「親の足腰が弱くなったから、旅行に誘うのは難しいかな…」と、大切な方との旅行を諦めていませんか。長距離の移動や歩き回る観光は、高齢の方にとって大きな負担になることがあります。しかし、事前の計画次第でその不安は解消できます。
この記事では、体力に自信がない方でも心から楽しめる「歩かない旅行」をテーマに、具体的な観光地プランを15ヶ所厳選してご紹介します。旅行を成功させる計画の立て方から、移動手段、宿の選び方まで解説しますので、ぜひ参考にして、親御さんとのかけがえのない思い出を作る旅を実現してください。
高齢者と「歩かない旅行」を成功させる3つの計画ポイント

高齢者との旅行を成功させるには、無理のない計画を立てることが何よりも重要です。体力への配慮を欠いたスケジュールは、楽しむどころか心身の負担になってしまいます。まずは本人の体力や希望を最優先に考え、誰もが安心して楽しめる旅の準備を始めましょう。
ここでは、旅行の満足度を大きく左右する3つの計画ポイントを解説します。スケジュール作り、バリアフリー情報の確認、そして旅行の目的に合わせたプランニングが鍵となります。事前の準備を万全にして、安心して出発できるようにしましょう。
1. 体力に合わせた無理のないスケジュール作り
高齢者との旅行では、たくさんの観光地を巡る詰め込み型の計画は避けましょう。大切なのは「ゆとり」です。移動時間は多めに見積もり、1日の観光は1〜2ヶ所に絞るのがおすすめです。時間に追われず、ゆったりとしたペースで楽しめるよう配慮することが重要です。
スケジュールには、こまめな休憩時間をあらかじめ組み込んでおくと安心です。また、何よりも本人の体調を最優先に考えましょう。もし疲れている様子が見られたら、無理せず計画を変更してホテルで休むといった柔軟な対応が、旅行を成功させる秘訣です。
2. バリアフリー情報の事前確認は必須
行きたい観光地や宿泊施設が決まったら、公式サイトや電話でバリアフリー情報を必ず事前に確認しましょう。特に車椅子を利用する場合は、この一手間が欠かせません。事前に情報を得ることで、当日の移動が格段にスムーズになります。
- スロープやエレベーターの有無
- 館内の段差の状況
- 車椅子の貸し出しサービス
- 多目的トイレの設置
- 駐車場から入り口までの距離
上記のポイントを事前に把握しておけば、現地での思わぬトラブルを防ぐことができます。段差があって通れない、トイレが使えないといった事態を避け、安心して旅行を楽しむために、情報収集を徹底しましょう。余計な心配や負担を減らすことが大切です。
3. 旅行の目的に合わせてプランを考える
旅行の満足度は、誰とどんな目的で行くかによって大きく変わります。例えば親孝行が目的なら、親御さんの希望や思い出の場所を最優先に考えるのが一番です。夫婦二人だけの旅行なら、静かな温泉旅館でゆっくりと過ごすのが良いでしょう。
お子さんやお孫さんも一緒の三世代旅行では、全員が楽しめるような工夫が必要です。子ども向けの体験施設と、高齢者が楽しめる景色の良い場所を組み合わせるなど、参加者に配慮した計画を立てましょう。目的をはっきりさせることが、満足度の高い旅行への第一歩です。
【地域別】高齢者が歩かずに楽しめるおすすめ観光地プラン15選

ここからは、日本全国から厳選した「歩かない旅行」にぴったりの観光地を地域別にご紹介します。乗り物を上手に活用したり、一つの施設内で楽しめたりと、体力に自信がない方でも心から満喫できるプランばかりを集めました。
北海道から九州まで、魅力的な15のプランを具体的な楽しみ方とともに解説します。親御さんの好みや思い出の場所に合う旅行先がきっと見つかるはずです。ぜひ、次の家族旅行の計画に役立ててください。
【関東編】都心からアクセスしやすく自然や文化を満喫
1. 箱根(神奈川県):温泉と芸術をロープウェイで巡る
箱根は、ロープウェイや観光船などの乗り物が充実しており、座ったまま雄大な自然や芦ノ湖の絶景を楽しめるのが魅力です。「彫刻の森美術館」のように、屋外でも歩きやすい通路で鑑賞できる施設もあります。移動の負担が少なく、温泉と芸術を満喫できる人気の観光地です。
2. 浅草(東京都):人力車で下町情緒を味わう
東京を代表する高齢者向けお出かけスポット、浅草。仲見世通りは混雑しますが、人力車を利用すれば人混みを避けて快適に観光できます。車夫の楽しいガイドを聞きながら名所を巡るのは特別な体験になるでしょう。下町の風情を感じながら、楽に移動できるのが嬉しいポイントです。
3. 日光・鬼怒川(栃木県):歴史遺産と温泉郷をゆったり楽しむ
世界遺産「日光の社寺」は階段が多い場所もありますが、観光タクシーを活用すれば主要スポットの近くまで行けます。その後は鬼怒川温泉へ移動し、渓谷美を望む旅館でゆっくり過ごすのがおすすめ。歴史と自然、温泉を組み合わせた、ゆったりとしたプランが人気です。
【関西編】歴史とグルメに触れる旅
4. 有馬温泉(兵庫県):日本三古湯で癒しのひととき
関西の奥座敷として知られる有馬温泉は、歴史ある温泉街です。坂道が多いですが、目的の旅館に直行し、宿の中だけで金泉・銀泉の名湯を堪能する滞在型の楽しみ方がおすすめです。多くの旅館が駅までの送迎を用意しているため、移動の心配も少なく済みます。
5. 京都市内(京都府):タクシー観光で名所を効率よく
多くの寺社仏閣が点在する京都は、すべてを歩いて回るのは大変です。そこでおすすめなのが観光タクシーの活用です。ベテランドライバーが効率よく案内してくれるため、駐車場の心配もなく目的の場所のすぐそばまで行けます。見たい場所を快適に巡れるのが最大の利点です。
6. 奈良公園周辺(奈良県):バスやタクシーで大仏と鹿に会いに
広大な奈良公園も、園内を巡るバスやタクシーを利用することで負担を大きく減らせます。車窓から愛らしい鹿の群れを眺めるだけでも十分に楽しめます。東大寺や春日大社の近くまで楽に移動し、宿では美味しい郷土料理を味わう、古都の情緒に浸る旅がおすすめです。
【東海編】絶景と温泉を堪能
7. 伊豆(静岡県):遊覧船やロープウェイからの絶景
温暖な気候の伊豆半島は、ドライブ旅行に最適です。海岸線沿いを走りながら景色を眺めるだけでも楽しめます。下田港の遊覧船やロープウェイに乗れば、歩かずに壮大な海の景色や富士山の絶景を一望できます。海の幸と温泉も伊豆の大きな魅力です。
8. 下呂温泉(岐阜県):日本三名泉の湯を宿で満喫
日本三名泉の一つ、下呂温泉は「美肌の湯」として有名です。温泉街を散策するのも良いですが、泉質自慢の旅館に滞在し、館内の湯めぐりを楽しむのが贅沢な過ごし方です。心ゆくまで名湯に癒される時間は、最高の親孝行になるでしょう。
9. 伊勢志摩(三重県):参拝と海の幸をゆったりと
伊勢神宮は、申し出れば介助や迂回路の案内を受けられます。参拝後は志摩方面へ移動し、展望台からの絶景や、旅館での新鮮な海の幸を堪能するのがおすすめです。リアス式海岸が織りなす美しい風景と美食をゆったりと楽しめます。
【北海道・東北編】雄大な自然に心癒される
10. 札幌・定山渓(北海道):食と温泉を楽しむ拠点
北海道旅行の拠点、札幌。市内観光はタクシーなどを使い、少し足を延せば「札幌の奥座敷」定山渓温泉で静かに過ごせます。新鮮な食材を使った食事と良質な温泉、この二つを目的地にした美食の旅も人気があり、満足度の高い滞在ができます。
11. 松島(宮城県):観光船で日本三景を巡る
日本三景の一つ、松島の美しさを堪能するなら観光船が一番です。大小の島々が織りなす独特の景観を、船上から座ったままゆっくりと楽しめます。歩くことなく松島の魅力を満喫できるため、約50分の周遊コースは高齢の方に大変喜ばれます。
【中国・四国編】穏やかな景色に癒される
12. 道後温泉(愛媛県):歴史ある温泉街を散策
日本最古ともいわれる道後温泉。多くの旅館が本館の近くにあり、宿を拠点にすれば短い移動距離で温泉街の雰囲気を味わえます。アーケード街が多いため天候に左右されにくいのも利点です。歴史ある名湯に浸かり、心身ともにリフレッシュできます。
13. 倉敷美観地区(岡山県):川舟流しで白壁の町並みを
白壁の蔵屋敷が並ぶ倉敷美観地区では、「くらしき川舟流し」の利用がおすすめです。水上からゆっくりと眺める町並みは風情があり格別で、石畳を長く歩くことなく美しい景観を堪能できます。舟を降りた後は、近くのカフェで休憩するのも良いでしょう。
【九州編】個性豊かな温泉とグルメの宝庫
14. 別府温泉(大分県):地獄めぐりをタクシーで
日本一の源泉数を誇る別府温泉。名物の「地獄めぐり」は各スポットが離れているため、観光タクシーや定期観光バスの利用が賢い選択です。効率よく名所を巡り、宿でゆっくりと温泉を堪能するプランは、温泉好きにはたまりません。
15. 指宿温泉(鹿児島県):名物の砂むし温泉を体験
指宿名物の「砂むし温泉」は、温泉熱で温められた砂に入るユニークな入浴法です。この体験は多くの宿の施設内でできるため、移動の負担なく楽しめるのが最大の魅力。体の芯から温まる非日常的な体験は、忘れられない旅の思い出になるはずです。
「歩かない旅行」を快適にする移動手段の選び方

旅行先での移動手段は、旅の快適さを大きく左右する重要な要素です。長距離の移動や乗り換えは、高齢者にとって大きな負担になりかねません。それぞれの移動手段の長所と短所を理解することが大切です。
ここでは、自家用車から観光タクシー、公共交通機関まで、それぞれの特徴を詳しく解説します。旅行の行程や参加メンバーに合わせて、最も負担が少なく、安心して楽しめる最適な方法を選びましょう。
ドアツードアで移動が楽な「自家用車・レンタカー」
自家用車やレンタカーは、自分たちのペースで自由に移動できる点が最大の利点です。自宅から目的地まで直接移動できるため乗り換えが不要で、荷物が多くても安心です。ただし、運転者への負担や、観光地での駐車場探しの手間も考慮しておく必要があります。
プロに任せて安心の「観光タクシー」
観光タクシーは、現地の道に詳しいプロに任せられる安心感が最大のメリットです。費用はかかりますが、効率的な経路で案内してくれるため、時間と体力を大幅に節約できます。何より、移動中の心配事がなく、安心して観光に集中できます。
景色もごちそう「特急列車・新幹線」
長距離の移動には、揺れが少なく快適な新幹線や特急列車が適しています。トイレの心配もなく、車窓からの景色を眺めながらゆったり過ごす時間は旅の楽しみの一つです。船旅も同様で、太平洋フェリーのシニア割引などを利用するのも良いでしょう。駅や港からの二次交通は事前に計画しておくことが重要です。
乗換不要で楽々「高齢者向けバスツアー」
計画から移動、宿泊まですべてお任せしたいならバスツアーが最も手軽です。特に高齢者向けツアーは、ゆとりのある行程やバリアフリーへの配慮がされているため安心です。添乗員も同行するので、万が一の時も心強い選択肢となります。
宿選びも重要!高齢者が安心して泊まれる旅館・ホテルの特徴

旅行の満足度を大きく左右するのが宿泊施設選びです。特に高齢者との旅行では、宿で過ごす時間が長くなるため、「いかに快適で安全に過ごせるか」という視点が重要になります。デザインや価格だけで選ぶのは避けましょう。
ここでは、高齢者が安心して泊まれる宿選びの3つのポイントを解説します。バリアフリー設備はもちろん、食事や入浴の負担を減らす工夫も大切です。これらの特徴を押さえて、心からリラックスできる宿を見つけましょう。
バリアフリー設計(スロープ・エレベーター完備)は絶対条件
宿を選ぶ際は、エレベーターの有無やスロープの設置は絶対条件として確認しましょう。公式サイトの施設案内などをチェックし、特に大浴場や食事会場への経路に階段がないかは重要なポイントです。不明な点は予約時に電話で直接問い合わせると確実です。
食事の負担が少ない「部屋食」や「個室食」
広いレストランへの移動や周囲への気遣いは、意外と疲れるものです。その点、周りを気にせず食事ができる「部屋食」や「個室食」は、心身ともに負担が少なくおすすめです。家族だけの会話を楽しみながら、その土地ならではの料理を堪能できます。
移動なく温泉を楽しめる「貸切風呂」や「客室露天風呂」
大浴場までの移動や滑りやすい洗い場に不安を感じる方には、客室露天風呂や貸切風呂が安心です。好きな時間に好きなだけ、移動の心配なく温泉を楽しめます。周りを気にせず安全に入浴できるため、大変人気があります。
まとめ:「歩かない旅行」の計画で、親とのかけがえのない時間を

今回は、高齢の親御さんと楽しむ「歩かない旅行」をテーマに、計画のポイントから宿の選び方までを解説しました。大切なのは、無理のないスケジュールと入念な下調べです。この記事を参考にすれば、体力的な不安を解消し、安心して旅行に出かけられるはずです。
便利な移動手段やバリアフリー対応の施設を上手に活用すれば、誰もが楽しめる素敵な旅行が実現できます。国内だけでなく、サポートが充実した高齢者向けの海外旅行も選択肢になります。ぜひ、ご家族でかけがえのない思い出を作ってください。
「高齢者の歩かない旅行」に関するよくある質問

高齢者が旅行に行きたいのは何歳くらいまでですか?
A. 明確な年齢制限はありません。大切なのは年齢よりも、本人の意欲と健康状態です。最近は介護旅行サービスも充実しており、負担の少ないプランを選んで周囲がサポートすれば、90代でも旅行を楽しむことは可能です。高齢者が海外旅行に行ける年齢に決まりがないのと同じです。
高齢者の旅行で人気・おすすめの行き先はどこですか?
A. 「温泉地」が根強い人気を誇ります。宿でゆっくり過ごし、美味しい食事と温泉を楽しめるのが魅力です。また、遊覧船やロープウェイから絶景を楽しめる場所もおすすめです。本人の興味に合わせて、無理なく楽しめる目的地を選びましょう。
関東や東海などで、歩かずに楽しめる具体的な場所を教えてください。
A. 関東なら乗り物が充実した「箱根」や人力車で巡れる「浅草」、東海ならドライブが楽しい「伊豆」や名湯を満喫できる「下呂温泉」がおすすめです。この記事で紹介したプランを参考に、目的地を選んでみてください。
車椅子でも楽しめる旅行プランはありますか?
A. はい、もちろんあります。観光タクシーやバリアフリー化された施設を活用すれば、快適な車椅子での旅行が可能です。事前に公式サイトなどでスロープや多目的トイレの有無を確認し、計画を立てることが重要です。