
はじめに:親のスマホ選び、本当にそれで大丈夫?後悔する前にお読みください
「そろそろ親にもスマホを持たせたい」「ガラケーが終了するから、新しい携帯電話を検討している」そんなふうに、ご両親のスマホデビューを考えている方は多いのではないでしょうか。しかし、良かれと思って勧めたスマホが、かえって親の負担になり「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースは少なくありません。
この記事では、高齢者がスマホで後悔しがちな7つの具体的な理由と、実際の失敗談を解説します。その上で、後悔しないための最適なスマホの選び方から、料金プラン、購入後のサポート方法までを網羅的にご紹介。「スマホのおかげで生活が便利になった」「家族との連絡が楽しくなった」と心から喜んでもらうために、ぜひ最後までご覧ください。
高齢者がスマホで後悔する7つの理由【失敗談から解説】
なぜ、高齢者のスマホ購入は後悔に繋がりやすいのでしょうか。ここでは、多くの人が経験する7つの典型的な失敗理由を、具体的な体験談を交えて解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、同じ失敗を避けるためのヒントを見つけてください。
理由1:良かれと思った「シニア向けスマホ」が逆に使いにくい
「高齢者向けだから安心」と選んだ「らくらくスマートフォン」のようなシニア向け機種。しかし、独自の操作方法が、他のスマホを使い慣れた家族にとって教えにくいという問題があります。「普通のAndroidやiPhoneなら分かったのに、このスマホの使い方は分からない」と、サポートする側が戸惑ってしまうのです。また、シンプルなホーム画面や大きなアイコンが、かえって分かりにくいと感じる方も。良かれと思った選択が、親子双方のストレスになる可能性があります。
理由2:機能が制限されすぎて「やりたいこと」ができない
シニア向けスマホは、機能を絞ることでシンプルさを追求しています。しかし、そのために「家族が使っている便利なアプリがインストールできない」「LINEの一部機能が使えない」といった制限がかかることがあります。せっかくスマホを持ったのに、お孫さんとのコミュニケーションで人気のアプリや、地域で使う決済アプリが対応していないとなれば、スマホを持つ意味が半減してしまいます。本人が何をしたいのか、必要な機能は何かを事前に確認することが重要です。
理由3:画面の文字が大きすぎたり小さすぎたりして見づらい
「文字が大きい方が見やすいだろう」というのは、必ずしも正解ではありません。文字サイズを最大にすると、かえって一画面に表示される情報量が極端に少なくなり、全体像が把握しにくくなることがあります。逆に、一般的なスマホでは「文字が小さくて読めない」という不満も。画面サイズと文字のバランスは、本人が実際に端末を手に取り、一番しっくりくる設定を見つけることが、後悔しないための大切なステップです。
理由4:そもそも本人はスマホを必要としていなかった
これは最も根本的な後悔の理由です。ガラケーのサービス終了などをきっかけに、家族が「スマホを持つべきだ」と一方的に進めてしまうケースです。本人が「電話と簡単なメールができれば十分」「新しい操作を覚えるのが億劫」と感じているのに無理に持たせても、結局は活用されず、高価な文鎮になってしまいます。まずは本人の意思を尊重し、スマホを持つメリットを丁寧に説明して、納得してもらうことから始めましょう。
理由5:料金プランが複雑で、結局高い料金を払っている
スマートフォンの料金プランは複雑です。特にショップの店員さんに言われるがまま契約し、不要なオプションや、本人の使い方に合わない大容量のデータプランに加入してしまうケースが後を絶ちません。「通話がほとんどなのに、毎月8,000円も払っている」といった後悔は非常に多いです。事前に家族が使い方を想定し、必要なデータ容量や通話オプションを見極め、最適な料金プランを比較検討することが不可欠です。
理由6:操作が分からず、家族に聞くのが気まずい・教える側がイライラ
スマホの操作は、高齢者にとって未知の世界です。何度も同じことを質問する親に、ついイライラしてしまった経験はありませんか?逆に親側も「また聞いたら迷惑かな」と遠慮してしまい、分からないまま放置してしまうことも。こうしたコミュニケーションのすれ違いが、スマホへの苦手意識を増幅させ、後悔に繋がります。購入後のサポート体制をどうするか、事前に家族で話し合っておくことが大切です。
理由7:詐欺や不要な課金など思わぬトラブルに巻き込まれた
スマートフォンは便利な反面、インターネット上のリスクと隣り合わせです。「当選しました」といった詐欺メールや、ワンクリック詐欺、意図しない有料アプリの登録など、高齢者を狙ったトラブルは後を絶ちません。セキュリティ意識が低いまま使い始めると、金銭的な被害に遭う可能性も。安心して使ってもらうためには、事前にフィルタリングやセキュリティ対策を万全にしておく必要があります。
もう後悔しない!高齢者のスマホ選び5つの重要ポイント
数々の後悔の理由を見てきましたが、ポイントさえ押さえれば、高齢者のスマホデビューを成功させることは可能です。ここでは、後悔を避けるために絶対に外せない5つの重要な選び方のポイントを解説します。
ポイント1:【大前提】本人の意思を確認し、目的を明確にする
何よりもまず、ご本人がスマホを使いたいと思っているかを確認しましょう。「家族とLINEがしたい」「ネットで趣味の情報を調べたい」「キャッシュレス決済を使ってみたい」など、スマホで何を実現したいのか目的を具体的にすることが第一歩です。目的が明確になれば、必要な機能や機種、プランが見えてきます。もし乗り気でない場合は、無理強いせず、通話のみのシンプルな携帯電話を検討するのも一つの選択です。
ポイント2:【操作性】画面の見やすさとシンプルな操作性を実機で確認
カタログスペックだけでは、本当の使いやすさは分かりません。必ず携帯ショップや家電量販店に足を運び、ご本人が実際にスマホを手に取って操作してみることが重要です。画面の明るさや文字の大きさ、アイコンの分かりやすさ、タップしたときの反応などを確認しましょう。特に、普段使い慣れた「戻る」ボタンの位置など、基本的な操作が直感的に行えるかは大切なチェック項目です。
ポイント3:【サポート】家族と同じOS(iPhone/Android)を選ぶのが一番の安心材料
購入後の最大のサポート役は家族です。そのため、子供や孫など、身近な家族が使っているのと同じOS(iPhoneならiPhone、AndroidならAndroid)のスマホを選ぶことを強くおすすめします。操作方法で分からないことがあったとき、家族がすぐに使い方を教えてあげられます。独自のUIを持つシニア向けスマホよりも、結果的に安心に繋がることが多い、非常に重要なポイントです。
ポイント4:【安全性】防犯・詐欺対策機能が搭載されているかチェックする
高齢者をネット詐欺や迷惑電話から守る機能は必須です。多くのスマホには、不審な電話番号を自動で警告・ブロックする機能や、危険なサイトへのアクセスを防ぐフィルタリング機能が搭載されています。特に、迷惑電話対策機能は、警察のデータベースと連携して警告を発するものもあり安心です。契約時に、こうしたセキュリティ機能が標準で付いているか、オプションで追加できるかを確認しましょう。
ポイント5:【契約】料金プランとサポート体制が充実しているキャリアを選ぶ
料金プランは、本人の使い方に合ったものを選びましょう。LINEでの無料通話がメインなら通話オプションは不要かもしれませんし、外出先でネットを使わないなら最低限のデータ容量で十分です。また、ドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアは、店舗での対面サポートが手厚いのがメリットです。操作説明会などを開催している場合もあるため、契約後のサポート体制も比較検討の材料にしましょう。
【目的別】高齢者におすすめのスマホはこれ!3タイプを徹底比較
「選び方のポイントは分かったけど、具体的にどの機種がいいの?」という方のために、目的別の代表的な3つのスマホタイプを比較解説します。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご本人に最適な一台を見つけましょう。
タイプ1:「とにかく簡単・安心」を求めるならシニア向けスマホ
操作の分かりやすさを最優先に設計された、高齢者専用のスマートフォンです。物理的なホームボタンや、よく連絡する相手にすぐ電話できる専用ボタンなどが特徴です。
代表的な機種(らくらくスマートフォンなど)
ドコモの「らくらくスマートフォン」やauの「BASIO active2」、ソフトバンクの「シンプルスマホ7」などが代表的です。電話やメール、カメラといった基本的な機能に絞り、大きなアイコンとシンプルな操作画面が採用されています。
メリット・デメリット
- メリット:操作がシンプルで分かりやすい。迷惑電話対策など、高齢者に嬉しい機能が充実している。専用のサポート窓口がある場合が多い。
- デメリット:使えるアプリに制限がある可能性がある。家族が使っている一般的なスマホと操作感が異なり、教えにくい場合がある。
タイプ2:家族のサポートが手厚いなら「iPhone SE」
直感的な操作性とシンプルなデザインで、幅広い世代に人気のiPhone。特にホームボタンがある「iPhone SE」は、高齢者にも使いやすいと評判です。
代表的な機種(iPhone SE 第3世代)
指紋認証(Touch ID)に対応したホームボタンがあり、ガラケーのボタン操作に慣れた世代にも馴染みやすいのが特徴です。比較的コンパクトなサイズで持ちやすいのもポイントです。
メリット・デメリット
- メリット:操作がシンプルで分かりやすい。家族にiPhoneユーザーが多ければ、サポートを受けやすい。セキュリティが高く、安心して使える。
- デメリット:他のAndroidスマホに比べて本体価格が高め。SDカードが使えないため、データ容量の拡張ができない。
タイプ3:安さと自由度のバランスなら「シンプル機能のAndroid」
一般的なAndroidスマホの中でも、機能をシンプルに絞り、価格を抑えたモデルです。「かんたんモード」などを搭載し、シニア向けスマホに近い使い方も可能です。
代表的な機種(AQUOS wishシリーズなど)
シャープの「AQUOS wish」シリーズやGoogleの「Pixel a」シリーズなどが人気です。シンプルな機能ながら、おサイフケータイや防水など、日常生活で便利な機能を搭載しているモデルが多いです。
メリット・デメリット
- メリット:本体価格が比較的安い。一般的なAndroidなので、アプリの制限がなく自由度が高い。「かんたんモード」で初心者にも優しい。
- デメリット:メーカーによって操作方法が微妙に異なる。多くの機種があるため、選ぶのに迷う可能性がある。
料金で後悔しない!シニア向けプランと補助金の活用術
スマホ本体だけでなく、月々の通信料金も後悔につながりやすいポイントです。ここでは、お得にスマホを利用するための料金プランや補助金について解説します。
ドコモ・au・ソフトバンク等のシニア向け割引プラン
大手キャリアでは、60歳以上を対象とした割引プランが用意されていることがあります。例えば、国内の通話料が割引になったり、特定のオプションが無料で利用できたりといった内容です。ただし、割引の適用には条件があるため、契約時によく確認することが大切です。家族が同じキャリアを使っている場合は、家族割が適用できるかも合わせてチェックしましょう。
【知らなきゃ損】国や自治体のスマホ購入補助金制度
スマートフォンの普及を促進するため、一部の自治体では高齢者を対象としたスマホ購入補助金制度を実施しています。購入費用のの一部(例:1万円)を助成したり、スマホ教室の参加を条件に補助が受けられたりします。制度の有無や内容は自治体によって大きく異なるため、「お住まいの市区町村名 高齢者 スマホ 補助金」といったキーワードで検索し、役所の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
通話がメインなら格安SIMも検討しよう
「インターネットはほとんど使わず、電話がメイン」という方には、格安SIMも有力な選択肢です。大手キャリアから回線を借りてサービスを提供しているため、通信品質は安定しています。月額料金を1,000円前後に抑えることも可能で、大幅な節約が期待できます。ただし、店舗でのサポートが少ない、初期設定は自分で行う必要があるなどの注意点もあるため、ある程度スマホに詳しい家族のサポートが前提となります。
購入後に親子でイライラしない!スマホの教え方3つのコツ
スマホを購入した後、多くの親子がぶつかるのが「教え方」の壁です。ここでは、お互いにストレスなく操作を覚えてもらうための3つのコツをご紹介します。
コツ1:一度に全部教えない!目的を絞って成功体験を積ませる
最初にすべての機能を教えようとするのは禁物です。まずは「電話をかける」「LINEでメッセージを送る」など、本人が一番やりたいことに目的を絞りましょう。一つの操作ができるようになると、それが成功体験となり、次のステップへの意欲に繋がります。「今日はこれだけ覚えればOK」という気持ちで、焦らずゆっくり進めるのが最大のコツです。
コツ2:「やってみせる→やってもらう」で操作を体で覚えてもらう
口で説明するだけでは、なかなか操作は身に付きません。まずは家族がゆっくりと「やってみせて」、次に「本人にやってもらう」という流れを繰り返しましょう。指でどこをタップするのか、どのくらいの時間押すのかなどを、実際に目で見て、体で覚えることが記憶の定着に繋がります。横でじっと見守り、詰まったところだけ手助けする姿勢が大切です。
コツ3:よく使う操作は紙に書いて貼っておく
覚えたつもりの操作も、時間が経つと忘れてしまうものです。特に、Wi-Fiの接続方法や、LINEのビデオ通話のかけ方など、少し複雑な操作は紙に書き出しておくのが効果的です。手順を番号で書き出し、簡単なイラストを添えて、いつでも見られる場所に貼っておきましょう。「これを見れば大丈夫」という安心感が、本人の不安を和らげます。
まとめ:後悔しないスマホ選びで、親子の時間をより豊かに

高齢者のスマホ選びは、ただ単に携帯電話を選ぶ作業ではありません。それは、ご両親のこれからの生活の質や、家族とのコミュニケーションのあり方を左右する、大切な選択です。
この記事でご紹介した「後悔する7つの理由」を避け、「5つの選び方ポイント」を実践すれば、きっとご本人に最適な一台が見つかるはずです。シニア向けスマホ、iPhone、かんたんAndroid、それぞれのメリットを比較し、料金プランやサポート体制までしっかり検討しましょう。
後悔のないスマホ選びを通じて、離れて暮らすご両親といつでも繋がり、日々の出来事を共有できる。そんな豊かな時間を手に入れる一助となれば幸いです。
高齢者のスマホに関するよくある質問
最後に、高齢者のスマホ選びに関して、特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。契約前の最終チェックとしてお役立てください。
シニア向けスマホとiPhone、結局どっちを選べばいいですか?
一概にどちらが良いとは言えません。家族にiPhoneユーザーが多く、手厚いサポートが期待できるなら、操作が統一されているiPhoneがおすすめです。一方で、ご本人が「とにかく簡単なものがいい」「周りに頼れる人がいない」という状況であれば、専用のサポート窓口があるシニア向けスマホが安心な場合もあります。本人の性格や、家族のサポート体制を考慮して選びましょう。
買ってはいけない・後悔しやすいスマホの特徴はありますか?
極端に安い無名メーカーの端末や、中古で保証のないスマホは避けた方が賢明です。動作が不安定だったり、セキュリティのアップデートが提供されなかったりするリスクがあります。また、機能が多すぎるハイスペックなモデルも、宝の持ち腐れになりがちです。本人が使いこなせる範囲の、シンプルで信頼できるメーカーの機種を選ぶことが後悔しないコツです。
通話だけで安く使いたい場合、おすすめのプランや機種は?
通話がメインであれば、大手キャリアの「通話のみ」のプランや、ガラケー(4G対応)の契約も選択肢です。また、ワイモバイルやUQモバイルといったサブブランドや、各種格安SIMでは、月額1,000円台から利用できる通話向けプランが豊富にあります。ただし、サポート体制はキャリアによって異なるため、契約前にしっかり確認しましょう。
スマホの購入に使える補助金について詳しく教えてください。
スマホ購入の補助金は、国が一律で実施しているものではなく、各市区町村が独自に設定しています。そのため、お住まいの自治体のウェブサイトで確認するか、役所の高齢者福祉担当などの窓口に問い合わせるのが確実です。「(自治体名) スマホ 補助金 高齢者」で検索してみてください。キャリアが実施するキャンペーンと併用できる場合もあります。
なぜ高齢者はスマホが難しいと感じるのでしょうか?
理由は様々ですが、主に「タッチパネルの直感的な操作に慣れていない」「カタカナの専門用語が多い」「覚える機能やアプリが多すぎる」といった点が挙げられます。また、視力の低下による見づらさや、指先の乾燥によるタッチパネルの反応の悪さも一因です。失敗への不安や、「家族に迷惑をかけたくない」という心理的な壁も、難しさを感じる大きな要因となっています。