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老人ホームの費用が払えないときの対処法|公的制度で負担を軽く

老人ホームの費用が払えないときの対処法|公的制度で負担を軽く

親御さんやご自身の老人ホーム入居を考えたとき、費用の問題は大きな壁となって立ちはだかります。「年金だけではとても足りない」「もし費用が払えなくなったらどうしよう」と、不安で夜も眠れないという方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、老人ホームの費用が払えなくなった場合の具体的な対処法から、負担を軽くするための公的制度、国民年金でも入れる低価格な施設まで詳しく解説します。経済的な不安を解消し、安心して介護を受けるための道筋を一緒に見つけていきましょう。

老人ホームの費用が払えないとどうなる?

万が一、老人ホームの費用を滞納してしまっても、すぐに退去を求められることはありません。まずは施設側から支払いに関する連絡があり、支払い計画の見直しなどを相談する期間が設けられます。一人で抱え込まず、早めに状況を伝えることが大切です。

費用滞納から強制退去までの流れ

老人ホームの費用を滞納した場合、一般的には1~3ヶ月程度の支払い猶予期間が設けられます。この間に支払いのめどが立たない場合、まずは本人ではなく契約時に定めた身元引受人や連帯保証人に連絡が入ります。それでも支払いが困難な場合は、契約解除となり退去を求められる可能性があります。

費用の滞納から退去までの一般的な流れは以下の通りです。ただし、施設によって対応は異なるため、契約書をよく確認することが重要です。支払いが難しいと感じた時点で、すぐに施設へ相談しましょう。

  • 1. 施設からの督促(電話・書面)
  • 2. 身元引受人・連帯保証人への連絡
  • 3. 施設側との支払いに関する協議
  • 4. 契約解除の通知
  • 5. 強制退去

支払いが困難になる主な理由とは

老人ホームの費用支払いが困難になる主な理由として、まず入居者本人の年金不足や貯蓄の枯渇が挙げられます。当初の資金計画通りに進まず、想定外の出費で経済状況が悪化するケースは少なくありません。医療費の増大なども大きな要因の一つです。

また、入居中に要介護度が変化し、追加の介護サービス費用が発生することも原因となります。介護度の変化による負担増は誰にでも起こりうるため、余裕を持った資金計画が重要です。特に、有料老人ホームでは費用減免制度が少ないため注意が必要です。

費用が払えなくなった時の5つの対処法

老人ホームの費用が払えなくなった際は、決して一人で悩まないでください。まずは専門家に相談し、公的な制度を活用したり、より負担の少ない施設へ移ったりと、いくつかの解決策があります。冷静に状況を整理し、最適な方法を見つけましょう。

まずは施設やケアマネジャーに相談する

支払いが困難になった場合、最初にすべきことは施設長や生活相談員、担当のケアマネジャーに相談することです。滞納してしまう前に正直に状況を話すことで、支払い期限の猶予や分割払いなど、柔軟な対応を検討してもらえる可能性があります。

専門家は、公的な助成制度や負担軽減策に関する知識も豊富です。一人で情報を探すよりも的確なアドバイスを得られるため、今後の見通しを立てやすくなります。問題を先送りにせず、できるだけ早く相談の場を設けましょう。

公的制度を活用して負担を軽減する

日本の介護保険制度には、利用者の負担を軽減するための様々な仕組みが用意されています。例えば「高額介護サービス費」や「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」などを利用すれば、月々の自己負担額を大きく抑えることが可能です。

これらの助成制度は、ご自身で市区町村の窓口へ申請する必要があります。利用できる制度があるか分からない場合は、地域包括支援センターに問い合わせることをおすすめします。知っているだけで、経済的な負担は大きく変わります。

資産を売却して介護費用を捻出する

預貯金だけでは費用が足りない場合、不動産や有価証券といった資産の売却も選択肢の一つです。特に、空き家になっている自宅を売却することで、まとまった介護資金を確保できるケースは多くあります。売却には時間がかかるため、早めに準備を始めましょう。

また、自宅を担保に生活資金を借り入れる「リバースモーゲージ」という制度もあります。住み慣れた家を手放さずに資金を調達できる方法として注目されていますが、利用には条件があるため、金融機関や専門家への相談が必要です。

より費用が安い施設への転居を検討する

現在の施設の費用負担が重い場合、より低価格な施設への転居も有効な解決策です。特に、特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設は、民間の有料老人ホームに比べて費用が安い傾向にあります。ただし、入居待機者が多い点には注意が必要です。

転居を検討する際は、現在の施設の契約書を確認しましょう。入居一時金の未償却分が返還される場合があります。新しい施設を探す際は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、本人の心身の状態に合った場所を慎重に選ぶことが大切です。

在宅介護に切り替える選択肢も考える

施設の費用負担がどうしても難しい場合は、在宅介護に切り替えるという選択肢もあります。訪問介護やデイサービスといった介護保険サービスを組み合わせることで、住み慣れた自宅で暮らしながら必要なケアを受けることが可能です。

在宅介護は、家族の協力や住環境の整備が不可欠です。家族の介護負担や経済的なコストを総合的に比較検討し、本人にとって最善の選択かどうかを慎重に判断する必要があります。ケアマネジャーと相談しながら、具体的な介護計画を立てましょう。

負担を軽くする公的制度と助成金を解説

介護にかかる経済的負担は、公的な制度をうまく活用することで軽減できます。所得や資産の状況に応じて利用できる制度は様々ですので、ご自身の状況に合ったものを探し、積極的に申請することが重要です。ここでは代表的な制度をご紹介します。

高額介護サービス費で自己負担を抑える

高額介護サービス費制度は、1か月に支払った介護保険サービスの自己負担額が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた分の金額が払い戻される制度です。これにより、介護サービスを多く利用しても負担が過大になるのを防ぎます。

対象者には市区町村から申請書が送られてくる場合が多いですが、一度申請すれば次回以降は自動的に振り込まれるようになります。払い戻しには時効があるため、通知が届いたら忘れずに手続きをしましょう。

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

この制度は、所得や資産が一定基準以下の人が介護保険施設に入所した場合に、食費と居住費の負担を軽減するものです。利用するには、市区町村に申請して「介護保険負担限度額認定証」の交付を受け、施設に提示する必要があります。

負担限度額は所得段階に応じて設定されており、認定を受けることで自己負担額を大幅に減らせる可能性があります。有料老人ホームは対象外ですが、特別養護老人ホームなどに入所する際は必ず確認したい制度です。

低所得者向けの利用者負担額軽減制度

これは、市区町村が独自に実施している場合がある軽減制度です。特に、社会福祉法人が運営する施設やサービスを利用する低所得者の方を対象に、利用者負担額や食費、居住費などが減額されることがあります。

制度の有無や内容は自治体によって異なるため、まずはお住まいの市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせてみることが大切です。対象となる場合は、経済的な助けになるでしょう。

医療費も高額な場合の高額医療合算制度

1年間の医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、基準額を超えた場合にその超過分が支給される制度です。医療費と介護費の両方の負担が重くなっている世帯にとって、年間の負担をトータルで軽減できる仕組みとなっています。

医療と介護、両方のサービスを利用している方は、この制度の対象になる可能性があります。申請先は加入している医療保険の窓口となりますので、該当しそうな場合は確認してみましょう。

生活保護受給者向けの介護扶助制度

生活保護を受給している方が介護サービスを利用する場合、その費用は「介護扶助」として生活保護費から支払われます。これにより、介護サービスの利用者負担は原則として発生しません。経済的に困窮している方のセーフティネットとなる制度です。

生活保護の申請には資産や収入に関する厳しい審査がありますが、本当に生活に困っている場合は、ためらわずに市区町村の福祉事務所に相談してください。専門の相談員が対応してくれます。

国民年金でも入れる低価格な施設の種類

「国民年金だけでは老人ホームには入れない」と諦めていませんか?実は、公的施設を中心に、比較的費用を抑えて入居できる施設も存在します。それぞれの施設の特徴を理解し、ご自身の状況に合った選択肢を検討してみましょう。

施設の種類 月額費用の目安 主な特徴
特別養護老人ホーム(特養) 約10万~15万円 公的施設で費用が安い。終身利用が可能だが待機者が多い。
介護老人保健施設(老健) 約10万~16万円 在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設。長期入所は原則不可。
ケアハウス 約10万~20万円 自立した生活に不安がある方向け。所得に応じた費用設定。
サービス付き高齢者向け住宅 約10万~30万円 賃貸契約が基本。必要な介護サービスを別途契約する。

特別養護老人ホーム(特養)

特養は、地方公共団体や社会福祉法人が運営する公的な介護施設です。民間施設に比べて費用が安く、所得に応じた負担軽減制度も利用しやすいため、年金の範囲内で利用できる可能性があります。看取りまで対応してくれる施設が多く、終の棲家として選ばれています。

ただし、人気が高いため入居待機者が非常に多いという課題があります。入居条件も原則として要介護3以上と定められており、すぐに入居できるわけではありません。早めに申し込みをしておくことが重要です。

介護老人保健施設(老健)

老健は、病気や怪我で入院した高齢者が在宅復帰を目指すためのリハビリテーションを主目的とした施設です。医師や理学療法士などが常駐し、医療ケアとリハビリが充実しています。費用は特養と同水準で比較的安価です。

注意点として、老健はあくまで在宅復帰を目的としているため、入所期間は原則として3~6か月程度とされています。長期的な入居を希望する場合には向いていませんが、一時的な利用や在宅介護への橋渡しとして有効な選択肢です。

ケアハウス(軽費老人ホーム)

ケアハウスは、身の回りのことは自分でできるものの、独立して暮らすには不安がある高齢者が対象の施設です。食事の提供や緊急時の対応といったサービスを受けられます。所得に応じて利用料の補助があるため、費用を抑えることが可能です。

「一般型」と、要介護者向けの「介護型」の2種類があります。介護型であれば、施設内で介護サービスを受けられるため、要介護度が上がっても住み続けやすいのが特徴です。比較的自由度の高い生活を送りたい方に向いています。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サ高住は、安否確認や生活相談サービスが付いた高齢者向けの賃貸住宅です。バリアフリー設計になっており、安心して生活できます。一般的な賃貸住宅と同じように契約するため、入居一時金が不要な物件も多いのが魅力です。

介護が必要な場合は、外部の訪問介護事業所などと別途契約します。必要なサービスだけを選べるため、心身の状態によっては費用を抑えられます。ただし、介護度が高くなるとサービスの利用が増え、費用が高額になる可能性もあります。

支払いに困らないための事前の予防策

老人ホームの費用で困らないためには、問題が起きてから対処するのではなく、事前の準備が何よりも重要です。元気なうちから資金計画を立て、家族としっかり話し合っておくことで、将来の不安を大きく減らすことができます。

早い段階で介護の資金計画を立てる

介護が必要になる前から、どのくらいの費用がかかるのか、自己資金はいくらあるのかを把握しておくことが大切です。年金収入や貯蓄額を基に、無理のない範囲で支払える月額費用を算出し、それに見合った施設を探すようにしましょう。

親の介護を考えている場合は、親の経済状況を把握することも不可欠です。お金の話は切り出しにくいかもしれませんが、将来のためにお互いの状況をオープンに話し合う機会を持つことが、トラブルを防ぐ第一歩となります。

家族間で費用分担について話し合っておく

親の年金や資産だけでは費用を賄えない場合、子どもが援助することになります。その際、誰が、どのくらい、どのように負担するのかを事前に兄弟姉妹間で明確に話し合っておくことが、後のトラブルを避けるために非常に重要です。

お金の負担だけでなく、身元引受人を誰が引き受けるか、施設との連絡窓口は誰が担当するかなど、役割分担も決めておくとスムーズです。話し合った内容は書面に残しておくと、より安心でしょう。

地域包括支援センター等の専門家に相談

介護に関する悩みや疑問は、公的な相談窓口である「地域包括支援センター」に相談するのがおすすめです。保健師や社会福祉士などの専門家が、無料で介護に関する相談に応じてくれます。利用できる制度や施設選びのアドバイスももらえます。

資金計画や公的制度の活用など、専門的な知識が必要な場面は多くあります。一人で抱え込まず、早い段階で専門家の力を借りることで、最適な解決策を見つけやすくなります。お住まいの地域のセンターを調べてみましょう。

まとめ:老人ホーム費用は公的制度で軽減可能

老人ホームの費用が払えないという悩みは、決して他人事ではありません。しかし、万が一支払いが困難になっても、すぐに退去を迫られるわけではなく、様々な対処法が存在します。大切なのは、一人で抱え込まずに早めに専門家へ相談することです。

高額介護サービス費や負担限度額認定といった公的制度をうまく活用すれば、経済的な負担は大きく軽減できます。また、特養やケアハウスなど低価格な施設も選択肢になります。この記事を参考に、諦めずにご自身に合った道を探してください。

老人ホーム費用に関するよくある質問

親を施設に入れたいがお金がない場合はどうすればいい?

まずはお住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。所得に応じた負担軽減制度や、比較的費用が安い特別養護老人ホームなどの公的施設について情報を得ることができます。親御さんの資産状況を確認し、最適な方法を探すことが大切です。

また、子どもが費用を援助する場合は、兄弟姉妹間で負担割合を話し合う必要があります。一人で悩まず、公的な支援と家族の協力を得ながら解決策を見つけることが重要です。お金がないからと諦める前に、まずは専門家への相談をおすすめします。

老人ホームの支払いができなくなったらどうなるの?

すぐに強制退去になることは稀です。多くの施設では、まず本人や身元引受人に連絡があり、支払い計画についての相談が行われます。一般的には1~3ヶ月程度の支払い猶予期間が設けられますので、その間に解決策を探すことになります。

支払いが困難だと分かった時点で、滞納する前に施設側へ正直に相談することが最も重要です。分割払いや公的制度の利用など、施設側も一緒になって解決策を考えてくれる場合があります。

特別養護老人ホームの月額費用はいくらくらい?

特別養護老人ホーム(特養)の費用は、入居者の所得や要介護度、部屋のタイプ(個室か多床室か)によって大きく異なります。一般的には、月額10万円から15万円程度が目安とされていますが、これはあくまで一例です。

所得が低い方は、食費や居住費の負担を軽減する「負担限度額認定」を利用できるため、自己負担額はさらに下がります。正確な費用を知るためには、入居を検討している施設に直接問い合わせるのが確実です。

親の介護費用は誰が負担するのが一般的なの?

介護費用は、まず第一に介護を受ける親本人の年金や資産で賄うのが基本です。しかし、それだけでは足りない場合、民法上の扶養義務に基づき、子どもが援助するケースが一般的です。兄弟姉妹がいる場合は、協力して分担することになります。

誰がどのくらい負担するかについて法律で明確な決まりはありません。そのため、家族間で十分に話し合い、お互いが納得できる形でルールを決めておくことが、後のトラブルを避けるために非常に重要です。

無料で入居できる老人ホームはありますか?

残念ながら、完全に無料で入居できる老人ホームは基本的に存在しません。ただし、生活保護を受給している場合は、介護費用が「介護扶助」から支払われるため、自己負担なしで施設サービスを利用できることがあります。

生活保護の申請には資産や収入などの審査がありますが、本当にお金がなくて生活に困っている場合は、セーフティネットとして利用を検討すべきです。お住まいの自治体の福祉事務所に相談してみてください。

  • この記事を書いた人

MIRAI運営者

これまで5年以上ライフエンディング業界で活動してきた実務経験を基に、ライフエンディングに関わる複雑な制度や手続き、お金の話を分かりやすく解説。専門的な情報をかみ砕き、あなたが安心して未来を準備できるよう、的確な知識でサポートします。 ■保有資格:終活ガイド資格1級

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