急な訃報に接し、「香典袋の書き方が分からない」と戸惑っていませんか。特に薄墨を使うべきなのか、名前や金額はどう書けば良いのか、故人やご遺族に失礼がないようにと考えると不安になりますよね。
この記事では、葬儀の香典袋に薄墨を使う理由から、宗教や人数に応じた表書きの書き方、金額や住所の記入方法まで、基本マナーを分かりやすく解説します。正しい香典袋の書き方をマスターし、自信を持って弔意を伝えられるようになりましょう。
香典袋は薄墨で書くのが基本マナー

葬儀や通夜で渡す香典袋は、薄墨で書くのが古くからのマナーとされています。これは故人を悼む気持ちを表すための大切な習わしであり、知っておくべき基本の一つです。
薄墨には「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」「急いで駆けつけたため墨を磨る時間がなかった」といった意味が込められています。心を込めて弔意を示すためにも、なぜ薄墨を使うのかを理解しておきましょう。
なぜ香典は薄墨で書くのがマナーなの?
香典袋を薄墨で書くのは、故人への深い悲しみを表現するためです。昔ながらの毛筆では、涙が硯に落ちて墨が薄まった様子や、訃報に驚き急いで駆けつけたため、十分に墨を磨れなかった様子を表しているといわれています。
現代では筆ペンが主流ですが、この習わしは今も受け継がれています。薄墨で表書きを書くこと自体が、ご遺族に対するお悔やみの気持ちを伝える作法の一つなのです。
四十九日以降は濃い墨で書くのが一般的
薄墨を使うのは、主に通夜や葬儀から四十九日法要までの期間です。仏教では、四十九日を過ぎると故人の魂が仏様になると考えられているため、それ以降の法事では濃い墨を使うのが一般的とされています。
濃い墨は「悲しみが癒え、落ち着いて準備ができました」という意味合いも持ちます。ただし、地域や宗派によって習慣が異なる場合があるため、不安な場合は周囲に確認すると良いでしょう。
薄墨ペンがない場合の代用方法と注意点
急なことで薄墨の筆ペンが手元にない場合、普通の筆ペンを少量水で薄めて書いたり、黒のサインペンを使ったりしても問題ありません。大切なのは弔意を示すことであり、厳密に薄墨でなければ失礼というわけではありません。
ただし、ボールペンや万年筆は事務的な印象を与えるため避けましょう。代用する場合は、黒の筆記用具を選ぶのが最低限のマナーです。コンビニなどでも薄墨ペンは手に入りやすいので、時間に余裕があれば探してみるのがおすすめです。
印刷された香典袋を使っても失礼でない?
市販されている香典袋には、あらかじめ「御霊前」などの表書きが薄墨で印刷されているものも多くあります。こういった印刷された香典袋を使うことは、決してマナー違反にはあたりません。
字に自信がない方や、急いで準備しなければならない場合にとても便利です。ただし、水引の下に書く自分の名前は、心を込めて手書きするのが一般的です。名前も印刷されているタイプは避けた方が無難でしょう。
【図解】香典袋の正しい書き方を解説

香典袋の書き方には、外袋と中袋それぞれに守るべきマナーがあります。宗教による表書きの選び方から、名前や金額の具体的な記入方法まで、いざという時に迷わないよう正しい知識を身につけましょう。
ここでは、誰が見ても分かりやすいように、図解を交えながら各項目の書き方を解説していきます。一つひとつの意味を理解しながら確認していくことで、失礼のない香典袋を準備できます。
外袋(表書き)は宗教に合わせて選ぼう
香典袋の表書きは、故人の宗教・宗派によって使い分ける必要があります。宗教が分からない場合は、どの宗派でも使える「御霊前」と書くのが最も無難です。
キリスト教式の場合は「御花料」、神式の場合は「御玉串料」など、それぞれ専用の表書きがあります。事前に故人の宗教を確認できると安心ですが、不明な場合は以下の表を参考にしてください。
| 宗教 | 表書き | 注意点 |
|---|---|---|
| 仏式(全般) | 御霊前、御香典 | 多くの宗派で使えます |
| 仏式(浄土真宗) | 御仏前 | 「御霊前」は使いません |
| 神式 | 御玉串料、御榊料 | 蓮の花の絵がない袋を選びます |
| キリスト教式 | 御花料、献花料 | 十字架や百合の花の絵がある袋を使います |
外袋(名前)は人数や関係性で書き分ける
表書きの下、水引を挟んだ中央部分に、自分の名前をフルネームで書きます。会社関係で出す場合や連名で出す場合は、人数によって書き方が異なるため注意が必要です。
ご遺族が誰からの香典かすぐに分かるように、読みやすく丁寧な字で書くことを心がけましょう。主なパターンは以下の通りです。
- 個人:中央にフルネームを記載。
- 夫婦連名:中央に夫のフルネーム、その左に妻の名前のみを記載。
- 3名までの連名:目上の方を中央に書き、左へ順に名前を並べる。
- 4名以上の連名:代表者の名前を中央に書き、その左に「外一同」と添える。全員の氏名・住所・金額は別紙に書いて中袋に入れる。
中袋の表面には金額を旧漢字で記入する
中袋(または中包み)の表面中央には、包んだ金額を縦書きで記入します。この際、数字は算用数字ではなく、「壱」「弐」「参」といった旧漢字(大字)を使うのが正式なマナーです。
これは、後から金額を改ざんされるのを防ぐための習わしです。金額の頭に「金」、末尾に「圓也」を添えましょう。例えば五千円なら「金伍阡圓也」となります。
| 金額 | 旧漢字(大字) |
|---|---|
| 3,000円 | 金参阡圓也 |
| 5,000円 | 金伍阡圓也 |
| 10,000円 | 金壱萬圓也 |
| 30,000円 | 金参萬圓也 |
中袋の裏面には住所と氏名を忘れずに
中袋の裏面には、自分の住所と氏名を書きます。これは、ご遺族が香典返しやお礼状を送る際に必要となるため、非常に重要です。忘れるとご遺族に手間をかけさせてしまうので注意しましょう。
郵便番号から都道府県、番地、建物名まで正確に記入してください。中袋の文字は薄墨でなくても問題なく、読みやすいよう濃い黒のペンで書いても構いません。
中袋がないタイプの香典袋の書き方
香典袋には、中袋がなく直接お金を入れるタイプのものもあります。この場合、香典袋の裏側、左下の空いているスペースに住所と金額を記入します。
書き方は、右側に住所、左側に金額となるように配置します。この場合の金額は「金五千円」のように、算用数字や簡単な漢字で書いても問題ありません。お金が透けないよう、厚手の和紙でできた袋を選ぶと良いでしょう。
香典に関する書き方以外の基本マナー

香典を準備する際は、袋の書き方だけでなく、包む金額の相場やお札の入れ方、渡し方にも守るべきマナーが存在します。故人やご遺族への配慮を欠くことがないよう、一連の作法をしっかりと確認しておきましょう。
知らずにマナー違反をしてしまうと、せっかくの弔意が正しく伝わらない可能性もあります。社会人として恥ずかしくない振る舞いができるよう、細部まで気を配ることが大切です。
故人との関係性で決まる香典の金額相場
香典に包む金額は、故人との関係性の深さによって変わります。金額が多すぎても少なすぎてもご遺族に気を遣わせてしまうため、相場を参考にしながら自分の気持ちに合わせて決めましょう。
また、日本では「4(死)」や「9(苦)」を連想させる数字は縁起が悪いとされているため、4,000円や9,000円といった金額は避けるのがマナーです。以下の相場表はあくまで目安として参考にしてください。
| 故人との関係 | 金額相場 |
|---|---|
| 親 | 5万円~10万円 |
| 兄弟・姉妹 | 3万円~5万円 |
| 祖父母 | 1万円~3万円 |
| 友人・知人 | 5,000円~1万円 |
| 職場関係 | 3,000円~1万円 |
香典袋の種類と水引の正しい選び方
香典袋は、包む金額に合わせて格を選ぶのがマナーです。一般的に、金額が低い場合は水引が印刷されたシンプルなものを、金額が高くなるにつれて、本物の水引が付いた豪華なものを選びます。
水引の色は黒白か双銀の「結び切り」が基本です。結び切りには「不幸が二度と繰り返されないように」という意味が込められています。仏式以外では蓮の花が描かれた袋は避けるなど、宗教への配慮も忘れないようにしましょう。
お札の向きを揃えて中袋に入れるのが礼儀
香典に包むお札は、新札を避けるのがマナーです。新札は「不幸を予期して準備していた」という印象を与えかねないため、もし手元に新札しかない場合は、一度折り目を付けてから入れましょう。
お札を中袋に入れる際は、すべての向きを揃えます。お札の肖像画(顔)が中袋の裏側・下側を向くように入れるのが一般的です。これは、悲しみに顔を伏せるという意味合いを表しています。
ふくさに包んで受付で渡すのがマナー
香典袋をそのまま鞄やポケットに入れて持参するのはマナー違反です。必ず「ふくさ」と呼ばれる布に包んで持っていきましょう。ふくさは、香典袋が汚れたり水引が崩れたりするのを防ぐ役割があります。
受付では記帳を済ませた後、ふくさから香典袋を取り出し、相手から見て正面になるように向きを変えて両手で渡します。その際、「この度はご愁傷様でございます」と一言お悔やみの言葉を添えるのが丁寧です。
まとめ:葬儀の香典は薄墨で丁寧に書こう

葬儀の香典袋は、薄墨で書くのが基本マナーです。これには「悲しみの涙で墨が薄まった」という故人を悼む深い意味が込められており、ご遺族への弔意を示す大切な作法といえます。
表書きや名前の書き方、金額の相場、渡し方に至るまで、様々な決まりごとがありますが、最も重要なのは故人を偲び、ご遺族を気遣う気持ちです。この記事で解説したマナーを参考に、心を込めて丁寧に準備し、お悔やみの気持ちを伝えましょう。
香典の書き方に関するよくある質問

ここでは、香典の書き方に関して特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。いざという時に迷いがちなポイントを事前に解消しておくことで、より安心して葬儀に参列することができます。
細かな疑問点をクリアにして、自信を持って故人との最後のお別れに臨みましょう。
「御霊前」「御仏前」「御香典」の使い分けは?
「御霊前」は故人の霊の前に供えるという意味で、仏式の多くの宗派や神式、キリスト教式でも使える汎用性の高い表書きです。しかし、浄土真宗では亡くなるとすぐに仏になるという教えから「御仏前」を使います。
「御仏前」は四十九日を過ぎた法要で使うのが一般的です。「御香典」はお香の代わりという意味で、宗派を問わず使えます。宗教が不明な場合は「御霊前」または「御香典」を選ぶと間違いありません。
香典は必ず薄墨で書かないと失礼にあたる?
薄墨で書くのが最も丁寧なマナーですが、必ずしも薄墨でなければならないわけではありません。急なことで薄墨のペンが用意できない場合は、黒のサインペンや筆ペンで書いても失礼にはあたりません。
最も避けたいのは、ボールペンや万年筆、カラーペンなどを使うことです。大切なのは故人を悼む気持ちを込めて丁寧に書くことであり、筆記用具の種類よりもその心が重視されます。
香典の金額「金〇阡圓也」の書き方は?
中袋に金額を書く際は、数字の改ざんを防ぐために旧漢字(大字)を用いるのが正式なマナーです。例えば、五千円の場合は「金伍阡圓也」、一万円の場合は「金壱萬圓也」と縦書きで記入します。
「金」を頭につけ、「圓」の代わりに「円」を使っても構いません。中袋がないタイプの香典袋では、裏面に算用数字で書いても大丈夫です。
香典に千円札を複数枚入れても大丈夫?
香典のお札の枚数について、奇数が良いとされることもありますが、偶数がマナー違反というわけではありません。例えば五千円を包む際に、千円札を5枚入れても特に問題はありません。
枚数にこだわるよりも、新札を避けたり、お札の向きを揃えて入れたりすることの方が大切なマナーです。ご自身の用意できるお札で心を込めて包みましょう。
香典を書くのに適した筆記用具は?
葬儀の香典袋を書くのに最も適しているのは、薄墨の毛筆や筆ペンです。筆を使うことで、手書きの温かみと弔意をより深く表現できます。
もし筆記用具が手元にない場合は、黒のサインペンでも代用可能です。ボールペンや万年筆は事務的な印象を与えるため避けましょう。コンビニエンスストアなどでも薄墨の筆ペンが販売されていることが多いので、探してみることをお勧めします。