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高齢者の防災グッズ|本当に必要なものリストで親の備えも安心

はじめに:増える災害、高齢の親のために今できること

近年、地震や豪雨などの災害が日本各地で頻繁に発生しています。

ニュースで被災地の映像を見るたびに、「もし自分の親が住む地域で災害が起きたら…」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

高齢になると、避難に時間がかかったり、避難所での生活で体調を崩しやすくなったりと、若い世代とは異なる困難に直面します。だからこそ、高齢の親やご自身のためには、一般的な防災グッズに加えて「特別な配慮」が必要です。

この記事では、高齢者にとって本当に必要な防災グッズのリストを、その理由とともに詳しく解説します。大切な家族の命と健康を守るための準備を、今日から一緒に始めましょう。

なぜ高齢者には特別な防災グッズが必要なのか?

「防災セットなら一つ用意してあるから大丈夫」と思っていませんか?

実は、一般的な防災グッズだけでは高齢者にとっては不十分な場合があります。災害という非常時において、高齢者は体力面や健康面で特有の課題を抱えやすいからです。

ここでは、災害時に高齢者が直面しやすい具体的な困難を3つの視点から解説します。これらの困難を理解することが、本当に役立つ防災グッズを準備するための第一歩となります。

災害時に高齢者が直面しやすい3つの困難

1. 体力低下による避難の遅れや健康悪化

高齢になると体力が低下し、素早く行動することが難しくなります。瓦礫が散乱する道を重い防災リュックを背負って避難するのは、想像以上に過酷です。

また、避難所での生活も、硬い床での就寝や慣れない環境でのストレスから、持病が悪化したり、新たな体調不良を引き起こしたりする可能性が高まります。そのため、荷物はできるだけ軽量にし、少しでも快適に過ごせるような工夫が求められます。

2. 持病の薬や介護用品が手に入らないリスク

災害が発生すると、物流が止まり、普段飲んでいる薬やインスリン、おむつのような介護用品が手に入らなくなるという深刻な事態が想定されます。

特に、毎日決まった薬を服用する必要がある方にとって、これは命に関わる問題です。かかりつけの病院も機能しているとは限りません。いざという時のために、数日分から1週間分の薬の予備や、自身の医療情報がわかるお薬手帳のコピーを防災グッズに加えておくことが非常に重要です。

3. 避難所での生活における衛生・健康問題

避難所では、多くの人が共同で生活するため、衛生環境の維持が難しくなります。特に、断水時のトイレ問題は深刻です。

和式のトイレが多かったり、清潔に保たれていなかったりすると、トイレに行くのを我慢してしまい、体調を崩す原因にもなりかねません。

また、入れ歯の洗浄が十分にできない、補聴器の電池が切れるなど、高齢者特有の衛生に関する悩みも多く発生します。携帯トイレや入れ歯洗浄シートなど、個別の衛生用品の準備が欠かせません。

【基本編】まずはこれだけ!最低限必要な防災グッズリスト

高齢者向けの備えを考える前に、まずは全ての世代に共通して必要となる基本的な防災グッズを確認しましょう。

これらは、災害発生直後から数日間を生き延びるための土台となるアイテムです。すでに準備している方も、中身を再確認できるよう一覧表にまとめました。

カテゴリ具体的なグッズ
命を守るための必需品飲料水、非常食、懐中電灯(ヘッドライト)、救急セット、防寒シート、軍手
情報を得るためのグッズ携帯ラジオ、予備の乾電池、モバイルバッテリー、筆記用具
衛生・健康を保つための用品携帯トイレ、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、歯ブラシ、マスク、タオル

【高齢者向け応用編】基本グッズに必ず追加したいものリスト

基本的な防災グッズに加えて、ここからは高齢者の身体的特徴や生活習慣を考慮した、必ず追加で備えておきたいアイテムをリストアップします。

これらの「応用編」アイテムが、非常時の困難を和らげ、心身の健康を保つための大きな助けとなります。ご両親やご自身の状況を思い浮かべながら、何が必要かチェックしてみてください。

1. 普段使っている薬・お薬手帳のコピー

何よりも優先すべき最重要アイテムです。少なくとも7日分以上の予備を準備し、防災リュックに入れておきましょう。

薬そのものだけでなく、自分が何の薬を飲んでいるか正確に伝えるための「お薬手帳」またはそのコピーも必須です。これがあれば、避難先の医療機関でもスムーズに対応してもらえます。かかりつけ医や薬局の連絡先も一緒に保管しておくと、さらに安心です。

2. メガネ・補聴器・入れ歯など身体の一部となるもの

メガネや補聴器、入れ歯は、日常生活に欠かせない「身体の一部」です。これらがないと、情報の収集やコミュニケーション、食事の摂取が困難になります。

就寝中に災害が発生することも想定し、枕元に置くとともに、予備のメガネ(特に老眼鏡)や補聴器の予備電池、入れ歯のケースと洗浄剤を防災リュックに入れておきましょう。普段から置き場所を決めておくことも大切です。

3. 大人用おむつ・尿取りパッドなど衛生用品

避難所のトイレ環境が整うまでには時間がかかることがあります。トイレを我慢することは、膀胱炎やエコノミークラス症候群のリスクを高めます。

普段はおむつを使用していない方でも、非常時には大きな安心材料となります。プライバシーを守るための目隠しポンチョとセットで準備しておくと、いつでもどこでも安心して用を足せます。かさばる物ですが、圧縮袋などを活用してコンパクトに収納しましょう。

4. 杖や歩行器、軽量で履き慣れた靴

災害時は、ガラスの破片や瓦礫で足元が非常に危険になります。すぐに履ける、底が厚く履き慣れたスニーカーなどを玄関や枕元に準備しておくことが重要です。

また、普段から杖やシルバーカー、歩行器を使っている方は、それらがすぐに使える状態にあるか確認しましょう。特に杖は、折りたたみ式の予備をリュックに入れておくと移動時に役立ちます。

5. 体温調節グッズ(カイロ、アルミシートなど)

高齢者は体温を調節する機能が低下しているため、特に注意が必要です。夏場の避難所は蒸し暑く、冬場は底冷えすることがあります。

基本グッズのアルミシートに加え、使い捨てカイロや冷却シート、厚手の靴下、軽量なブランケットなど、季節を問わず体温調節できるアイテムを追加しておきましょう。電気やガスが使えない状況でも体を温めたり冷やしたりできる準備が、命を守ることにつながります。

6. 栄養補助食品や刻み食など食べやすい非常食

一般的な非常食である乾パンやアルファ米は、硬かったり、水分がないと食べにくかったりすることがあります。

咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の機能が低下している高齢者には、おかゆやスープ、ゼリー状の栄養補助食品、介護用の刻み食やとろみ剤といった、食べやすい非常食を別に用意しておくことが大切です。普段から食べ慣れているお菓子などを少し入れておくだけでも、精神的な安心につながります。

【状況別】一人暮らしの高齢者が特に備えたい防災グッズ

家族と同居している場合と異なり、一人暮らしの高齢者は、災害時に助けを求めにくく、孤立してしまう危険性があります。

そのため、安否確認や救助要請のための備えが特に重要になります。ここでは、一人暮らしの高齢者の方が、基本や応用のグッズに加えて特に備えておきたいアイテムをご紹介します。

緊急連絡先カード・安否確認の方法

氏名、住所、生年月日、血液型、持病、アレルギー、服用中の薬、そして家族やかかりつけ医の緊急連絡先を明記したカードを準備し、常に携帯しましょう。

防災リュックにも入れておくと安心です。また、災害時に誰と、どのように連絡を取り安否確認をするかを、家族や近所の人とあらかじめ話し合っておくことも、同じくらい重要です。地域の見守りサービスなども確認しておきましょう。

少量で高カロリーな非常食

調理の必要がなく、袋を開けるだけですぐに食べられる、少量でエネルギーを効率よく摂取できる非常食は、一人暮らしの強い味方です。

例えば、ようかんやチョコレート、栄養調整食品(バータイプ)などがオススメです。これらは食欲がない時でも口に運びやすく、体力を維持するのに役立ちます。ローリングストック法を活用し、普段のおやつとして消費しながら備蓄するのも良い方法です。

防犯ブザーやホイッスル

万が一家屋の倒壊などで閉じ込められてしまった場合、大声で助けを呼び続けるのは体力を消耗します。

そんな時、小さな力で大きな音を出せる防犯ブザーやホイッスルが命を救うことがあります。すぐに取り出せるよう、首から下げておいたり、防災リュックのすぐわかる場所につけておきましょう。避難所での防犯対策としても役立ちます。

失敗しない!高齢者向け防災グッズを選ぶ3つのポイント

必要なものが分かっても、「たくさんあって選べない」「どれを買えばいいの?」と迷ってしまうかもしれません。

ここでは、高齢者向けの防災グッズや防災リュックを選ぶ際に、失敗しないための3つの重要なポイントをご紹介します。このポイントを押さえることで、いざという時に本当に役立つ、最適な備えをすることができます。

  • ポイント1:【軽量さ】本人でも持ち運べる重さを意識する
    最も重要なのは、防災リュックを背負って避難できる重さであることです。詰め込みすぎると、重くて持ち出せず避難の妨げになります。リュック本体も軽量なタイプを選び、中身を厳選しましょう。
  • ポイント2:【操作性】使い方が簡単なものを選ぶ
    緊急時には誰でもパニックになりがちです。特に高齢者にとっては、シンプルで直感的に使えることが何より大切です。購入後に一度実際に使ってみて、問題なく操作できるか確認しておくことを強くオススメします。
  • ポイント3:【セット購入】まずは必要なものが揃ったセットから
    一つひとつ揃えるのが大変な方は、防災士などが監修した高齢者向けの防災セットを活用するのが近道です。まずは市販のセットを購入し、その後でご自身の常備薬などを追加していく方法が効率的で安心です。

防災グッズの置き場所と管理方法|いざという時にすぐ使えるために

せっかく完璧な防災グッズを準備しても、いざという時にどこにあるか分からなかったり、中身が使えなくなっていたりしては意味がありません。

準備の最終段階として、保管場所と定期的な管理方法をしっかりと決めておきましょう。「備えっぱなし」にしないことが、防災対策を万全にするための最後の鍵です。

すぐに持ち出せる「玄関」と自宅避難用の「備蓄庫」

防災グッズは、目的に応じて2か所に分けて置くのが基本です。

緊急避難時にすぐに持ち出す「非常用持ち出し袋(防災リュック)」は、玄関や寝室の枕元など、すぐに手が届く場所に置きましょう。

一方で、飲料水や食料、カセットコンロなどの「備蓄品」は、自宅で避難生活を送るためのものです。これらは押し入れや物置などに分散して保管すると、家が被災してもどれかが残る可能性が高まります。

年に一度は中身を点検!使用期限のチェックを忘れずに

防災グッズは一度準備したら終わりではありません。年に一度、例えば「防災の日(9月1日)」やご自身の誕生日などに、中身を点検する習慣をつけましょう。

特に、非常食や飲料水の賞味期限、薬の使用期限、乾電池の使用推奨期限は必ず確認が必要です。期限が近いものは普段の生活で消費し、新しいものと交換する「ローリングストック」を実践することで、無駄なく備蓄を維持できます。

準備したら必ず本人と情報を共有する

ご家族がご両親のために防災グッズを準備した場合、どこに何があるか、どう使うかを必ずご本人と一緒に確認してください。

せっかくの備えも、本人がその存在を知らなければ意味がありません。実際にリュックを背負ってみて重さを確認したり、ラジオの付け方を練習したりと、コミュニケーションを取りながら防災意識を高めることが、何よりの安心につながります。避難場所や連絡方法の再確認も一緒に行いましょう。

まとめ:親の安全を守るために、今日からできる防災準備

この記事では、高齢者にとって本当に必要な防災グッズと、その準備のポイントについて解説しました。

大切なのは、一般的な防災グッズに加えて、常備薬やメガネ、食べやすい非常食など、その人の状況に合わせた「個人用の備え」を追加することです。

そして、準備したものをすぐに使える場所に保管し、定期的に点検することが重要です。防災グッズの準備は、大切な親や自分自身の未来を守るための、具体的で効果的な行動です。

まずはこの記事のリストを参考に、一つでも二つでも、今日からできることから始めてみませんか。その一歩が、万が一の時に家族の命と安心を守る、何よりの備えとなるはずです。

高齢者の防災グッズに関するよくある質問

高齢者が最低限備えるべきものは何ですか?

特に重要なのは、命と健康に直結するものです。具体的には、以下の5点は最低限備えておきたいアイテムです。

  • 7日分以上の常備薬とお薬手帳のコピー
  • 飲料水と食べやすい非常食
  • 携帯トイレ
  • 情報を得るための携帯ラジオ
  • メガネや入れ歯など身体機能の補助具

これらをベースに、個人の状況に合わせて必要なものを追加していきましょう。

防災グッズで「いらない」と言われるものはありますか?

万人にとって「絶対にいらないもの」というのはありませんが、個人の状況によっては優先度が低いものはあります。

例えば、体力を消耗する重い衣類を何枚も入れたり、使い方が複雑な多機能ツール、普段使い慣れていない調理器具などは、かえって避難の妨げになる可能性があります。

自分や家族にとって、本当に必要で、かつ使いこなせるものか、という視点で中身を厳選することが大切です。

グッズの準備以外に高齢者ができる防災対策はありますか?

はい、いくつか重要な対策があります。まずは家具の固定です。転倒による怪我や避難経路が塞がれるのを防ぎます。

次に、近所の方との良好な関係づくりも大切です。いざという時に助け合える存在は心強い味方になります。

また、自治体が発行するハザードマップで自宅周辺の危険箇所や避難場所を確認し、実際に歩いて避難経路を確認しておくことも重要です。

おすすめの高齢者向け防災リュックはありますか?

特定の製品を挙げることはできませんが、選ぶ際のポイントは「軽量であること」「背負いやすいこと」「収納ポケットが多く整理しやすいこと」です。

防災士が監修し、高齢者の視点で必要なものが厳選された市販の「高齢者向け防災セット」は、中身を一つひとつ選ぶ手間が省けるため、最初の備えとして非常におすすめです。購入後は、ご自身の常備薬などを追加してカスタマイズしましょう。

災害時にすぐ品薄になるものは何ですか?

過去の災害事例から、飲料水、乾電池、カセットコンロ用のガスボンベ、携帯トイレ、そしておむつ(子ども用・大人用)や生理用品などの衛生用品は、発災直後からスーパーやコンビニの棚から無くなる傾向があります。

これらの消耗品は、普段から少し多めに在庫を持っておく「日常備蓄(ローリングストック)」を心がけることで、災害時にも慌てずに済みます。

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