
はじめに:高齢者との外食、お店選びで悩んでいませんか?
「たまには気分を変えて、お父さんやお母さんと一緒に外食を楽しみたい」
親孝行をしたい気持ちはあるものの、高齢の親との外食ではお店選びに悩んでしまうことが多いのではないでしょうか。
「硬いものは食べにくいかな」「段差があると危ないかも」「周りが騒がしいと疲れてしまうかもしれない」など、考えるべきことが多く、結局いつも同じお店になったり、外食自体をためらってしまったりすることもあるでしょう。
この記事では、そんなお悩みを解決するために、高齢者の方が心から喜んでくれる外食店の選び方から、具体的なおすすめのチェーン店までを詳しく解説します。この記事を読めば、もうお店選びで迷うことはありません。事前準備をしっかり行い、ご家族で楽しい食事の時間を過ごしましょう。
高齢者との外食で多くの人が悩むポイント
なぜ、高齢者との外食は、お店選びが難しいのでしょうか。それは、若い頃とは身体の状況や好みが変化してくるためです。お店選びで失敗しないためには、まず高齢者の方が外食でどのようなことに悩みや不便を感じるのかを理解しておくことが大切です。主な悩みは「メニュー」「設備」「雰囲気・アクセス」の3つに分けられます。
メニュー選び(硬さ・量・味付け)
高齢になると、噛む力や飲み込む力が弱くなるため、硬い食材や大きな食べ物は避ける傾向にあります。また、持病などによって塩分や脂質を控えている方も少なくありません。健康を意識した薄味で、消化の良い料理が好まれます。
さらに、一度に食べられる量が減ってくるため、「一人前の料理を全部食べきれるだろうか」という心配も出てきます。メニューを選ぶ際は、料理の硬さや味付け、量などを慎重に考慮する必要があるのです。
お店の設備(バリアフリー・個室・トイレ)
身体機能の変化は、お店の設備への要望にも繋がります。例えば、足腰が弱くなっている方にとって、階段や少しの段差も大きな負担になります。車椅子を利用している場合は、スロープの有無や通路の広さ、テーブル席かどうかが重要です。
また、広くて手すりの付いた多目的トイレが設置されていると、ご本人もご家族も安心して利用できます。周りの目を気にせずゆっくり過ごせる個室や、静かな席を好む方も多いため、お店の物理的な環境は非常に重要なチェックポイントです。
お店の雰囲気とアクセス
賑やかすぎるお店や、BGMの音が大きすぎるお店は、会話がしづらく、高齢の方にとっては疲れの原因になることがあります。ゆったりと落ち着いた雰囲気のなかで、家族との会話や食事そのものを楽しみたいと考えている方が多いでしょう。
また、お店への行きやすさ、つまりアクセスも重要です。自宅から遠すぎず、公共交通機関でも行きやすい場所か、車で行くなら駐車場があるかなど、移動の負担をいかに軽減できるかという視点も、お店選びには欠かせません。
もう迷わない!高齢者が喜ぶ外食店の選び方【5つのポイント】
高齢者の方が抱える外食での悩みを踏まえ、お店選びで失敗しないための5つの具体的なポイントをご紹介します。これらのポイントを押さえて事前準備をすれば、当日は安心して食事を楽しむことができるでしょう。
1. 食べ慣れた和食中心か、本人が好きなジャンルを選ぶ
何を食べたいか迷ったら、まずは和食を選ぶのが最も安心です。出汁を基本とした優しい味付けや、魚・野菜中心のメニューは、多くの高齢者にとって食べ慣れた味であり、消化にも良いためです。
ただし、最も大切なのはご本人の希望です。「お寿司が食べたい」「たまにはお肉もいいな」といったリクエストがあれば、ぜひその気持ちを尊重してあげましょう。その際は、柔らかいメニューがあるか、コースの量は適切かなどを事前に確認すると、より安心して楽しめます。
2. メニューの柔軟性(柔らかめ、薄味、少量など)を確認する
お店に予約を入れる際に、食事に関するリクエストが可能か確認しておくと安心です。高齢の方がいることを伝えた上で、以下のような対応が可能か尋ねてみましょう。
- 食材を細かく、または柔らかく調理してもらう
- アレルギーや苦手な食材を除いてもらう
- 塩分控えめなどの味付け調整
- ご飯の量を減らす、おかゆに変更する
快く対応してくれるお店は、高齢者への配慮が行き届いている可能性が高いと言えます。
3. バリアフリー対応(段差なし・車椅子・トイレ)をチェック
お店の物理的な環境は、予約前に必ず確認すべき最重要ポイントです。公式サイトの店舗情報を見たり、直接電話で問い合わせたりして、以下の点を確認しましょう。
- 入口や店内に段差はないか(スロープはあるか)
- 車椅子で入店・移動できる通路幅があるか
- テーブル席はあるか(掘りごたつは膝に負担がかかる場合も)
- 手すり付きの広いトイレはあるか
これらの設備が整っていると、ご本人も介助する家族も、身体的な負担や心配が大きく減ります。
4. 周りを気にせず過ごせる個室や落ち着いた席を選ぶ
お祝いの席や、家族水入らずでゆっくり会話を楽しみたい場合は、個室の予約がおすすめです。周りの喧騒を気にすることなく、自分たちのペースで食事と会話を満喫できます。
個室がないお店でも、予約時に「高齢の親と一緒なので、なるべく静かで落ち着いた席をお願いします」と伝えるだけで、壁際の席や奥まった席に案内してくれることがあります。少しの配慮で、食事の時間の快適さが大きく変わります。
5. アクセスの良さと駐車場の有無も忘れずに
お店が決まったら、そこまでの移動手段もしっかり計画しておきましょう。車で行く場合は、駐車場の有無はもちろん、お店の入口から近い場所に停められるかどうかも可能であれば確認しておくと親切です。
電車やバスを利用する場合は、駅からお店までの距離、坂道や階段の有無などを地図アプリなどでシミュレーションしておくと良いでしょう。移動の負担を最小限にすることが、外食全体を楽しい思い出にするための隠れたポイントです。
【ジャンル別】高齢者におすすめの外食チェーン店15選
ここでは、全国に店舗があり、比較的どの地域からでも利用しやすく、高齢者への配慮があることで人気の外食チェーンをジャンル別に15店舗ご紹介します。お店選びの参考にしてください。
【和食・定食】栄養バランスも安心のおすすめ3選
主食・主菜・副菜が揃った定食メニューが豊富な和食レストランは、高齢者との外食の王道です。栄養バランスが取りやすく、メニュー選びにも困りません。
和食さと
鍋料理や天ぷら、お寿司など、本格的な和食メニューが豊富に揃っています。季節ごとの限定メニューも魅力で、三世代での食事にも対応できるメニューの幅広さが人気です。食べ放題プラン「さとしゃぶ」「さとすき」も有名です。
大戸屋ごはん処
家庭的な和定食が中心で、健康に配慮したメニューが人気です。魚料理や野菜を使った副菜が多く、栄養バランスを気にする方におすすめ。ご飯を五穀米に変更できる(無料)のも嬉しいポイントです。
夢庵
すかいらーくグループが運営する和食レストラン。うどんやそば、天ぷら、丼ものなど、幅広い和食メニューを手頃な価格で楽しめます。しゃぶしゃぶ食べ放題も提供しており、幅広い世代に支持されています。
【寿司】世代を問わず楽しめるおすすめ3選
お祝いの席など、少し特別な気分の時に人気のジャンルがお寿司です。自分の好きなものを好きな量だけ食べられる回転寿司は、高齢者にも人気があります。
かっぱ寿司
食べ放題「食べホー」が有名ですが、通常の注文ももちろん可能です。定番のネタから創作寿司まで種類が豊富。茶碗蒸しやうどんなどのサイドメニューも充実しているため、生魚が苦手な方でも楽しめます。
スシロー
「うまいすしを、腹一杯。」をコンセプトに、質の高いネタを手頃な価格で提供することで人気です。期間限定のフェアも頻繁に開催されており、いつ訪れても新しい発見があります。ラーメンやデザートにも力を入れています。
くら寿司
すべての寿司に抗菌カバーが付いているのが特徴で、衛生面で安心感があります。化学調味料などを使わない「無添加」にもこだわっています。5皿で1回ゲームに挑戦できる「ビッくらポン!」は、お孫さんと一緒の食事で喜ばれます。
【うどん】やわらかくて食べやすいおすすめ3選
柔らかく温かいうどんは、噛む力や消化に不安がある高齢者でも安心して食べられるメニューの代表格です。天ぷらなどを追加して、好みに合わせて調整できるのも魅力です。
丸亀製麺
打ち立て・茹でたての本格的な讃岐うどんをセルフ形式で楽しめます。釜揚げうどんやかけうどんなど、温かくてシンプルなメニューが人気。天ぷらやおにぎりを自分で選べるのも楽しみの一つです。
はなまるうどん
こちらもセルフ形式の讃岐うどんチェーン。かけうどん(小)は一杯あたりの価格が非常に安く、量をあまり食べられない方でも気軽に注文できます。野菜がたっぷり入ったメニューがあるのも特徴です。
味の民芸
手延べ製法にこだわったうどんが名物のレストラン。セルフ形式ではなく、店員さんが席まで運んでくれるフルサービス形式なので、ゆっくりと食事を楽しみたい場合におすすめです。和食御膳などのセットメニューも充実しています。
【ファミリーレストラン】メニューが豊富で安心のおすすめ3選
和食・洋食・中華と、あらゆるジャンルのメニューが揃うファミリーレストランは、食べたいものが家族で分かれた時に便利です。ドリンクバーがあるお店も多く、ゆっくり過ごせるのが魅力です。
ガスト
すかいらーくグループの代表的なファミリーレストラン。ハンバーグやパスタなどの洋食から、和食膳までメニューが非常に豊富です。チーズINハンバーグが看板メニューとして知られています。
ロイヤルホスト
他のファミリーレストランと比較して、やや高めの価格設定ですが、その分、料理の質やサービスに定評があります。黒×黒ハンバーグやオニオングラタンスープなど、長年愛される人気メニューが揃っています。
デニーズ
洋食メニューが中心ですが、和食や健康を意識したメニューも提供しています。特に季節のフルーツを使ったパフェなどのデザートは評価が高く、食後の楽しみとして人気です。
【中華料理】少し特別な日にもおすすめ3選
本格的な中華料理は、普段の食事とは少し違った気分を味わいたい時におすすめです。大皿料理を取り分けるスタイルなら、各自が好きなものを好きなだけ食べられます。
バーミヤン
すかいらーくグループの中華レストラン。本格的な中華料理を手頃な価格で楽しめます。餃子やラーメン、チャーハンなどの定番メニューはもちろん、北京ダックなどの豪華な料理もあります。
餃子の王将
看板メニューの餃子をはじめ、安くて美味しい町中華の味を堪能できます。店舗ごとに独自のオリジナルメニューがあるのも特徴。活気のある雰囲気で、食事を楽しみたい家族におすすめです。
日高屋
ラーメンや中華そばを中心に、定食や一品料理を提供するチェーン。特に首都圏を中心に店舗数が多く、「ちょい飲み」の場としても人気ですが、野菜たっぷりタンメンなど、高齢者にも嬉しいメニューがあります。
【地域別】高齢者と外食できるお店の探し方(東京・大阪・横浜など)
全国チェーンだけでなく、「地元の美味しいお店に連れて行ってあげたい」と思う方も多いでしょう。ここでは、東京・大阪・横浜といった都市部や、お住まいの地域で高齢者向けのお店を探すコツをご紹介します。
グルメサイトの絞り込み検索を活用する
「食べログ」や「ぐるなび」などの大手グルメサイトには、詳細な条件で飲食店を絞り込める機能があります。「個室」「バリアフリー」「車椅子可」「日曜営業」といった条件にチェックを入れて検索するだけで、候補となるお店を簡単に見つけることができます。
フリーワード検索で「顔合わせ」「お祝い」「法事」といったキーワードを入力するのも有効です。フォーマルな用途で使われるお店は、落ち着いた雰囲気でサービスが丁寧な場合が多いからです。
自治体の高齢者向け情報を参考にする
地域によっては、自治体や社会福祉協議会が、高齢者の会食に協力的な飲食店の一覧を作成・公開している場合があります。お住まいの市区町村のウェブサイトを確認したり、地域包括支援センターに問い合わせてみたりするのも良い方法です。
また、ご両親を担当しているケアマネージャーさんがいる場合は、地域の情報に詳しいため、おすすめのお店を教えてくれるかもしれません。
【記念日や親孝行に】ワンランク上のお店選びのコツ
還暦や古希、米寿といった長寿のお祝いや、結婚記念日など、特別な日には少し贅沢な外食を計画したいものです。そんな「ハレの日」のお店選びで押さえておきたいコツをご紹介します。
個室やコース料理の予約がおすすめ
お祝いの席では、周りを気にせず家族だけの時間を過ごせる個室の予約がほぼ必須と言えるでしょう。お店によっては、お祝い用のちゃんちゃんこを貸してくれたり、記念写真を撮影してくれたりするサービスもあります。
また、当日にメニュー選びで慌てないためにも、あらかじめコース料理を予約しておくのがおすすめです。アレルギーや苦手な食材を事前に伝えておけば、内容を調整してくれるお店も多くあります。
「一休.comレストラン」などで探す方法も
少し高級で、おもてなしに定評のあるレストランを探すなら、「一休.comレストラン」のような、上質な飲食店に特化した予約サイトを利用するのも賢い方法です。
個室確約のプランや、乾杯ドリンク付きのお祝い向けプランなどが豊富に用意されているため、目的に合ったお店を効率的に探せます。利用者の口コミも質が高く、お店の雰囲気を知る上で非常に参考になります。
まとめ:事前準備を万全にして、高齢者と楽しい外食を

高齢の親との外食を成功させる鍵は、何よりも「事前の入念な準備と確認」にあります。ご本人の「何が食べたいか」という希望を第一に尊重し、メニューの内容、お店の設備、アクセスのしやすさなどをしっかりと確認しておきましょう。
少しの手間をかけるだけで、当日の不安は大きく解消され、ご本人もご家族も心から食事の時間を楽しむことができます。「美味しかったね」「楽しかったね」という一言が聞ければ、その外食は最高の親孝行になります。この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ素敵な外食を計画してください。
高齢者との外食に関するよくある質問
高齢者が好むメニューや避けるべき食べ物はありますか?
一般的に、煮物、焼き魚、茶碗蒸し、豆腐料理など、出汁の味が効いた柔らかい和食が好まれる傾向にあります。一方、お餅やこんにゃくゼリーなど喉に詰まらせるリスクがあるもの、お刺身などの生もの(食中毒のリスク)、硬いせんべいやナッツ類は避けた方が賢明です。本人の好みやその日の体調に合わせて選ぶことが大切です。
高齢者の平均的な外食頻度はどのくらいですか?
外食の頻度は、健康状態や経済状況、お住まいの環境によって大きく異なるため一概には言えませんが、ある調査では「月に1~2回」あるいは「2~3ヶ月に1回」という方が多いようです。外食は気分転換の良い機会になりますが、無理のない範囲で楽しむことが重要です。
外食ばかりでも大丈夫?食事で気をつけることは?
外食は塩分や脂質が多くなりがちで、野菜が不足しやすいというデメリットがあります。外食が続く場合は、主食・主菜・副菜が揃った定食スタイルのメニューを選ぶ、家での食事は野菜スープや具沢山の味噌汁にするなど、1日あるいは数日単位で栄養バランスを調整する工夫を心がけましょう。
ファミリーレストランで特に人気なのはどこですか?
和食メニューが豊富な「和食さと」や「夢庵」、メニューのジャンルが幅広く三世代で楽しめる「ガスト」などが人気です。多くのファミリーレストランでは、バリアフリー対応が進んでいる店舗も多く、メニューの豊富さと設備の安心感から、高齢者との外食でも利用しやすい選択肢として支持されています。