PR 生活

【70代・80代・90代】高齢者のご飯の量は何グラム?食べない時の工夫も

はじめに:親の食事量、気になりませんか?ご飯の適量を知って不安を解消しましょう

「最近、親の食が細くなった気がする」「毎日用意しているご飯の量は、今の親にとって本当に適量なのだろうか?」70代、80代、90代と年齢を重ねるご家族の食事について、そんな風に悩んでいませんか。食事は健康の基本だからこそ、その量が多すぎても少なすぎても心配になるものです。

特に、日本の食卓の中心である「ご飯」の適切な量は、多くの方が抱える疑問です。この記事では、高齢の方向けの1食あたりのご飯の量を具体的なグラム数で解説します。さらに、年齢や日々の活動量に応じた目安、ご飯を食べない時の工夫、栄養バランスの考え方まで、ご家族が抱える食事の不安を解消するための情報を分かりやすくまとめました。ぜひ参考にして、日々の食事作りに役立ててください。

【結論】高齢者のご飯の量は1食100g~150gが目安

まずこの記事の結論として、高齢者の方のご飯の目安量と、なぜその量が重要なのかについて解説します。具体的なグラム数を知ることで、日々の食事準備の基本が見えてきます。

まずは茶碗一杯(150g)を基準に調整を

結論から言うと、高齢者のご飯の量は1食あたり100g~150gが基本的な目安です。市販の計量カップ(1合=180cc)で計ったお米1合(約150g)を炊くと、約330gのご飯になります。これを2食に分けると、1食あたり約165g。一般的なお茶碗に軽く一杯盛ると約150gなので、まずはそこを基準に考えると良いでしょう。

ただし、これはあくまで平均的な目安です。小柄な方や、ほとんど動かない日がある方にとっては100gでも十分な場合があります。逆に、よく動く方や体格の良い方には少し物足りないかもしれません。ご本人の体調やその日の活動量を見ながら柔軟に調整することが大切です。まずは計量して「いつもの量」を把握することから始めましょう。

なぜご飯の量が重要?エネルギー源「炭水化物」の役割

ご飯の主成分である「炭水化物」は、たんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養素の一つです。体内でブドウ糖に分解され、脳や体を動かすための最も重要なエネルギー源となります。高齢者にとって、このエネルギー源を適切に摂取することは、日々の活動レベルを維持し、健康的な生活を送るために不可欠です。

ご飯の量が不足すると、エネルギー不足で疲れやすくなったり、思考力が低下したりする原因になります。また、体はエネルギー源として筋肉を分解し始めるため、サルコペニア(加齢性筋肉減衰症)のリスクも高まります。一方で、過剰な摂取は肥満や血糖値の上昇につながるため、適量を守ることが重要です。

ご飯の量を決める「1日の必要カロリー」とは?

適切なご飯の量を把握するためには、その根拠となる「1日に必要なエネルギー(カロリー)」について知ることが近道です。ここでは、国が示す基準や、個人の活動量によって必要カロリーがどう変わるのかを解説します。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」で見るエネルギー必要量

ご飯の量を考える上で基本となるのが、1日に必要なエネルギー(カロリー)です。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、性別・年齢・そして後述する「身体活動レベル」に応じて、1日に必要なエネルギーの推定量が示されています。

この基準は、私たちが健康を維持し、生活習慣病などを予防するために推奨される食事摂取量の科学的根拠となるものです。これから解説するご飯の量も、この国が定めた基準に基づいて考えることで、よりご本人に適した量を見つけやすくなります。

【重要】3つの「身体活動レベル」で必要量は変わる

1日に必要なカロリーは、じっとしている時でも消費される「基礎代謝量」と、体を動かすことで消費される「身体活動量」で決まります。特に高齢者の場合、日中の活動量が個人によって大きく異なるため、この「身体活動レベル」を考慮することが非常に重要です。レベルは以下の3段階に分かれています。

  • レベルⅠ(低い):生活の大部分を座って過ごし、静的な活動が中心の場合(例:1日のうち、ほとんど外出せず寝たきりに近い生活)
  • レベルⅡ(ふつう):座位中心の生活だが、仕事や家事、軽い運動などを行っている場合(例:買い物や散歩に出かける、趣味の活動で外出する)
  • レベルⅢ(高い):移動や立っていることが多い活動的な仕事に従事している、または活発な運動習慣がある場合

ご家族の普段の様子が、どのレベルに最も近いかを考えながら、次の目安量を参考にしてください。

【70代・80代・90代】年代・活動レベル別の1食あたりご飯の目安量

それでは、ここまでの情報を基に、より具体的な「70代・80代・90代」の年代別、そして活動レベル別の1食あたりご飯の目安量を詳しく見ていきましょう。ご家族に最も近いケースを参考にしてください。

70代(前期高齢者)のご飯の目安量

70代はまだ活動的な方も多い年代です。身体活動レベルに合わせてご飯の量を調整しましょう。

性別活動レベル1日の必要カロリー1食のご飯の目安
男性Ⅰ(低い)2050 kcal150g~200g
Ⅱ(ふつう)2400 kcal200g~250g
女性Ⅰ(低い)1550 kcal100g~150g
Ⅱ(ふつう)1850 kcal150g~200g

80代(後期高齢者)のご飯の目安量

80代になると、活動量が少しずつ低下してくることが一般的です。食事量もそれに合わせて見直しましょう。

性別活動レベル1日の必要カロリー1食のご飯の目安
男性Ⅰ(低い)1800 kcal150g
Ⅱ(ふつう)2100 kcal150g~200g
女性Ⅰ(低い)1450 kcal100g
Ⅱ(ふつう)1700 kcal100g~150g

90代以上のご飯の目安量

90代以上では、身体活動レベルⅠに該当する方が多くなります。消化機能も考慮し、食べられる量を無理なく摂取することが大切です。上記の80代の「レベルⅠ」の数値を参考にしつつ、ご本人の食欲や体調を最優先に調整してください。

参考:寝たきりの方の食事量の考え方

寝たきりの状態の方でも、生命維持のために基礎代謝分のエネルギーが必要です。一般的に1200~1500kcal程度が目安とされますが、褥瘡(じょくそう・床ずれ)の有無など、体の状態によって必要な栄養素やカロリーは大きく異なります。必ずかかりつけの医師や管理栄養士、ケアマネジャーに相談の上、食事量を決定してください。自己判断で食事量を決めるのは危険です。

ご飯だけじゃない!健康寿命をのばす栄養バランスの考え方

適切な量のご飯を食べることは大切ですが、それだけでは健康は維持できません。ここでは、健康寿命をのばすために不可欠な食事全体の栄養バランスについて解説します。主食・主菜・副菜の基本から、特に意識したい栄養素まで見ていきましょう。

「主食・主菜・副菜」を揃えるのが基本

毎回の食事で「主食・主菜・副菜」の3つを揃えることを意識しましょう。この3つを揃えることで、必要な栄養素をバランスよく摂取しやすくなります。

  • 主食:ご飯、パン、麺類など。主に炭水化物を供給。
  • 主菜:肉、魚、卵、大豆製品など。主にたんぱく質を供給。
  • 副菜:野菜、きのこ、海藻など。主にビタミン、ミネラル、食物繊維を供給。

特に意識して摂りたい栄養素|たんぱく質・ビタミン・ミネラル

高齢期には、特に不足しがちな栄養素があります。ご飯の量を意識すると同時に、これらの栄養素を積極的に摂るようにしましょう。

  • たんぱく質:筋肉や血液の材料。肉、魚、卵、豆腐などから。不足は筋力低下の原因に。
  • カルシウム:骨や歯を丈夫にする。牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜などから。骨粗しょう症予防に不可欠。
  • 食物繊維:お腹の調子を整える。野菜、果物、きのこ、海藻などから。便秘解消に役立つ。
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける。きのこ類、魚類などから。日光を浴びることでも体内で生成されます。

【写真で見る】バランスの良い1日の食事献立例

(ここにバランスの取れた朝食の写真)

朝食:ご飯150g、焼き鮭(主菜)、ほうれん草のおひたし(副菜)、豆腐とわかめの味噌汁。たんぱく質と野菜をしっかり摂ります。

(ここにバランスの取れた昼食の写真)

昼食:ご飯150g、豚肉の生姜焼き(主菜)、千切りキャベツとトマト(副菜)、コンソメスープ。主食・主菜・副菜が揃った献立です。

(ここにバランスの取れた夕食の写真)

夕食:ご飯100g、鶏肉と野菜の煮物(主菜・副菜)、もずく酢。夜はご飯を少し軽めにし、消化の良い煮物中心にするなどの工夫も良いでしょう。

【実践】高齢者がご飯を食べない・残す時の原因と工夫

適切な量を準備しても、ご本人が食べてくれない、残してしまう、という悩みも多いでしょう。そんな時は、まず背景にある原因を探ることが大切です。ここでは、考えられる原因と、今日から試せる具体的な工夫を紹介します。

原因1:食欲不振・消化機能の低下

加齢とともに運動量が減り、消化機能も低下するため、お腹が空きにくくなることがあります。無理に食べさせようとせず、1回の食事量を減らし、間食で補うなどの工夫が有効です。おにぎりやヨーグルト、栄養補助食品などを活用しましょう。また、生姜や梅干し、ハーブなどを使って風味を加え、食欲を刺激するのも良い方法です。

原因2:嚥下(えんげ)機能・咀嚼(そしゃく)機能の低下

「最近よくむせる」「硬いものを避けるようになった」という場合は、噛む力(咀嚼)や飲み込む力(嚥下)が弱っているサインかもしれません。ご飯を水分量の多いお粥や軟飯にしたり、おかずを細かく刻んだり、あんかけにしてとろみをつけたりすることで、格段に食べやすくなります。誤嚥(ごえん)は肺炎につながる危険なサインですので、注意深く観察しましょう。

原因3:病気や薬の影響

特定の病気や服用している薬の副作用で、食欲がなくなったり、味覚が変わったりすることもあります。急に食事量が減った、味付けに文句を言うようになったなどの変化があれば、自己判断せずに必ずかかりつけ医や薬剤師に相談してください。原因が分かれば、適切な対策をとることができます。

食事を楽しんでもらうための雰囲気作りや調理の工夫

一人で黙々と食べる「孤食」は、食欲を減退させる一因です。できるだけ家族が食卓を囲み、会話を楽しみながら食べる「共食」を心がけましょう。また、季節の食材を取り入れて食卓に変化を出したり、彩りよく盛り付けたりするだけでも、食事への意欲は変わってきます。「美味しそうだね」という一言が、何よりのスパイスになることもあります。

ご飯(白米)以外の主食は何グラム?お粥・パン・麺類の目安

毎日ご飯(白米)ばかりでは、飽きてしまうこともありますよね。体調や気分に合わせて主食を変えることも、食事を楽しむ工夫の一つです。ここでは、ご飯以外の主食を選ぶ際の、エネルギー量を合わせた目安量を紹介します。

白米のご飯150g(約234kcal)と、おおよそ同じエネルギー量になる他の主食の目安は以下の通りです。体調や気分に合わせて活用してください。

  • お粥(全粥):約300g(お茶碗にたっぷり一杯)
  • 食パン(6枚切り):約1.5枚
  • うどん(ゆで):約1玉(230g~250g)
  • そうめん(乾麺):約2束(100g)を茹でたもの
  • そば(ゆで):約1玉(180g~200g)

まとめ:高齢者のご飯の量は柔軟に調整し、楽しい食生活をサポートしましょう

高齢者のご飯の量は、1食100g~150gを目安としつつ、ご本人の年齢、性別、活動量、そして何よりもその日の体調や食欲に合わせて調整することが大切です。完璧な量を毎日守ることよりも、食事全体の栄養バランスを意識し、ご本人が「美味しい」と感じながら楽しく食べられる環境を整えることが、健康寿命をのばす鍵となります。

この記事でご紹介したグラム数や工夫が、ご家族の食事の不安を少しでも軽くし、健やかな毎日をサポートする一助となれば幸いです。

高齢者のご飯の量に関するよくある質問

最後に、高齢者のご飯の量に関して特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。日々の疑問解消にお役立てください。

高齢者の1食あたりの理想的なご飯の量は何グラムですか?

1食あたり100g~150g(お茶碗に軽く一杯~普通盛り)が基本的な目安です。ただし、これはあくまで基準であり、個人の体格や日々の活動量によって適量は異なります。食欲や体調を見ながら、少しずつ量を調整してあげることが大切です。まずは一度計量して、いつも食べている量を把握することから始めてみましょう。

70代・80代・90代、それぞれの1日の必要カロリーは?

活動量が低い(座位中心の生活)場合、1日の必要カロリーの目安は、70代男性で約2050kcal・女性で約1550kcal、80代以上の男性で約1800kcal・女性で約1450kcalです。散歩や趣味で外出するなど活動量が「ふつう」の場合は、これより200~300kcal程度多くなります。詳しくは本文中の表をご参照ください。

寝たきりの高齢者の食事量やカロリーの目安は?

寝たきりの方でも生命を維持するために基礎代謝分のエネルギーが必要で、一般的に1200kcal~1500kcalが目安とされます。しかし、褥瘡(床ずれ)のリスクや合併症の有無によって必要な栄養は大きく変わるため、自己判断は非常に危険です。必ず、かかりつけの医師や管理栄養士といった専門家に相談して、適切な食事計画を立ててもらいましょう。

高齢者は1日に炭水化物を何グラム摂るべきですか?

厚生労働省は、1日の総摂取エネルギーの50~65%を炭水化物から摂取することを目標量としています。例えば1日の必要カロリーが1800kcalの方なら、そのうち900~1170kcalを炭水化物から摂る計算です。炭水化物は1gあたり4kcalなので、グラムに換算すると1日225g~292g程度が目安となります。これをご飯だけでなく、芋類や果物、おかずに含まれる糖質も含めて考える必要があります。

食欲がないようですが、1日3食は必ず食べるべきですか?

1日3食という形にこだわる必要はありません。食欲がない時に無理強いすると、食事が苦痛になってしまいます。大切なのは1日の合計で必要な栄養を摂ることです。1回の食事量を減らし、その分を午前10時や午後3時などの間食で補う方法がおすすめです。おにぎりやパン、ヨーグルト、果物、栄養補助食品などを上手に活用しましょう。

-生活