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成年後見制度のデメリットとは?家族が後悔しないための注意点を解説

成年後見制度のデメリットとは?家族が後悔しないための注意点を解説

親の判断能力が少しずつ衰えていくのを見ると、将来の財産管理のために「成年後見制度」の利用を考えますよね。しかし、安易に利用すると「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースも少なくありません。

この記事では、成年後見制度の9つの具体的なデメリットから、メリット、費用、そして他の選択肢までを詳しく解説します。制度の全体像を正しく理解し、ご家族にとって本当に最適な方法を見つけるための判断材料にしてください。

成年後見制度で後悔する9つのデメリット

成年後見制度は、本人の財産を守るための重要な仕組みですが、その一方で多くの制約や負担が伴います。利用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握しておくことが不可欠です。

ここでは、費用面や自由度の制限、家族関係への影響など、後悔につながりかねない9つの注意点を一つひとつ見ていきましょう。知らずに始めてしまうと、後戻りできない問題に発展する可能性もあります。

生涯払い続ける後見人への報酬

弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選ばれると、本人が亡くなるまで月々の報酬を支払い続ける必要があります。管理する財産額にもよりますが、この費用は決して安くはありません。

この生涯にわたって続く経済的な負担は、ご家族にとって大きなデメリットとなり、将来の資金計画を大きく狂わせる原因にもなり得ます。成年後見制度の費用は、慎重に検討すべきポイントです。

預貯金や不動産の自由な処分ができない

制度が始まると、本人の預貯金や不動産は家庭裁判所の監督下に置かれます。そのため、実家のリフォームや売却、資産運用といった行為は、原則として自由に行えなくなります。

大きな金額を動かす際には裁判所の許可が必要となり、手続きも煩雑です。家族の状況に合わせた柔軟な財産管理ができない点は、大きなデメリットと言えるでしょう。資産運用が禁止されることも気をつけることです。

原則として途中でやめることができない

成年後見制度は、一度開始すると本人の判断能力が回復するといった特別な事情がない限り、途中でやめることはできません。これは、本人が亡くなるまで制度が続くことを意味します。

たとえ後見人との相性が悪かったり、家族の状況が変わったりしても、簡単に解任や変更は認められません。後戻りできないという制度の重さは、利用する前に十分に理解しておくべきです。

家族が後見人になれない可能性がある

「家族が後見人になれば安心」と考える方は多いですが、申し立てをしても必ずしも希望通りになるとは限りません。家庭裁判所が、財産状況や親族間の関係を考慮して専門家を選任することがあります。

これは、家族間のトラブル事例や財産の横領リスクを避けるためです。必ずしも身内が後見人になれるわけではないという現実は、制度利用の大きなハードルの一つです。

申し立てから開始まで時間がかかる

成年後見制度の利用を決めてから、実際に後見が開始されるまでには、通常3〜6ヶ月程度の時間がかかります。必要書類の収集や家庭裁判所での審理に、想定以上の期間を要することが多いのです。

そのため、緊急で施設への入所契約を結びたい場合や、急な支払いが必要になった際にすぐ対応できません。手続きに時間がかかるため、迅速な対応が求められる場面では不向きな制度と言えます。

家庭裁判所への定期的な報告義務

後見人に選ばれると、年に一度、本人の財産目録や収支状況をまとめた報告書を作成し、家庭裁判所に提出する義務が生じます。この事務作業は非常に煩雑で、多くの時間と労力を要します。

書類に不備があれば、裁判所から何度も問い合わせや修正指示が来ることもあります。家族が後見人になった場合の精神的負担は、想像以上に大きいものであることを覚悟しなければなりません。

本人の意思より財産保護が優先される

この制度の第一の目的は、あくまで「本人の財産保護」です。そのため、本人が「孫の入学祝いにお金を渡したい」と希望しても、それが本人の財産を減らす行為と判断されれば認められないことがあります。

家族にとっては当たり前のことであっても、客観的な必要性がなければ支出は許可されません。本人のささやかな希望や意思が尊重されにくい点は、精神的なつらさを感じるデメリットです。

家族や親族間で意見が対立しやすい

成年後見制度の利用を巡って、親族間で意見が対立することは珍しくありません。「誰が後見人になるのか」「財産をどう管理するのか」といった問題が、家族の絆に亀裂を入れることがあります。

特に相続が絡むと、お互いを牽制し合うような状況にもなりかねません。家族間のトラブルを誘発するリスクがあることは、この制度のひどい側面として知っておくべきです。

本人の死後の手続きは対象外になる

成年後見人の役割と権限は、本人の死亡と同時にすべて終了します。後見人は、本人の財産を相続人に引き継ぐまで管理しますが、それ以上のことはできません。

つまり、葬儀の手配や費用の支払い、遺産分割協議といった死後の手続きは、後見人の業務範囲外となります。相続手続きについては、別途、相続人が進める必要があるのです。

デメリットだけではない制度利用のメリット

多くのデメリットがある一方で、成年後見制度には本人を守るための重要なメリットも存在します。判断能力が低下した本人を法的に保護し、安定した生活を支えるという制度本来の目的は非常に重要です。

特に財産保護と契約関連のトラブル回避において、この制度は大きな力を発揮します。ここでは、制度を利用することで得られる3つの主なメリットについて確認していきましょう。

本人の財産を詐欺などから守れる

判断能力が低下すると、悪質な訪問販売や詐欺のターゲットにされやすくなります。成年後見制度を利用すれば、後見人が財産を厳格に管理するため、本人が不必要な契約を結ぶのを防ぐことができます。

第三者による財産の搾取から本人を確実に守れる点は、家族にとって何よりの安心材料です。本人の大切な財産を維持し、安定した生活基盤を確保することにつながります。

不利な契約を取り消すことができる

成年後見制度には「取消権」という強力な権限があります。これは、本人が不利だと知らずに結んでしまった契約を、後から後見人が取り消すことができる権利です。

例えば、高額な商品を無理やり購入させられた場合でも、この権利を行使して契約を無効にし、支払ったお金を取り戻せます。万が一の消費者トラブルにも法的に対抗できる点は大きなメリットです。

介護施設への入所手続きがスムーズに

本人が施設へ入所する際や、介護サービスを利用する際には、様々な契約手続きが必要になります。本人の判断能力が不十分な場合、これらの契約をスムーズに進めることが難しくなります。

後見人がいれば、本人に代わってこれらの法律行為を代理で行うことができます。必要な介護サービスを適切なタイミングで利用できるようになり、本人の生活の質を維持しやすくなります。

後見人は家族?専門家?それぞれの違い

成年後見人には、配偶者や子などの家族がなる「親族後見人」と、弁護士や司法書士といった専門家がなる「専門職後見人」があります。どちらが選任されるかは、家庭裁判所が判断します。

それぞれにメリットと注意点があり、どちらが適しているかはご家庭の状況によって異なります。費用や専門性、事務的な負担などを比較検討することが、後悔しない選択につながります。

家族が後見人になるメリットと注意点

家族が後見人になる最大のメリットは、専門家への報酬が発生しないため費用を抑えられる点です。また、本人の性格や希望をよく理解しているため、意思を尊重したサポートがしやすいでしょう。

一方で、法律や福祉の専門知識が不足しがちで、煩雑な事務作業や家庭裁判所への報告が大きな負担となります。親族間のトラブルに発展しやすいというデメリットがあることも注意が必要です。

専門家が後見人になる場合の費用と役割

弁護士や司法書士などの専門家は、法律に関する知識が豊富で、財産管理や法的手続きを正確かつ中立的な立場で行ってくれます。家庭裁判所への報告もスムーズで、家族の負担を大きく軽減できます。

ただし、最も大きなデメリットとして、本人が亡くなるまで月々の報酬が発生します。信頼できる専門家でも、家族の意向と必ずしも一致するとは限らない点も理解しておく必要があります。

成年後見制度の利用にかかる費用とは

成年後見制度の利用をためらう大きな理由の一つが、経済的な負担です。実際に制度を利用する際には、どのくらいの費用がかかるのかを事前に把握しておくことが非常に重要です。

費用は大きく分けて、申立て時に一度だけかかる初期費用と、後見が続く限り発生する継続的な報酬の2種類があります。それぞれについて、具体的な内訳と目安を確認していきましょう。

申し立てに必要となる初期費用

制度の利用を開始するための家庭裁判所への申立てには、様々な実費がかかります。鑑定が必要と判断された場合は、さらに5万円から10万円程度の費用が追加で発生することがあります。

主な費用の内訳は以下の通りです。

  • 収入印紙代:800円
  • 登記手数料:2,600円
  • 郵便切手代:3,000円~5,000円程度
  • 診断書作成費用:数千円~数万円
  • 戸籍謄本などの取得費用:数千円

合計すると数万円から、場合によっては10万円以上かかることも想定しておくべきです。

後見人へ支払う継続的な報酬

親族後見人の場合は原則無報酬ですが、専門職後見人が選任された場合は、月々の報酬が発生します。この報酬は家庭裁判所が決定し、本人の財産の中から支払われます。

報酬額の目安は、管理する財産額によって異なりますが、基本的な報酬として月額2万円から6万円程度が一般的です。この費用が生涯続くことを念頭に、長期的な資金計画を立てる必要があります。

制度利用を回避できる他の選択肢

成年後見制度のデメリットや制約が気になる場合、他の方法で将来に備えることも可能です。特に、まだ本人の判断能力がしっかりしている段階であれば、より柔軟な選択肢を検討できます。

ここでは、成年後見制度を利用しない理由として挙げられる「自由度の低さ」をカバーできる3つの方法を紹介します。ご家族の希望や財産状況に合わせて最適な手段を見つけましょう。

元気なうちに備える任意後見制度

任意後見制度とは、本人が元気なうちに、将来判断能力が低下した際に備えて、あらかじめ自分で後見人(任意後見人)を選んでおく契約です。誰に、どのような支援をしてもらいたいかを自分で決められます。

家庭裁判所が後見人を選ぶ法定後見とは異なり、信頼できる家族や知人を後見人に指定できるのが最大のメリットです。自分の意思を将来にわたって反映させたい場合に有効な選択肢です。

柔軟な財産管理ができる家族信託

家族信託は、自分の財産を信頼できる家族に託し、契約で定めた目的に従って管理・運用してもらう仕組みです。成年後見制度と比べて、財産管理の自由度が非常に高いのが特徴です。

例えば、収益不動産の管理や積極的な資産運用、生前贈与などを契約内容に盛り込むことができます。成年後見制度では難しい、柔軟な財産承継を実現したい場合に最適な代替手段と言えます。

日常生活の支援に特化した事業

大規模な財産管理は不要で、日常的な金銭管理や公共料金の支払いに不安があるという場合には、社会福祉協議会が実施する「日常生活自立支援事業」の利用も検討できます。

これは、福祉サービスの利用手続きの援助や、預金の出し入れなどをサポートしてくれるサービスです。成年後見制度よりも手軽に利用できるため、支援が必要な範囲が限定的な方に向いています。

まとめ:後悔しないための制度利用の判断基準

成年後見制度は、財産保護という強力なメリットがある一方で、費用負担や財産処分の制限といった多くのデメリットも存在します。制度を利用してから「知らなかった」と後悔しないためには、両側面を正しく理解することが不可欠です。

本人の財産状況や意思、家族の協力体制などを総合的に考え、任意後見や家族信託といった他の選択肢とも比較検討しましょう。どの方法が最適か迷った際は、まず専門家に相談することが、ご家族にとって最良の選択への第一歩となります。

成年後見制度のデメリットに関するよくある質問

成年後見制度の主な問題点は何ですか?

主な問題点として、専門家後見人への継続的な費用負担、不動産売却など財産処分の制限、家庭裁判所への報告義務といった負担が挙げられます。また、一度開始すると原則やめられない点も大きな課題です。

特に、本人の意思よりも財産保護が優先され、柔軟な対応が難しいことが、多くの家族が直面する問題点と言えるでしょう。これらのデメリットを知恵袋などで調べて不安になる方も多いようです。

後見人の費用は月々いくらですか?

専門家が後見人になる場合、報酬の目安は家庭裁判所が定めますが、一般的に管理財産額に応じて月額2万円から6万円程度です。これは本人の財産から、本人が亡くなるまで支払われます。

家族が後見人になる場合は原則無報酬ですが、家庭裁判所の許可を得て報酬を受け取ることも可能です。継続的な費用負担は、制度利用を判断する上で重要な要素です。

後見人は家族でもなれるのですか?

はい、配偶者や子などの親族も後見人になることは可能です。これを「親族後見人」と呼びます。実際に、後見人全体の半数以上は親族が務めているというデータもあります。

ただし、最終的に誰を後見人に選任するかは家庭裁判所が判断します。財産が多い場合や親族間に争いがある場合は、専門家が選ばれる可能性が高くなります

任意後見と家族信託はどちらを選ぶべき?

どちらも本人が元気なうちに行う備えですが、目的によって選択が異なります。任意後見は財産管理と身上監護(介護契約など)の両方をカバーし、家庭裁判所の監督を受けるのが特徴です。

一方、家族信託は財産管理・承継に特化しており、より柔軟な資産活用が可能です。本人の意思を広く反映させたいなら任意後見、積極的な財産管理をしたいなら家族信託が向いていると言えます。

後見人がやってはいけないことは何ですか?

後見人は本人の利益のために行動する義務があり、その権限を濫用することは固く禁じられています。例えば、後見人が本人の財産を自分のために使う「横領」は犯罪行為です。

また、本人の居住用不動産を勝手に売却したり、リスクの高い投資を行ったりすることもできません。さらに、結婚や養子縁組といった本人の一身専属的な権利(身分行為)に介入することも許されません。

  • この記事を書いた人

MIRAI運営者

これまで5年以上ライフエンディング業界で活動してきた実務経験を基に、ライフエンディングに関わる複雑な制度や手続き、お金の話を分かりやすく解説。専門的な情報をかみ砕き、あなたが安心して未来を準備できるよう、的確な知識でサポートします。 ■保有資格:終活ガイド資格1級

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