間の負担を軽くするための賢明な選択です。信頼できる業者に任せることで、安心して故人を偲ぶ時間に集中することができます。
まとめ:計画的な遺品整理で、心と時間の負担を軽くしましょう

遺品整理にかかる期間は、家の広さや遺品の量、そして「自分で行うか」「業者に依頼するか」によって大きく変わります。どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、ご自身の時間的、体力的、精神的な状況に合わせて最適な選択をすることが大切です。
そして、どんな方法を選ぶにせよ、最も重要なのは事前の計画と、相続人・親族間での十分なコミュニケーションです。明確なスケジュールと共通のルールがあれば、トラブルを避け、期間内にスムーズに整理を進めることができます。この記事が、故人を安らかに見送るための、後悔のない遺品整理の一助となれば幸いです。
遺品整理の期間に関するよくある質問
最後に、遺品整理の期間に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
遺品整理はいつから始めるべきですか?
A. 遺品整理を始める時期に法的な決まりはありません。一般的には、葬儀や初七日が終わり、少し落ち着いたタイミングや、親族が集まる四十九日法要の後に行う方が多いです。ただし、賃貸物件の退去期限や、相続放棄(3ヶ月)などの手続きの期限も考慮する必要があります。最も大切なのは、遺族の皆様が心身ともに、故人の遺品と向き合える状態になってから始めることです。
遺品整理で捨ててはいけないものは何ですか?
A. 勝手に捨ててしまうと後で深刻なトラブルになりかねないため、以下のものは必ず保管し、相続人全員で確認するようにしてください。
- 重要書類:遺言書、不動産の権利書、保険証券、年金手帳、パスポート、契約書類など
- 財産関連:現金、預貯金通帳、印鑑、有価証券、クレジットカード、貴金属、骨董品など
- 思い出の品:写真、手紙、日記、デジタルデータ(パソコンやスマホの中身)など
判断に迷うものは、独断で処分せず「保留」にして、必ず関係者に相談することが鉄則です。
遺品整理にかかる費用は誰が負担しますか?
A. 誰が費用を負担すべきかという法律上の決まりはありません。一般的には、相続人全員で均等に分担するか、相続する財産の割合に応じて負担するケースが多いです。また、故人の遺産(預貯金など)から支払う方法もありますが、その場合は必ず相続人全員の合意を得てからにしましょう。費用の負担方法はトラブルの原因になりやすいため、作業を始める前に明確に決めておくことが重要です。
遺品整理をしたくない、つらい場合はどうすればいいですか?
A. 遺品整理がつらい、したくないと感じるのは、故人を大切に想うからこその自然な感情です。決して無理をする必要はありません。そのような場合は、信頼できる遺品整理の専門業者に依頼することを強くお勧めします。専門家に任せることで、精神的・肉体的な負担が大幅に軽減され、ご自身は故人を偲ぶ時間に集中できます。多くの業者では無料で見積もり相談が可能ですので、一度話を聞いてみるだけでも気持ちが楽になるかもしれません。
形見分けは四十九日の前にしてもいいですか?
A. 仏教では、故人の魂は四十九日を経て旅立つと考えられているため、親族が集まる四十九日法要の後で形見分けを行うのが一般的で、最も丁寧な進め方とされています。しかし、これは宗教的な慣習であり、法的な決まりではありません。遠方でなかなか集まれないなどの事情がある場合は、事前に親族間で話し合い、全員の合意が得られていれば、四十九日より前に行っても問題ありません。