親が亡くなり相続が発生したものの、多額の借金があることが分かり途方に暮れていませんか。相続放棄をすれば借金を背負う必要はありませんが、手続きが複雑そうで専門家に頼むべきか迷いますよね。費用を抑えたいけれど、自分でできるのか不安に思う方も多いでしょう。
この記事では、相続放棄の書類を自分で作成し、手続きを完遂するための全手順を分かりやすく解説します。必要書類の一覧から申述書の具体的な書き方、注意点まで網羅しているため、読めば一人でもスムーズに手続きを進められます。この記事を読んで、確実に相続放棄を成功させましょう。
相続放棄は自分でできる?判断基準と手続きの全体像

相続放棄の手続きは、必要書類を家庭裁判所に提出することで、専門家に依頼せず自分で行うことが可能です。費用を抑えられるメリットがありますが、書類準備の手間や不備のリスクも伴います。まずは、自分で手続きを進めるべきかどうかの判断基準をしっかり理解しましょう。
ここでは、自分で行う場合のメリット・デメリット、専門家への依頼を検討すべきケース、そして3ヶ月という期限内に終えるための手続きの全体像を解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、最適な方法を見つけるための第一歩にしてください。
自分で行うメリット・デメリットを比較
相続放棄を自分で行う最大のメリットは、司法書士や弁護士への依頼費用を節約できる点です。手続き費用を収入印紙代や郵送費などの実費のみに抑えることができます。一方で、必要書類の収集や作成に多くの時間と手間がかかることがデメリットと言えるでしょう。
また、書類に不備があった場合、家庭裁判所に受理されず、最悪の場合、相続放棄が認められないリスクも考えられます。以下の表でメリットとデメリットを比較し、ご自身の状況に合った方法を選択することが重要です。
| 項目 | 自分で手続きする場合 | 専門家に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用 | 安い(数千円程度) | 高い(数万円~) |
| 手間・時間 | かかる | かからない |
| 確実性 | 書類不備のリスクあり | 高い |
専門家への依頼を検討すべきケース
相続放棄の手続きは自分でも可能ですが、特定の状況では専門家への依頼を強くおすすめします。例えば、相続人の関係が複雑であったり、相続財産の全体像が不明で調査に時間がかかったりする場合です。専門家の知識と経験を借りることで、手続きが円滑に進みます。
特に、相続開始を知ってから3ヶ月の期限が迫っている場合は、迅速かつ正確な対応が求められるため、迷わず相談しましょう。以下のようなケースに当てはまる方は、司法書士や弁護士といった専門家への依頼を検討してみてください。
- 相続財産の調査が困難な場合
- 相続人の関係が複雑で、戸籍謄本の収集が難しい場合
- 3ヶ月の申述期限が間近に迫っている場合
- 書類作成や裁判所とのやり取りに不安がある場合
手続きの期限は3ヶ月!全体の流れを把握
相続放棄の手続きで最も重要なのが、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という申述期限です。この期間内に家庭裁判所へ申述しなければ、原則として相続を承認したとみなされてしまいます。期限を意識し、計画的に進めることが成功の鍵です。
まずは、手続きの全体像を把握し、何から手をつけるべきかを明確にしましょう。大まかな流れは、必要書類の収集、相続放棄申述書の作成、家庭裁判所への提出、そして受理通知書の受領となります。この相続放棄手続きの詳しい流れを理解し、準備を始めましょう。
【一覧】相続放棄の必要書類と集め方完全ガイド

相続放棄を自分で行うには、相続放棄申述書や戸籍謄本など、定められた書類を正確に集める必要があります。書類に一つでも不備があると手続きが滞り、期限切れのリスクも高まります。どんな書類が、誰の分、何通必要なのかを正確に把握することが重要です。
ここでは、手続きに不可欠な書類の一覧と、それぞれの入手方法を分かりやすく解説します。申述書のダウンロード先から、相続人の続柄によって異なる戸籍謄本の種類、その他準備物まで網羅しているので、このガイドを参考に漏れなく準備を進めましょう。
相続放棄申述書の入手方法とダウンロード
相続放棄手続きの核となる「相続放棄申述書」は、家庭裁判所の窓口で直接もらうか、裁判所のウェブサイトからダウンロードして入手できます。遠方にお住まいの方や、事前に記入内容を確認したい方は、裁判所のウェブサイトからのダウンロードが便利です。
申述書の書式は、申述人が成人か未成年かによって異なりますので、必ずご自身の状況に合ったものを選択してください。印刷して手書きで作成するため、ダウンロード後に記載例を見ながら準備を進めるとスムーズです。
続柄別で見る必要な戸籍謄本の種類
相続放棄で提出する戸籍謄本は、亡くなった方(被相続人)との続柄によって必要な種類が異なります。例えば、子が相続放棄する場合は比較的シンプルですが、兄弟姉妹が手続きする場合は、より多くの戸籍謄本を集める必要があります。自分の立場に必要な書類を正確に把握しましょう。
本籍地の役所で取得できますが、遠方の場合は郵送での取り寄せも可能です。以下の表を参考に、ご自身のケースでどの戸籍謄本が必要になるかを確認し、早めに収集を始めてください。
| 申述人(相続人) | 主な必要戸籍謄本 |
|---|---|
| 配偶者・子 | ・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 ・申述人の戸籍謄本 |
| 孫(代襲相続人) | 上記に加え、被代襲者(子)の死亡の記載のある戸籍謄本 |
| 父母・祖父母 | 上記に加え、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本など |
| 兄弟姉妹・甥姪 | 上記に加え、被相続人の父母の死亡の記載のある戸籍謄本など |
収入印紙や郵便切手などその他の準備物
相続放棄の申述には、申述書や戸籍謄本といった書類の他に、手数料や郵送費も必要になります。申述書1通につき、手数料として800円分の収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙は郵便局やコンビニエンスストアなどで購入できます。
また、家庭裁判所からの連絡用として、郵便切手の提出も求められます。必要な金額や種類は各家庭裁判所によって異なるため、事前に提出先の裁判所のウェブサイトで確認するか、電話で問い合わせておくと確実です。
相続放棄申述書の書き方を記入例付きで徹底解説

相続放棄申述書は、手続きの成否を左右する最も重要な書類です。記入ミスや記載漏れがあると、裁判所から訂正を求められたり、最悪の場合受理されなかったりする可能性があります。裁判所のウェブサイトにある記入例を参考に、正確に作成することが求められます。
このセクションでは、申述書を作成する際の基本的なルールから、申述人や被相続人情報の具体的な書き方、そして悩みがちな「放棄の理由」の例文まで、項目別に徹底解説します。提出前の最終チェックリストも活用し、完璧な申述書を仕上げましょう。
申述書を作成する際の基本的なルール
相続放棄申述書を作成する際は、いくつかの基本的なルールを守る必要があります。まず、記入には黒のボールペンや万年筆を使用し、鉛筆や消せるボールペンは使用できません。万が一書き間違えた場合は、修正液を使わずに二重線で訂正し、訂正印を押しましょう。
また、申述人の署名欄は必ず自筆で記入し、押印が必要です。印鑑は認印で構いませんが、シャチハタは不可とされています。こうした細かなルールを守ることが、スムーズな手続きにつながります。
【項目別】申述人や被相続人情報の書き方
申述書の各項目は、戸籍謄本や住民票の除票といった添付書類を見ながら、一字一句正確に転記することが基本です。特に、被相続人の本籍や最後の住所は、証明書類の記載通りに記入する必要があります。省略せずに「〇丁目〇番〇号」のように詳しく書きましょう。
申述人情報も同様に、現在の住民票に記載されている通りに記入します。電話番号は、日中に連絡が取れる番号を記載しておくと、裁判所からの問い合わせがあった際にスムーズに対応できます。
相続放棄の理由の書き方と具体的な例文
申述書の中には「相続放棄の理由」を記入する欄があり、どのように書けばよいか迷う方も多いでしょう。しかし、理由は詳細に記述する必要はなく、簡潔に事実を伝えるだけで十分です。一般的には「債務超過のため」という理由が最も多く使われます。
申述書の書式では、いくつかの選択肢から選ぶ形式になっていることがほとんどです。以下の例文を参考に、ご自身の状況に最も近いものを選んでください。
- 債務超過のため(借金が資産より多い場合)
- 生活が安定しており、遺産を必要としないため
- 遺産分割協議で、他の相続人に財産を譲るため
- 遺産が遠隔地にあり、管理が困難なため
提出前に確認する添付書類チェックリスト
相続放棄申述書と必要書類の準備がすべて完了したら、家庭裁判所に提出する前に最終確認を行いましょう。書類の不足や不備は、手続きの遅延に直結します。自分だけのチェックでは見落としがちな点もあるため、リストを使って一つひとつ確認することが大切です。
以下のチェックリストを活用して、提出物に漏れがないか確かめてください。すべての項目にチェックが入れば、安心して書類を提出できます。
- □ 相続放棄申述書(署名・押印済み)
- □ 800円分の収入印紙(申述書に貼付)
- □ 連絡用の郵便切手(裁判所の指定通り)
- □ 被相続人の住民票の除票または戸籍附票
- □ 申述人の戸籍謄本
- □ その他、続柄に応じた戸籍謄本一式
書類提出から相続放棄完了までの4ステップ

必要書類が完璧に揃ったら、いよいよ家庭裁判所への提出段階に進みます。書類を提出して終わりではなく、その後に裁判所とのやり取りを経て、正式に相続放棄が認められます。この流れを事前に理解しておくことで、手続きの進捗を落ち着いて見守ることができるでしょう。
ここでは、管轄の家庭裁判所の調べ方から、書類提出後に送られてくる「照会書」への対応、そして最後に「相続放棄申述受理通知書」を受け取るまでを、4つの簡単なステップに分けて解説します。ゴールまでの道のりを具体的にイメージしましょう。
管轄の家庭裁判所の調べ方と提出方法
相続放棄の申述書は、どの家庭裁判所でも提出できるわけではありません。提出先は、亡くなった方(被相続人)の「最後の住所地」を管轄する家庭裁判所と定められています。管轄の裁判所は、裁判所のウェブサイトで簡単に調べることができます。
提出方法は、裁判所の窓口へ直接持参する方法と、郵送で提出する方法の2つがあります。窓口に持参すれば、その場で簡単なチェックをしてもらえるメリットがありますが、遠方の場合は郵送が便利です。郵送の場合は、記録が残る書留郵便などを利用すると安心です。
家庭裁判所からの照会書と回答書の書き方
申述書を提出してから1〜2週間ほどで、家庭裁判所から「照会書」という質問状が郵送で届きます。これは、申述が本人の真意によるものか、相続財産を処分していないかなどを確認するためのものです。照会書には正直かつ正確に回答し、指定された期限内に返送しましょう。
質問内容は、「相続があったことをいつ知りましたか」「相続財産を隠したり使ったりしていませんか」といった基本的なものが中心です。回答書には署名・押印を忘れずに行い、同封の返信用封筒で返送します。
相続放棄申述受理通知書が届けば手続き完了
照会書を返送し、その内容に問題がなければ、家庭裁判所は相続放棄の申述を受理します。その後、申述が正式に受理されたことを証明する「相続放棄申述受理通知書」が郵送で届きます。この通知書を受け取った時点で、相続放棄の手続きは法的に完了です。
この受理通知書は、あなたが相続人ではないことを公的に証明する重要な書類となります。債権者から支払いを求められた際の証明にもなるため、大切に保管しておきましょう。必要であれば、複数枚発行してもらえる「受理証明書」の申請も可能です。
自分で手続きする際の注意点と失敗しないコツ

自分で相続放棄の手続きを進めることは可能ですが、いくつかの重要な注意点があります。特に、法律で定められたルールを知らずに行動してしまうと、意図せず相続放棄が認められなくなる「単純承認」とみなされる危険性があります。失敗しないためには、正しい知識を持つことが不可欠です。
ここでは、相続放棄が認められなくなるNG行為や、3ヶ月の期限に間に合わない場合の対処法、そして他の相続人への配慮など、手続きを成功に導くための重要なコツを解説します。最後まで気を抜かずに、確実な手続きを目指しましょう。
相続放棄が認められない!単純承認とは
相続放棄を検討している間に、故人の預金を引き出して使ったり、不動産を売却したりする行為は絶対に避けてください。これらの行為は、相続を承認したとみなされる「単純承認」にあたり、一度単純承認と判断されると、相続放棄は認められなくなります。
単純承認とみなされる行為には、相続財産の処分だけでなく、財産を隠す行為も含まれます。借金の存在を知らなかったとしても、財産を使ってしまった後では手遅れになるケースもあります。手続きが完了するまでは、相続財産には一切手を付けないようにしましょう。
3ヶ月の期限に間に合わない場合の対処法
相続財産の調査に時間がかかり、どうしても3ヶ月の期限内に申述の判断ができない場合があります。そのような状況では、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て」を行うことで、申述期間を延長してもらえる可能性があります。
この申立ては、3ヶ月の期限が経過する前に行う必要があります。延長が認められるかどうかは裁判所の判断によりますが、正当な理由があれば通常1〜3ヶ月程度の期間延長が認められます。期限切れを諦める前に、この制度の利用を検討しましょう。
兄弟など次順位の相続人への連絡を忘れずに
あなたが相続放棄をすると、相続権は次の順位の相続人に移ります。例えば、子が全員相続放棄をすると、次は亡くなった方の父母、父母も亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人となります。自分が放棄したことで、親族が突然借金を背負う事態になりかねません。
法的に連絡する義務はありませんが、後のトラブルを避けるためにも、相続放棄をする旨を次順位の相続人に伝えておくのがマナーです。突然の通知で驚かせないよう、事前に一報を入れておくことで、円満な関係を保つことにもつながります。
まとめ:自分で相続放棄書類を完璧に準備するコツ

相続放棄の書類を自分で作成し、手続きを成功させるためには、正確な知識と計画的な準備が不可欠です。この記事で解説した手順に従えば、専門家に頼らずとも、費用を抑えて手続きを完了させることが可能です。最も重要なポイントは、正確な書類準備と期限の厳守です。
特に、戸籍謄本の収集や申述書の記入は慎重に行い、提出前には必ずチェックリストで最終確認を行いましょう。もし手続きの途中で不安や困難を感じた場合は、無理をせず専門家への相談も検討し、スムーズな手続きの実現を目指してください。