大切なご家族が亡くなられ、深い悲しみの中、様々な手続きに追われていることとお察しいたします。特に年金事務所での手続きは、専門用語も多く「何から始めればいいのか分からない」と不安に感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。必要な書類や期限が分からず、手続きが進まないというお悩みは、決してあなただけではありません。
ご安心ください。この記事では、年金事務所での死亡手続きの全体像から、具体的な流れ、必要書類、遺族が受け取れる年金の種類までを網羅的に解説します。この記事を読めば、複雑な年金手続きを不備なくスムーズに完了させるための知識が身につき、落ち着いて故人様のための手続きを進められるようになります。
年金事務所での死亡手続きの全体像

年金受給者が亡くなった場合、年金の支給を止める手続きや、遺族が受け取れる可能性のある年金の請求など、いくつかの手続きが必要になります。まずは手続きの全体像を把握することが、一つひとつを確実に行うための近道です。ここでは、必要な手続きの種類や、関係機関の役割の違いについて解説します。
故人の死亡後に必要な年金手続き一覧
ご家族が亡くなった後、年金に関して行うべき手続きは一つではありません。主に、年金の支給を停止するための届出や、未支給分の請求、そして遺族の生活を支えるための年金の請求が考えられます。これらの手続きを漏れなく行うことが重要です。具体的には、以下のような手続きが必要となります。
手続きにはそれぞれ期限が設けられているものもあるため、注意が必要です。故人の年金加入状況によって必要な手続きが異なるため、まずはご自身の状況と照らし合わせて、どの手続きが必要になるのかを確認しましょう。
- 年金受給権者死亡届の提出
- 未支給年金・未支払給付金請求
- 遺族年金の請求
- 死亡一時金の請求(国民年金の場合)
年金事務所と市役所の役割の違い
故人の死亡に関する手続きは、年金事務所と市役所の両方で行いますが、その役割は明確に異なります。市役所へ提出する「死亡届」は、戸籍や住民票に関する手続きであり、あくまでも法的な死亡の事実を記録するためのものです。この届出だけでは年金の手続きは完了しません。
一方、年金事務所で行う手続きは、年金の支給停止や遺族への給付に直結するものです。年金制度に関する専門的な手続きは年金事務所が担当すると覚えておきましょう。市役所でも国民年金に関する一部の手続きは可能ですが、厚生年金が関わる場合は年金事務所での手続きが必須となります。
手続きの対象者になるのは誰か
年金の死亡手続きを行うのは、主に故人と生計を同一にしていた遺族です。具体的には、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹などが該当し、故人との関係性や生計維持関係によって手続きできる方が決まります。特に、未支給年金や遺族年金を受け取れる可能性がある方が手続きの中心となります。
これらの手続きは、遺族の権利を守るために非常に重要です。もし手続きを行える遺族がいない場合や、誰が手続きすべきか不明な場合は、年金事務所に相談することで適切な案内を受けられます。ご自身の状況を伝え、誰が対象者となるのかを正確に確認することが大切です。
年金事務所での死亡手続きの具体的な流れ

手続きの全体像を理解したら、次は具体的な進め方を確認していきましょう。期限内に手続きを完了させることはもちろん、相談窓口の探し方や予約の要否、郵送での方法など、ご自身の状況に合わせた最適な手段を選ぶことで、心身の負担を軽減しながら手続きを進めることができます。
手続きの期限はいつまでにすれば良いか
年金の死亡手続きには、法律で定められた提出期限があります。厚生年金を受給していた場合は死亡日から10日以内、国民年金のみを受給していた場合は14日以内です。この期限内に「年金受給権者死亡届」を提出する必要があります。葬儀などで多忙な時期ですが、忘れないようにしましょう。
もし手続きが遅れてしまうと、故人の口座に年金が振り込まれ続け、後で返還手続きが必要になるなど、かえって手間が増えてしまいます。期限を過ぎても手続きは必ず行う必要がありますので、できるだけ速やかに着手することをおすすめします。いつまでに手続きすべきか、カレンダーに印をつけておくと安心です。
相談や手続きができる窓口の探し方
年金の死亡手続きは、原則として故人の住所地を管轄する年金事務所、または街角の年金相談センターで行います。どこの年金事務所に行けばよいか分からない場合は、日本年金機構のウェブサイトで簡単に検索できます。郵便番号や住所から最寄りの窓口を探してみましょう。
また、手続きに関して不明な点や不安なことがある場合は、「ねんきんダイヤル」に電話で問い合わせることも可能です。事前に相談して疑問を解消しておくことで、窓口での手続きがよりスムーズになります。ウェブサイトや電話を上手に活用して、ご自身にとって便利な窓口を見つけてください。
来所の際に予約は必要になるのか
年金事務所や街角の年金相談センターへ直接訪問して手続きや相談をする場合、事前の予約が推奨されています。予約をしなくても対応はしてもらえますが、予約者を優先するため、長時間の待ち時間が発生する可能性があります。特に、複雑な相談を要する場合は予約が望ましいです。
予約は電話で行うことができ、「予約受付専用電話」が設けられています。事前に予約をしておくことで、指定した日時にスムーズに相談を開始できるため、忙しい中でも計画的に手続きを進めることができます。大切な時間を有効に使うためにも、ぜひ予約制度の利用を検討してください。
郵送で手続きを済ませる方法
年金事務所が遠方にある、あるいは体調がすぐれないなどの理由で窓口へ行くのが難しい場合、郵送で手続きを済ませることも可能です。「年金受給権者死亡届」は郵送での提出が認められています。日本年金機構のウェブサイトから書類をダウンロードし、必要事項を記入して提出しましょう。
ただし、郵送の場合は書類に不備があると、電話での確認や再提出が必要になり、かえって時間がかかってしまうこともあります。記入漏れや添付書類の不足がないか、送付前に複数回確認することが大切です。郵送手続きを選ぶ際は、書類の準備をより慎重に行うよう心がけてください。
年金事務所の死亡手続きで必要な書類

手続きを円滑に進める上で、最も重要なのが必要書類の準備です。書類に不備があると手続きが滞り、何度も年金事務所へ足を運ぶことになりかねません。事前にチェックリストで確認し、漏れなく揃えておくことが、スムーズな手続きの鍵となります。ここでは、具体的な必要書類について解説します。
必須となる基本の書類チェックリスト
年金の死亡手続きでは、いくつかの書類を提出する必要があります。故人の年金の種類や遺族の状況によって若干異なりますが、基本となるのは以下の書類です。手続きに向かう前に、このリストを参考に準備を進めましょう。不明な点は、事前に年金事務所へ確認すると安心です。
特に、故人の死亡を証明する書類や、手続きを行う方との関係を示す戸籍謄本は重要です。これらの書類は原本が必要となる場合が多いため、コピーではなく原本を用意してください。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 年金受給権者死亡届 | 未支給年金請求書と一体の場合あり |
| 故人の年金証書 | 紛失した場合は窓口で相談 |
| 死亡の事実を証明する書類 | 住民票除票、戸籍抄本など |
| 請求者の本人確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証など |
| 請求者の預金通帳 | 未支給年金等の振込先として |
故人の年金証書が見つからない時の対処法
いざ手続きをしようとした際に、故人の年金証書が見つからず困ってしまうケースは少なくありません。しかし、ご安心ください。年金証書を紛失した場合でも、死亡手続きは可能です。年金事務所の窓口で、証書を紛失した旨を伝えれば、適切な対応をしてもらえます。
手続きの際には、故人の基礎年金番号が分かるもの(ねんきん定期便など)があれば、よりスムーズに進みます。もし基礎年金番号も不明な場合は、その旨も正直に相談しましょう。年金証書が見つからないからと諦めず、まずは窓口で相談することが重要です。
マイナンバーカードの提出は必要か
近年、行政手続きのデジタル化が進んでおり、年金手続きも例外ではありません。故人のマイナンバーが日本年金機構に登録されている場合、住民基本台帳ネットワークシステムを通じて死亡情報が連携されるため、原則として「年金受給権者死亡届」の提出を省略できます。
マイナンバーが登録されているかどうかは、「ねんきん定期便」や年金振込通知書で確認できます。この仕組みを利用することで、遺族の書類提出の負担が大幅に軽減されるという利点があります。ご自身で手続きする方のマイナンバーカードは、本人確認書類として役立ちます。
年金受給者死亡届の入手方法と書き方
「年金受給権者死亡届」は、年金事務所や街角の年金相談センターの窓口で受け取ることができます。また、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードして印刷することも可能です。ご自身の都合の良い方法で入手しましょう。どこでもらえるか分からない場合は、サイトを確認するのが早いです。
書類を記入する際は、故人の基礎年金番号や氏名、死亡年月日などを正確に記入する必要があります。記入例もウェブサイトで公開されているため、参考にしながら間違いのないように書き進めましょう。特に、未支給年金の請求を同時に行う場合は、振込先口座情報も忘れずに記入してください。
遺族が受け取れる年金の種類と請求方法

死亡手続きは、単に年金の支給を止めるだけではありません。故人が受け取るはずだった年金や、残されたご家族の生活を支えるための制度も存在します。これらの給付金は自動的に支払われるものではなく、遺族からの請求が必要です。ご自身が対象となるかを確認し、忘れずに手続きを行いましょう。
未支給年金の請求手続きと必要書類
未支給年金とは、故人が亡くなった際にまだ受け取っていなかった年金のことを指します。例えば、年金は偶数月に前2ヶ月分が支払われるため、亡くなった月までの年金が未払いになっているケースがあります。これは、故人と生計を共にしていた遺族が請求することができます。
この請求は、「年金受給権者死亡届」と一体になった様式の「未支給年金・未支払給付金請求書」で行うのが一般的です。死亡届と同時に手続きできるため、二度手間になりません。故人の住民票除票や請求者の住民票、戸籍謄本など、生計を同一にしていたことを証明する書類が必要です。
遺族年金を受給できる条件とは
遺族年金は、国民年金または厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。残された家族の生活を支えるための重要な制度であり、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。受給には一定の条件を満たす必要があります。
例えば、遺族基礎年金は「子のいる配偶者」または「子」が対象となります。受給できるかどうかは、故人の年金加入期間や保険料の納付状況、遺族の年齢や続柄などによって細かく定められています。ご自身が条件に当てはまるか、年金事務所で詳しく確認することが大切です。
死亡一時金を受け取れるケースも解説
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を36月以上納めた方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなった場合に、その遺族に支給される一時金です。遺族年金を受け取れない場合に、掛け捨てにならないように設けられた制度と考えると分かりやすいでしょう。
この一時金を受け取れるのは、故人と生計を共にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。ただし、遺族基礎年金の支給を受けられる遺族がいる場合は、死亡一時金は支給されません。ご自身の状況がどの制度に該当するのか、正確に把握することが重要です。
年金の死亡手続きをしない場合のリスク

ご家族を亡くされた直後は、精神的にも時間的にも余裕がなく、手続きを後回しにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、年金の死亡手続きをしないと、後々大きな問題に発展する可能性があります。手続きを怠ることで生じるリスクを正しく理解し、速やかに行動することが大切です。
年金の不正受給とみなされる可能性
故人の死亡を届け出ず、年金を受け取り続ける行為は、法律で禁止されています。たとえ意図的でなかったとしても、死亡の事実を知りながら手続きを怠れば、不正受給と判断される可能性があります。これは詐欺罪にあたる可能性もあり、厳しい罰則が科されることもあります。
年金機構は、住民基本台帳ネットワークなどを通じて受給者の生存確認を定期的に行っています。そのため、死亡の事実はいずれ必ず判明します。「知らなかった」では済まされない事態を避けるためにも、定められた期限内に必ず手続きを行うようにしてください。
過払い年金の返還義務について
死亡届の提出が遅れると、亡くなった月の翌月以降の年金が故人の口座に振り込まれてしまうことがあります。これは「過払い」となり、遺族には受け取った年金を全額返還する義務が生じます。すでに故人の口座が凍結されている場合は、金融機関とのやり取りも必要になり、手続きが複雑化します。
もし過払い分を使ってしまっていた場合でも、返還義務がなくなるわけではありません。一括での返還が難しい場合は、分割での納付について年金事務所に相談する必要があります。このような余計な手間や金銭的な負担を避けるためにも、速やかな手続きが不可欠です。
まとめ:年金事務所の死亡手続きを円滑に進める

ここまで、年金事務所での死亡手続きについて解説してきました。故人が亡くなった後の手続きは多岐にわたりますが、年金は特に重要なものの一つです。まずは手続きの全体像を把握し、期限内に必要書類を準備することが、スムーズに進めるための第一歩となります。
手続きを進める中で分からないことや不安な点があれば、一人で抱え込まずに年金事務所や街角の年金相談センターに相談しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、安心して手続きを完了させることができます。この記事を参考に、落ち着いて一つひとつの手続きを進めてください。
年金事務所の死亡手続きでよくある質問

年金受給者が亡くなると手続きは必要ですか?
はい、必ず必要です。年金の支給を停止するために、ご遺族が「年金受給権者死亡届」を年金事務所へ提出する必要があります。この手続きをしないと年金が支払われ続け、後で返還を求められることになりますので、忘れずに行ってください。
また、日本年金機構に故人のマイナンバーが登録されている場合は、この届出が原則として不要になります。手続きが簡略化されるケースもあるため、事前に「ねんきん定期便」などで登録状況を確認しておくと良いでしょう。
手続きはどの年金事務所でもできますか?
いいえ、どこの年金事務所でも手続きができるわけではありません。原則として、故人の最終的な住所地を管轄する年金事務所、または街角の年金相談センターが窓口となります。お近くの窓口がどこになるかは、日本年金機構のウェブサイトで確認できます。
もし遠方で窓口に行くのが難しい場合は、郵送での手続きも可能です。ご自身の状況に合わせて、訪問または郵送のどちらかを選択してください。ただし、郵送の場合は書類に不備がないよう、より一層の注意が必要です。
死亡の連絡はいつまでにすればいいですか?
年金の死亡届には提出期限が定められています。故人が厚生年金を受給していた場合は死亡日から10日以内、国民年金のみを受給していた場合は14日以内です。葬儀などで忙しい時期と重なりますが、非常に短い期限であるため注意が必要です。
この期限を過ぎてしまっても、手続きは必ず行わなければなりません。手続きが遅れると年金の過払いが発生し、返還手続きが必要になるなど、手間が増えてしまいます。できる限り速やかに手続きを済ませることをお勧めします。
手続きに必要な持ち物は何ですか?
手続きには、故人の年金証書、死亡の事実がわかる書類(住民票除票や戸籍抄本など)、手続きを行う方の本人確認書類(運転免許証など)と印鑑が必要です。未支給年金などを請求する場合は、請求者名義の預金通帳も持参してください。
必要な書類は、故人の年金加入状況やご遺族の状況によって異なる場合があります。二度手間を避けるためにも、事前に年金事務所へ電話で確認しておくと、当日スムーズに手続きを進めることができ安心です。
市役所への死亡届と年金の手続きは違いますか?
はい、これらは全く別の手続きです。市役所(または町村役場)へ提出する死亡届は、戸籍や住民票を整理するための法的な手続きです。市役所に死亡届を出しただけでは、年金の手続きは完了しませんのでご注意ください。
年金の支給を止めたり、遺族年金を請求したりといった手続きは、別途、年金事務所で行う必要があります。市役所での手続きとは別に、年金事務所での手続きも忘れずに行う、と覚えておくことが大切です。