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遺産分割協議書のひな形|すぐ使える無料書式と失敗しない書き方

遺産分割協議書のひな形|すぐ使える無料書式と失敗しない書き方

ご家族が亡くなられ、遺産相続の手続きを進める中で「遺産分割協議書」の作成が必要になり、どう書けばよいかお困りではないでしょうか。専門家に依頼すると費用がかかるし、自分で作ろうにも書式や書き方が分からず、不備がないか不安になりますよね。

この記事では、遺産分割協議書の基本的なひな形(書式)と、失敗しないための書き方のポイントや注意点を、記入例を交えて分かりやすく解説します。この記事を読めば、法的に有効な協議書を自分で作成でき、円滑に相続手続きを進められます。

遺産分割協議書のひな形(書式)と記載例

遺産分割協議書の作成には、まず基本となる書式が必要です。当記事では、様々な状況に対応できる遺産分割協議書のひな形(書式)をご紹介します。ご自身の状況に合わせて書類作成を始める際の参考にしてください。

法務局や国税庁が提供する公的な書式もあり、用途に応じて使い分けることが重要です。財産の種類や相続人の状況に合った最適なひな形を選び、正確な協議書作りにお役立てください。

基本的な遺産分割協議書のひな形(書式)

初めて遺産分割協議書を作成する方でも安心して使える、基本的な書式をご紹介します。このひな形は、どのような相続のケースにも対応しやすいよう、必要最低限の項目を網羅した基本的な構成になっています。これを参考に、相続人や財産の情報を入力することで、協議書の骨子を作成できます。

財産の種類が少ないシンプルな相続や、まずはたたき台を作成したい場合に最適です。ご自身のパソコンなどで作成する際に、協議内容に合わせて柔軟にカスタマイズしてください。

財産の種類で選べるケース別のひな形

相続財産はご家庭によって様々です。不動産や預貯金、自動車など、特定の財産に特化した記載例を参考にすることで、記載漏れを防ぎ、より正確な協議書を作成できます。財産の種類に応じた書き方を理解すれば、特有の記載事項を迷わず記入できるでしょう。

以下のようなケース別のひな形をご活用ください。

  • 不動産(土地・建物)のみを相続する場合
  • 預貯金や株式などの金融資産を分割する場合
  • 自動車の承継者が決まっている場合
  • 相続人全員が相続放棄する場合

法務局や国税庁が提供する公式書式

公的機関が提供するひな形は、信頼性が高く、手続きの際に安心して利用できます。特に、法務局の書式は不動産の相続登記を、国税庁の書式は相続税の申告を想定して作られています。目的に合った公式書式を選ぶことが重要です。

法務局のひな形は不動産の記載に特化しており、国税庁のものは全財産を網羅する形式になっています。手続き先が求める要件を満たした書式を利用することで、申請がスムーズに進みます。

失敗しない遺産分割協議書の書き方を解説

遺産分割協議書を法的に有効なものにするためには、記載事項を正確に記入することが不可欠です。書き方のポイントを押さえることで、後々のトラブルを防ぎ、円滑な相続手続きを実現できます。これから解説する必須項目や記入例を参考に、不備のない書類を作成しましょう。

特に不動産や預貯金など、財産の種類ごとに特有の記載ルールがあります。それぞれの注意点を理解し、ご自身の状況に合わせて正しく記述することが、失敗しないための鍵となります。

はじめに確認すべき必須の記載事項

遺産分割協議書を作成する前に、必ず含めなければならない項目を確認しましょう。これらの情報に漏れがあると、書類が無効になったり、手続きが滞ったりする可能性があります。特に、被相続人と相続人全員の情報は正確に記載することが大前提です。

最低限、以下の項目は必ず盛り込むようにしてください。

  • 被相続人の情報(氏名、最後の本籍・住所、死亡年月日)
  • 相続人全員が遺産分割協議に合意した旨の記述
  • 誰がどの財産を相続するかの具体的な内容
  • 相続人全員の署名と実印による押印
  • 作成年月日

【記入例付き】各項目の書き方ポイント

各項目を正しく書くためには、具体的な記入例を参考にすると分かりやすいでしょう。例えば、「被相続人 〇〇 〇〇(昭和〇年〇月〇日生)の遺産について、共同相続人全員で協議した結果、次の通り分割することに合意した」のように、協議の前提を明確に記述します。誰が読んでも内容が一意に定まるよう、具体的に書くことが大切です。

財産の記載では、「相続人 〇〇 〇〇は、下記不動産を相続する」といった形で、相続する人と財産を明確に結びつけます。あいまいな表現は避け、第三者が見ても誤解の余地がないように心掛けましょう。

不動産を相続する場合の正確な書き方

不動産を相続財産に含める場合、その情報を極めて正確に記載する必要があります。登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている通り、一字一句間違えずに転記することが鉄則です。少しでも情報が異となると、法務局での相続登記手続きが受け付けられません。

土地と建物では記載事項が異なりますので、それぞれ正確に書き写してください。

財産の種類 主な記載事項
土地 所在、地番、地目、地積
建物 所在、家屋番号、種類、構造、床面積

預貯金や株式を相続する際の記載例

預貯金や株式などの金融資産は、どの口座や銘柄かを特定できるように具体的に記載します。金融機関での名義変更や解約手続きで必要となるため、口座番号や証券会社の情報まで詳細に明記しましょう。これにより、手続きがスムーズに進みます。

【預貯金の記載例】
・銀行名:〇〇銀行 〇〇支店
・預金種別:普通預金
・口座番号:1234567
・相続日時点の残高:金〇〇円
このように、誰の目にも明らかな形で特定できる情報を含めることが重要です。

自動車を相続する場合の記載の注意点

自動車を相続財産として記載する際は、運輸支局での名義変更(移転登録)手続きで必要となる情報を正確に記述します。手元にある車検証(自動車検査証)の内容をそのまま書き写すのが最も確実な方法です。記載に誤りがあると、手続きが遅れる原因となります。

最低でも以下の4つの項目は、車検証を確認しながら正確に記載してください。

  • 登録番号(ナンバープレートの番号)
  • 車台番号
  • 自動車の名称(メーカー名)
  • 型式

これらの情報により、車両が間違いなく特定できるようにします。

代償分割を行う場合の特別な書き方

特定の相続人が不動産など分割しにくい財産を相続する代わりに、他の相続人へ金銭を支払う「代償分割」を行う場合は、その旨を明確に記載する必要があります。誰が誰に対して、いくらの代償金を、いつまでに支払うのかを具体的に明記してください。

(記入例)「相続人Aは、不動産を相続する代償として、相続人Bに対し、金〇〇万円を令和〇年〇月〇日限り、B指定の預金口座に振り込んで支払う。」
このように、支払い義務の内容を具体的に定めることで、後の金銭トラブルを未然に防ぎます。

遺産分割協議書を自分で作成する手順

遺産分割協議書は、専門家に依頼せずとも自分で作成することが可能です。正しい手順を踏むことで、法的に有効で不備のない書類を完成させることができます。まずは相続人と財産の全体像を把握することから始め、一つ一つの段階を丁寧に進めていきましょう。

これから紹介する5つのステップに沿って作業を進めれば、初めての方でも迷うことなく作成できます。相続人全員の協力が不可欠ですので、こまめに連絡を取り合いながら進めることが成功の秘訣です。

相続人と相続財産をすべて確定させる

最初のステップとして、誰が法的な相続人であるかを確定させる必要があります。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取り寄せ、相続人を全員リストアップします。これにより、協議に参加すべきメンバーが明確になります。

次に、被相続人が所有していた全ての財産を調査し、財産目録を作成します。預貯金、不動産、有価証券、借金などのマイナスの財産も含め、全体像を正確に把握することが、公平な分割の第一歩です。

相続人全員で分割内容を話し合う

相続人と財産が確定したら、次は相続人全員で遺産の分け方を話し合います。この話し合いを「遺産分割協議」と呼びます。必ず相続人全員が参加し、全員が合意することが絶対条件です。一人でも欠けた状態での協議は無効となってしまいます。

遠方に住んでいる相続人がいる場合は、電話や手紙、オンライン会議などを活用して意思疎通を図ります。全員が納得するまで十分に話し合い、合意した内容を記録しておくことが重要です。

協議内容に基づき協議書を作成する

相続人全員の合意が得られたら、その内容を基に遺産分割協議書を作成します。この記事でご紹介する書式や記載例を参考に、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを、具体的かつ明確に記載していきます。手書きでもパソコンでの作成でも、どちらでも問題ありません。

財産の記載は、不動産なら登記簿謄本、預貯金なら通帳の情報を正確に転記します。後から見つかった財産についての取り決めも記載しておくと、将来のトラブル防止に繋がります。

相続人全員が署名し実印で押印する

協議書の案文が完成したら、内容に間違いがないか相続人全員で最終確認を行います。全員が内容に同意したら、文書の末尾に各自で署名し、実印を押印します。署名は必ず自筆で行い、印鑑は市区町村役場に登録した実印を使用してください。

この署名と実印の押印によって、相続人全員が協議内容に同意したことの法的な証明となります。押印は鮮明に行い、誰の印鑑か分かるようにすることが大切です。

人数分の印鑑証明書を添付して完成

最後に、相続人全員の印鑑証明書を協議書に添付します。印鑑証明書は、押印された印鑑が本人の実印であることを公的に証明するための重要な書類です。協議書に署名・押印した日から3ヶ月以内、または6ヶ月以内に発行されたものを求められることが多いです。

遺産分割協議書は、相続人の人数分作成し、各自が1通ずつ保管するのが一般的です。全ての協議書に全員分の印鑑証明書を添付して、ようやく遺産分割協議書が完成となります。

作成時の法的効力とトラブル回避のコツ

遺産分割協議書は、相続手続きを円滑に進めるための重要な書類ですが、その効力を確実なものにするにはいくつかの条件を満たす必要があります。法的な要件を理解し、将来の親族間トラブルを未然に防ぐためのポイントを押さえておくことが大切です。

ここでは、協議書が法的に有効となるための条件や、作成時に注意すべき点について解説します。正しい知識を持つことで、安心して手続きを進めることができるようになります。

法的に有効な協議書にするための条件

遺産分割協議書が法的な効力を持つためには、絶対に守らなければならない条件があります。最も重要なのは、法定相続人全員が遺産分割協議に参加し、その内容に合意していることです。一人でも協議に参加していない相続人がいる場合、その協議書は無効となります。

そして、その合意の証として、協議書には相続人全員が自署し、実印で押印する必要があります。この2つの条件が揃って初めて、不動産の名義変更や預貯金の解約といった法的な手続きに使える有効な書類となります。

後々の親族トラブルを防ぐための注意点

遺産分割協議書の作成は、相続トラブルを防ぐ絶好の機会です。後になって「そんな話は聞いていない」といった争いを避けるため、協議内容はできるだけ具体的に、誰が読んでも誤解が生じないように記載しましょう。特に金銭が絡む代償分割では、金額や支払期日を明確にすることが不可欠です。

また、「本協議書に記載のない遺産が後日発見された場合は、〇〇がこれを取得する」といった一文を加えておくと、予期せぬ財産が見つかった際の新たな争いを防ぐことができます。

遺産分割協議書が不要になるケースとは

すべての相続で遺産分割協議書が必要になるわけではありません。例えば、被相続人が法的に有効な遺言書を残しており、その中で遺産の分割方法が具体的に指定されている場合は、原則として遺言書の内容が優先されるため、協議書は不要です。

その他にも、法定相続人が一人しかいない場合や、相続人全員が法定相続分の割合で財産を分けることに合意している場合も、協議書を作成する必要はありません。ただし、手続きによっては金融機関などから提出を求められることもあります。

協議書の作成期限と主な提出先一覧

遺産分割協議書そのものに、法律で定められた作成期限はありません。しかし、相続税の申告が必要な場合は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納税を済ませる必要があり、それまでに協議を終えておくのが一般的です。

完成した協議書は、各種手続きで必要となります。主な提出先は以下の通りです。

手続き内容 主な提出先
不動産の相続登記 法務局
預貯金の名義変更・解約 金融機関(銀行、信用金庫など)
相続税の申告 税務署
自動車の名義変更 運輸支局

まとめ:ひな形を使い円滑な相続手続きを

遺産分割協議書の作成は、初めての方にとっては難しく感じるかもしれませんが、正しい手順と書き方のポイントを押さえれば、ご自身で作成することが十分に可能です。この記事でご紹介したひな形の書式や記入例を参考にすることで、記載漏れや不備を防ぎ、法的に有効な書類を完成させることができます。

相続人全員が納得する形で協議をまとめ、その内容を正確に書面に残すことが、後のトラブルを避け、円満な相続を実現する鍵となります。もし作成に不安を感じたり、相続関係が複雑な場合は、無理せず司法書士などの専門家へ相談することも検討しましょう。

遺産分割協議書の作成に関するよくある質問

ここでは、遺産分割協議書の作成に関して、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。手続きを進める上での小さな不安を解消し、自信を持って書類作成に取り組むためにお役立てください。

専門的な内容も含まれますが、できるだけ分かりやすく解説します。基本的な疑問から費用に関することまで、気になる点をクリアにしていきましょう。

遺産分割協議書は自分で作成できますか?

はい、作成できます。法律などの専門知識がなくても、この記事でご紹介したひな形の書式や書き方を参考にすれば、相続人自身で遺産分割協議書を作成することは十分可能です。

ただし、相続人の関係が複雑であったり、財産の種類が多く評価が難しい場合など、内容が複雑なケースでは、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続人が一人でも遺産分割協議書は必要ですか?

いいえ、必要ありません。遺産分割協議は、複数の相続人がいる場合に、その遺産の分け方を話し合う手続きです。そのため、法定相続人が一人しかいない場合は協議をする相手がいないため、遺産分割協議書を作成する必要はありません。

ただし、不動産の相続登記などの手続きでは、自分が唯一の相続人であることを証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などが必要になります。

協議書に添付する印鑑証明書は何通必要ですか?

遺産分割協議書は、相続人の人数分作成し、それぞれが1通ずつ保管するのが一般的です。そのため、印鑑証明書も相続人全員分を、作成した協議書の部数分だけ用意するのが理想的です。

例えば、相続人が3人いる場合は、協議書を3通作成し、それぞれの協議書に3人全員の印鑑証明書(合計9通)を添付します。ただし、手続き先によっては原本還付が可能な場合もありますので、事前に確認するとよいでしょう。

司法書士に作成を依頼した場合の費用は?

司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用は、遺産の内容や相続人の数によって変動しますが、一般的には5万円から15万円程度が相場とされています。

財産に不動産が含まれ、相続登記まで併せて依頼する場合や、相続関係が複雑で戸籍の収集から依頼する場合などは、費用が加算されることがあります。依頼する前には、必ず見積もりを取って費用を確認しましょう。

協議書に押す印鑑は実印でなければだめですか?

法律上、遺産分割協議書への押印が実印でなければならないという決まりはありません。しかし、不動産の相続登記や金融機関での手続きの際に、本人確認の証明として実印と印鑑証明書の提出を求められることがほとんどです。

そのため、後々の手続きをスムーズに進めるためにも、特別な事情がない限り、全員が実印で押印するのが一般的であり、強く推奨されます。認印で作成すると、手続きの際に再度実印で作成し直すよう求められる可能性があります。

  • この記事を書いた人

MIRAI運営者

これまで5年以上ライフエンディング業界で活動してきた実務経験を基に、ライフエンディングに関わる複雑な制度や手続き、お金の話を分かりやすく解説。専門的な情報をかみ砕き、あなたが安心して未来を準備できるよう、的確な知識でサポートします。 ■保有資格:終活ガイド資格1級

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