はじめに：高齢者の車の乗り降り、こんなお悩みありませんか？
「最近、車の乗り降りが少し大変になってきた…」「親を病院に連れて行くとき、乗り降りに時間がかかってしまい、申し訳なく感じる…」そんな悩みを抱えていませんか？年齢を重ねるとともに、車の乗り降りは知らず知らずのうちに身体への負担となっていることがあります。
この記事では、ご自身や大切なご家族のために、身体への負担が少なく、安心して乗り降りできる車の選び方を徹底解説します。さらに、軽自動車からミニバン、SUVまで、ボディタイプ別におすすめの車種を10台厳選してご紹介。この記事を読めば、あなたにぴったりの一台がきっと見つかり、毎日の外出がもっと快適で楽しいものになるはずです。
なぜ今「乗り降りしやすい車」を選ぶべきなのか？
単に「楽だから」という理由だけでなく、安全性の観点からも「乗り降りしやすい車」を選ぶ重要性が高まっています。なぜなら、日々の何気ない乗り降りの動作には、様々な負担やリスクが潜んでいるからです。ここでは、その具体的な理由について解説します。
加齢による身体の変化と乗り降りの負担
年齢を重ねると、筋力や柔軟性が少しずつ低下し、膝や腰に痛みを感じることも増えてきます。若い頃は気にならなかった車のシートとの段差も、足を高く上げたり、深くかがんだりする動作が大きな負担となり得ます。特に、車高が低すぎるセダンや高すぎるSUVは、乗り降りのたびに足腰に余計な力が必要となり、知らず知らずのうちに疲労が蓄積する原因にも。毎日のことだからこそ、身体に優しい車選びが快適なカーライフの第一歩です。
乗り降りの際に潜む思わぬ事故やリスク
車の乗り降りには、転倒や怪我といった思わぬ事故のリスクも伴います。例えば、雨の日に滑りやすい地面でバランスを崩したり、狭い駐車場で無理な体勢で乗り降りしようとしてドアや隣の車に体をぶつけてしまったりするケースです。また、ヒンジ式のドアを勢いよく開けてしまい、隣の車にぶつけてしまうトラブルも少なくありません。乗り降りのしやすい車は、こうした日々の小さなストレスや事故のリスクを軽減し、運転手にも同乗者にも大きな安心感を与えてくれます。
【最重要】プロが教える！高齢者が乗り降りしやすい車の5つの選び方
では、具体的にどのような点をチェックすれば、高齢者が乗り降りしやすい車を見つけられるのでしょうか。ここでは、車選びで失敗しないために必ず確認したい5つの重要なポイントを解説します。これらの条件を満たす車種を選ぶことで、格段に快適な移動が実現します。
1. 低床フロア｜足を高く上げずに済むか
乗り降りのしやすさを左右する最も重要な要素の一つが、地面から車内の床（フロア）までの高さです。このフロアが低い「低床設計」の車は、乗り込む際に足を高く上げる必要がなく、お年寄りや小さなお子様でもスムーズに乗車できます。目安として、地面からフロアまでの高さが40cm以下だと、負担が少ないとされています。さらに、乗り込む際の一歩目となるステップとフロアの間に段差がない、あるいは段差が小さいことも、つまずきのリスクを減らす上で非常に重要です。
2. ドアの開口部の広さ｜頭や体をぶつけずに乗り込めるか
ドアを開けた際の乗り込み口（開口部）の広さも快適な乗降に不可欠です。開口部が縦にも横にも広いと、体を大きくかがめたり、窮屈な思いをしたりすることなく、自然な体勢で乗り降りできます。特に、後部座席の開口部の高さが120cm以上あると、頭をぶつける心配が少なくなり、安心感が高まります。カタログの数値だけでなく、実際に試乗して、ご自身の体格に合っているかを確認することが大切です。見落としがちなポイントですが、快適性に大きく影響します。
3. やはり便利！パワースライドドア｜狭い場所でも安心・安全に開閉できるか
特に後部座席への乗り降りが多い場合、パワースライドドアは非常に便利な装備です。ボタン一つで自動開閉するため、力の弱い高齢者でも簡単に操作できます。また、ヒンジ式のドアと違い、ドアを横にスライドさせて開閉するため、壁際や隣に車があるような狭い駐車スペースでも、ドアの開け閉めに気を使う必要がありません。お子様が隣の車にドアをぶつけてしまうといったトラブルも防げるため、家族みんなに優しい機能と言えるでしょう。
4. アシストグリップ｜体を支えやすい位置にあるか
アシストグリップは、乗り降りの際に体を支えるための重要な装備です。車のピラー（柱）や天井に取り付けられています。このグリップを握ることで、乗り降りの際のふらつきを防ぎ、安定した姿勢を保つことができます。ポイントは、ご自身が乗り降りする際に、自然に手を伸ばした位置にグリップがあるかどうかです。車種やグレードによって設置場所や形状が異なるため、試乗の際には必ず実際に握って、体重をかけやすいか、握りやすい太さかを確認しましょう。
5. シートの高さ｜腰の上下動が少なく座れるか
乗り降りしやすいシートの高さは、高すぎても低すぎてもいけません。理想的なのは、立った状態から腰を少し落とすだけで自然に座れる高さです。シートが低すぎると深くかがむ必要があり腰に負担がかかり、逆に高すぎるとよじ登るような動作が必要になります。SUVのように少し高めのシートは、視界が良い反面、小柄な方には乗り降りが大変な場合もあります。シートリフター機能で高さを調整できる車種も多いので、ご自身の最適なポジションに調整できるかを確認することが重要です。
【2025年最新】高齢者が乗り降りしやすい車おすすめ10選｜ボディタイプ別に徹底比較
ここまでの選び方を踏まえ、高齢者の乗り降りのしやすさに定評のある車種をボディタイプ別に10台厳選しました。各車種の特長やスペックを比較しながら、ご自身のライフスタイルに合った一台を見つけてください。
【軽自動車】取り回しやすさ抜群のおすすめ3選
軽自動車はコンパクトなボディで運転しやすく、維持費が安いのが魅力です。特に、背の高い「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるタイプは、室内空間が広く、乗り降りのしやすさにも優れています。
スズキ スペーシア
低床設計と広い開口部が魅力のスーパーハイトワゴンです。後席乗り込み口の地上高は345mmと非常に低く、小さなお子様から高齢者まで楽に乗り降りできます。また、パワースライドドアの開口幅も広く、大きな荷物を持っている時でもスムーズ。燃費性能も高く、安全装備「スズキ セーフティ サポート」も充実しており、経済性と安全性を両立したい方におすすめの軽自動車です。
ダイハツ タント
タントの最大の特徴は、助手席側の柱（ピラー）をドアに内蔵した「ミラクルオープンドア」です。助手席ドアとスライドドアを同時に開けると、最大1490mmという驚異的な開口部が出現。車椅子の乗り入れや、大きな荷物の出し入れも楽々行えます。もちろんフロアも低床で、乗降用グリップも各所に配置。介護での利用も視野に入れている方に、特に検討してほしい一台です。
日産 ルークス
日産ルークスも、後席スライドドアの地上高が340mm前後と低く設定されており、非常に乗り降りしやすい軽自動車です。特に注目したいのが、ハンズフリースライドドア。両手がふさがっていても、キックセンサーに足をかざすだけでドアが自動で開閉します。運転支援技術「プロパイロット」も搭載されており、高速道路での運転負担を軽減。快適性と先進性を求める方におすすめです。
【コンパクトカー】運転のしやすさと室内の広さを両立したおすすめ2選
軽自動車では少し手狭に感じるけれど、大きなミニバンは運転が不安…という方には、5ナンバーサイズのコンパクトカーが最適です。スライドドアを備えたモデルなら、利便性も抜群です。
トヨタ シエンタ
「ちょうどいい」サイズ感で人気のコンパクトミニバン。2代目から続く330mmという超低床フロアは健在で、ライバル車と比較してもトップクラスの乗り降りのしやすさを誇ります。2列目シートへの乗り込み口は段差のないフラットな設計で、小さなお子様や高齢者も安心。最新の安全性能と優れた燃費性能も魅力で、家族みんなが快適に使える間違いのない選択肢です。
ホンダ フリード
ホンダのフリードもまた、シエンタと並んで人気の高いコンパクトミニバンです。ステップ地上高は約390mmとシエンタよりは少し高めですが、それでも十分に低く、乗り降りはスムーズ。フリードの魅力は、多彩なシートアレンジとクラス最大級の室内空間です。運転のしやすさと、いざという時に人や荷物をしっかり乗せられる頼もしさを両立しており、アクティブな家族にぴったりの一台です。
【ミニバン】家族での利用や後部座席の快適性を重視するならおすすめ2選
大人数での移動や、後部座席に人を乗せる機会が多いなら、やはりミニバンが最適です。広い室内空間と豪華な装備で、長距離の移動も快適に過ごせます。
トヨタ ノア／ヴォクシー
Mクラスミニバンの王道、ノアとヴォクシー。パワースライドドア装着車には、ドアの開閉と連動してステップが出てくる「ユニバーサルステップ」をメーカーオプションで設定可能です。これにより、ステップ地上高が約200mmとなり、驚くほど乗り降りが楽になります。アシストグリップも適切な位置にあり、まさに至れり尽くせり。後部座席の快適性を最優先するなら、最高の選択肢の一つです。
日産 セレナ
モーターで走る「e-POWER」による滑らかな加速と静粛性が魅力のセレナ。乗り降りの面では、ハンズフリースライドドアを全車に標準装備している点が嬉しいポイントです。また、ミニバンとして世界で初めて搭載された運転支援技術「プロパイロット2.0」は、高速道路でのハンズオフ走行を可能にし、長距離運転の疲労を大幅に軽減。乗り降りのしやすさはもちろん、運転の快適性も追求したい方におすすめです。
【SUV】アクティブなシニアに人気のおすすめ3選
スポーティーなデザインと高い走破性で人気のSUV。車高が高いイメージがありますが、中には高齢者でも乗り降りしやすいモデルも存在します。視点が高く、運転しやすいのもメリットです。
トヨタ ライズ
コンパクトSUVとして絶大な人気を誇るライズ。その魅力は、5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディと、取り回しの良さです。シートのヒップポイントが地上から約665mmと絶妙な高さに設定されており、深くかがむこともよじ登る必要もなく、スムーズに乗り降りできます。視界も広く、車両感覚が掴みやすいため、運転に自信がない方でも安心して乗れる一台です。
ホンダ ヴェゼル
クーペのようなスタイリッシュなデザインが特徴のヴェゼル。見た目はシャープですが、後席のドアが約90度まで大きく開くため、意外なほど乗り降りがしやすい設計になっています。室内空間も広く、特に後部座席の足元スペースは広々。乗り心地も良く、街乗りから長距離ドライブまで快適にこなします。デザイン性と実用性を両立させたい方に最適なSUVです。
スバル クロストレック
スバル独自のAWD（全輪駆動）システムによる高い走行安定性が魅力のクロストレック。雪道や悪路にも強く、アクティブなシニアにぴったりです。高めの車高ながら、シートの高さは自然に乗り込める範囲に抑えられています。また、後席ドアの開口部下端の形状が工夫されており、足さばきが良いのも特徴。運転支援システム「アイサイト」の信頼性も高く、安全で楽しいドライブをサポートしてくれます。
【番外編】セダンや外車で乗り降りしやすいモデルはある？
「スライドドアのミニバンや軽自動車のデザインは少し苦手…」と感じる方もいるかもしれません。ここでは、セダンや外車の中から、比較的乗り降りに配慮されたモデルをいくつかご紹介します。
乗り降りしやすさに配慮されたセダン
一般的にセダンは車高が低く、乗り降りがしにくいとされがちです。しかし、近年のモデルでは改善も見られます。例えば、トヨタのカローラは、乗降時の体のひねりや負担を軽減するシート形状を採用しています。また、多くの車種で「シートリフター」が標準装備されており、座面の高さを調整することで、乗り降りのしやすさをある程度改善することが可能です。諦める前に一度、最新のセダンに試乗してみる価値はあるでしょう。
スライドドアを持つ外車という選択肢
「外車でスライドドア付きの車はないの？」という疑問を持つ方もいるでしょう。数は少ないですが、選択肢は存在します。フランスのルノー・カングーやシトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフターといった車種は、両側にスライドドアを備えています。国産車とは一味違う個性的なデザインと実用性を兼ね備えており、こだわりの一台を探している方には面白い選択肢となるかもしれません。
購入前に必ずチェック！後悔しないための試乗確認ポイント
カタログスペックだけではわからない、実際の使い勝手を確認するために試乗は不可欠です。特に高齢者のための車選びでは、以下の3つのポイントを重点的にチェックしましょう。
運転席だけでなく後部座席の乗り降りも体験する
試乗というと運転席からの視点に集中しがちですが、必ずご家族が乗る後部座席の乗り降りも実際に体験してください。ご自身で乗り降りしてみるだけでなく、可能であれば実際に乗せる予定の親御さんにも同乗してもらい、感想を聞くのが最も確実です。アシストグリップの位置は適切か、足元は広く感じるかなど、同乗者目線でのチェックが後悔しないための鍵となります。
駐車スペースでドアを全開にできるか確認する
見落としがちなのが、自宅の駐車場やよく利用するスーパーなどの駐車スペースでの使い勝手です。特にヒンジ式のドアの場合、「ドアを全開にしないと乗り降りが難しい」車種だと、狭い場所では非常に不便です。スライドドアの場合でも、壁との距離などをシミュレーションしておくことが大切です。可能であれば、ディーラーに依頼して自宅の車庫で試乗させてもらうと、より現実的な判断ができます。
安全運転支援システムの操作性を試す
最近の車には、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報など、様々な安全運転支援システムが搭載されています。これらの機能は非常に心強いものですが、意図しない警告音に驚いてしまうことも。どのような状況で作動するのか、設定の変更は簡単に行えるかなど、操作性を試しておくことも安心につながります。わからないことは遠慮せずに販売店のスタッフに質問し、機能を理解した上で購入を検討しましょう。
まとめ：最適な一台を見つけて、安心で快適なカーライフを
高齢者が乗り降りしやすい車を選ぶことは、ご自身の身体の負担を減らすだけでなく、大切な家族を安全に、そして快適に目的地まで送り届けるための重要な投資です。今回ご紹介した5つの選び方「低床フロア」「ドアの開口部」「スライドドア」「アシストグリップ」「シートの高さ」を基準に、様々な車種を比較検討してみてください。
そして、気になる車種が見つかったら、必ず実際に見て、触れて、試乗することをおすすめします。この記事が、あなたとご家族にとって最高のパートナーとなる一台を見つけるための一助となれば幸いです。安心で快適な車を手に入れて、これからの毎日をもっとアクティブに楽しみましょう。
高齢者の車選びに関するよくある質問
最後に、高齢者の車選びに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。購入前の最終チェックとしてお役立てください。
高齢者におすすめの車種や人気のランキングは？
一概に「この車種が一番」とは言えませんが、乗り降りのしやすさを最優先するなら、スズキ「スペーシア」やダイハツ「タント」のような軽スーパーハイトワゴン、またはトヨタ「シエンタ」のようなコンパクトミニバンが非常に人気です。これらは床が低く、スライドドアを備えているモデルが多いため、多くの方に選ばれています。この記事で紹介したランキングも参考に、ご自身の使い方に合った一台をお探しください。
乗り降りがしやすいシートの高さの目安は？
個人差はありますが、一般的に立った状態から軽く腰を下ろすだけで自然に座れる高さが理想とされています。具体的には、シート座面の最も低い部分（ヒップポイント）の地上高が、ご自身の膝の高さと同じくらいか、少し高いくらいが目安です。低すぎると立ち上がる際に、高すぎると乗り込む際に負担がかかります。試乗の際に、何度か乗り降りを繰り返して最適な高さを確認することが重要です。
高齢者におすすめの安全な軽自動車は？
現在の軽自動車は安全性能が非常に高く、多くの車種が政府による安全性能評価で高い評価を得ています。特におすすめなのは、衝突被害軽減ブレーキ（自動ブレーキ）や、ペダルの踏み間違いによる急発進抑制装置が搭載されたモデルです。スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」、ホンダ「N-BOX」などは、いずれも先進の安全装備を備えており、安心しておすすめできる軽自動車です。
乗り降りしやすい人気のスライドドア付きミニバンは？
スライドドア付きミニバンで特に人気と実績があるのは、コンパクトサイズではトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」です。5ナンバーサイズで運転しやすく、床も低いため乗り降りが非常に楽です。もう少し大きなサイズ（Mクラス）では、トヨタ「ノア／ヴォクシー」や日産「セレナ」が定番の人気を誇ります。特にトヨタの「ユニバーサルステップ」のような乗降補助機能は、高齢者を乗せる機会が多い場合に大変便利な装備です。