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高齢者の滑り止め靴下は逆効果?危ないと言われる理由と転倒しない対策

はじめに:高齢者の滑り止め靴下、良かれと思って選んでいませんか?

ご高齢の親御さんや大切なご家族の安全を想い、「転倒予防に良いかもしれない」と滑り止め付きの靴下を検討される方は多いでしょう。しかし、インターネットなどで情報を集めていると、「高齢者の滑り止め靴下はかえって危ない」「逆効果になることもある」といった声を見かけ、不安になっていませんか?

良かれと思って選んだものが、もし転倒の原因になってしまったら…と考えると、何を選べば良いのか分からなくなってしまいますよね。この記事では、なぜ滑り止め靴下が「危ない」と言われるのか、その具体的な理由から、安全に使うための正しい選び方、そして靴下以外の総合的な転倒対策まで、専門的な視点も交えて分かりやすく解説します。あなたの不安を解消し、ご家族に最適な一足を見つけるお手伝いをします。

高齢者用の滑り止め靴下が「危ない」「逆効果」と言われる3つの理由

滑り止め付き靴下は、使い方によっては転倒を予防する便利な製品です。しかし、一部の状況では、その機能が裏目に出てしまうことがあります。ここでは、なぜ「危ない」「逆効果」と言われることがあるのか、その主な3つの理由を解説します。

理由1:すり足歩行ではかえって、つまずきの原因になる

加齢に伴い足の筋力が低下すると、足を高く上げずにすり足で歩く方が増えます。この「すり足歩行」の方が滑り止め付きの靴下を履くと、靴下のグリップが床面に過剰に引っかかり、つまずきの直接的な原因になってしまう危険性があります。

特に、滑りやすいフローリングの上を歩く際に、意図しないタイミングで足が止まってしまい、体のバランスを崩して転倒につながる事故が懸念されます。ご本人の歩き方の特徴をよく観察することが、最初の重要な注意点です。

理由2:フローリングや畳など床材との相性で滑りやすくなる

滑り止めの効果は、床の素材との相性に大きく左右されます。例えば、ワックスが効いたピカピカのフローリングや、毛足の長いカーペットの上では、滑り止め素材(多くはシリコン樹脂)がうまく機能しないことがあります。

また、畳の上では、滑り止めの凹凸が畳の目に引っかかり、すり足でなくとも歩きにくさを感じることがあります。自宅のどの部屋で過ごす時間が長いのか、主な生活空間の床材は何かを確認し、相性を考えることが安全な利用につながります。万能ではないことを理解しておくことが必要です。

理由3:不適切な滑り止めは、歩行バランスを崩す危険性がある

足の裏は、体のバランスを取るために地面の状態を敏感に感じ取る「センサー」の役割を担っています。しかし、滑り止めのゴムが分厚すぎたり、足裏の広範囲に付きすぎていたりすると、このセンサーの感度を鈍らせてしまう要因になります。

地面からの情報が脳に正しく伝わりにくくなることで、無意識のうちに歩行バランスが崩れ、ふらつきや転倒のリスクが高まる可能性があります。安全のためには、グリップ力だけでなく、足裏の自然な感覚を妨げない設計の製品を選ぶ視点も大切です。

【状況セルフチェック】滑り止め靴下が必要な人・不要な人

滑り止め靴下の危険性とメリットを理解した上で、ご家族の場合はどちらに当てはまるのかを考えてみましょう。ここでは、滑り止め靴下の使用が推奨されるケースと、慎重になるべきケースの目安をご紹介します。

こんな方にはおすすめ!滑り止め靴下が有効なケース

以下のような状況では、滑り止め靴下が動作の安定性を高め、転倒予防に役立つ場合があります。

  • 椅子やベッドからの立ち座り、車椅子への移乗など、踏ん張る力が必要な動作に不安がある方
  • 杖を使って歩行しており、支えとなる足元が滑らないようにしたい方
  • フローリングの部屋での立ち仕事や軽い運動をする機会がある方

これらのケースでは、靴下の滑り止め機能が、一点に力がかかる際の「スリップ事故」を防ぐ助けとなります。

使用は慎重に!滑り止め靴下を避けた方が良いケース

一方で、以下のような特徴が見られる場合は、滑り止め靴下の使用が逆効果になる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

  • 足をあまり上げずに歩く「すり足」の傾向が顕著に見られる方
  • 家の中を比較的活発に歩き回る習慣がある方(引っかかる機会が増えるため)
  • 足の疾患や感覚の低下により、足裏で地面を感じる能力が大きく落ちている方
  • 生活空間のほとんどが畳や毛足の長いカーペットである方

これらの場合は、滑り止め機能がない通常の靴下や、後述するルームシューズなど、他の選択肢を検討することをおすすめします。

転倒事故を防ぐ!安全な高齢者向け靴下の選び方【4つのポイント】

滑り止め靴下を使用すると判断した場合でも、どの製品を選ぶかが非常に重要です。ここでは、高齢者の方の安全と快適性を両立させるための、靴下選びの4つのポイントをご紹介します。

ポイント1:身体状況に合った滑り止めの「位置」と「素材」

安全性を考慮するなら、足裏全体にベッタリと滑り止めが付いているタイプは避けましょう。おすすめは、歩行時に特に力のかかる「足の指の付け根」や「かかと」部分にのみ、滑り止めが配置されている製品です。これにより、つまずきにくさとグリップ力を両立できます。

素材は、硬いプラスチックではなく、適度な摩擦がありながらも柔らかいシリコン製のものが、足裏の感覚を妨げにくく理想的です。

ポイント2:締め付けない「履き口」とフィットする「サイズ」

高齢になると、足がむくみやすくなる方が多くいらっしゃいます。靴下の履き口のゴムがきついと、血行を妨げたり、痛みや跡が残ったりする原因になります。「ゴムなし」や「履き口ゆったり」と表記された、締め付けの少ない介護用の靴下を選びましょう。

ただし、緩すぎて靴下の中で足が動いてしまうのも危険です。足長(cm)を参考に、かかとが合って全体的に優しくフィットするサイズを選ぶことが、安全な歩行の基本です。

ポイント3:むくみや冷えに対応する「機能性」も重要

転倒予防に加えて、高齢者の生活の質を高める機能性にも注目しましょう。例えば、体温調節が苦手な方向けの「保温素材(ウール混など)」や、汗をかきやすい方向けの「吸湿速乾素材」などがあります。

また、抗菌防臭機能が付いた製品は、清潔を保ちやすいため介護の場面でも便利です。メンズ・レディースそれぞれの製品がありますので、本人の悩みや生活スタイルに合った付加機能を持つ靴下を選ぶと、より快適に過ごせます。

ポイント4:どこで買う?しまむら・ユニクロなど身近な店舗の製品は?

滑り止め付きの靴下は、様々な場所で購入できます。「しまむら」や「ユニクロ」、「無印良品」といった衣料品店でも、機能的な靴下が手に入ります。また、「ワークマン」の作業用靴下の中にも、丈夫で滑りにくい製品が見つかることがあります。

ただし、ゴムの締め付けや素材の柔らかさなど、より介護に特化した機能を求める場合は、介護用品の専門店や通販サイトの方が品揃えは豊富です。それぞれの店舗の特徴を理解し、目的に合った場所で購入しましょう。

靴下だけじゃない!家の中の転倒リスクを減らす総合的な対策

高齢者の転倒は、靴下一つで完全に防げるものではありません。足元と合わせて、住んでいる環境や身体機能にも目を向けることで、より効果的に事故を予防できます。

スリッパは危ない?高齢者向けルームシューズの選び方

古くからの習慣でスリッパを履いている方も多いですが、スリッパはかかとが固定されずパタパタと脱げやすいため、転倒リスクが非常に高い履物です。段差でつまずいたり、脱げたスリッパに足を取られたりする危険があります。

室内での履物としては、スリッパの代わりに「ルームシューズ」や「介護シューズ」がおすすめです。選ぶ際は、①かかとがしっかり覆われている、②軽くて柔らかい、③靴底に滑り止め加工がある、④脱ぎ履きしやすい、といった点を確認しましょう。

住環境の見直し:段差の解消・手すりの設置・床の工夫

慣れ親しんだ自宅にも、転倒の危険は潜んでいます。今一度、家の中を見渡してみましょう。

  • 段差:敷居や部屋の境目には、スロープを設置して段差をなくす。
  • 手すり:玄関、廊下、トイレ、浴室など、立ち座りや移動が多い場所に手すりを設置する。
  • 床:フローリングには滑り止めマットやワックスを。床の上の電気コードは壁に固定し、物を置かない。
  • 明るさ:廊下や足元を照らす常夜灯を設置し、夜間でも安全に移動できるようにする。

これらの小さな改善が、大きな事故の予防につながります。

身体機能の維持:自宅でできる簡単な転倒予防運動

最も根本的な転倒予防は、ご本人の筋力やバランス能力を維持・向上させることです。大掛かりなトレーニングは必要ありません。安全に注意しながら、自宅でできる簡単な運動を毎日の習慣にすることが効果的です。

例えば、「椅子に座ったまま、ゆっくりと片足ずつ上げる運動」や「テーブルや壁に手をついて、かかとの上げ下ろしをする運動」などがおすすめです。無理のない範囲で、毎日少しずつ続けることが、転びにくい体づくりの鍵となります。

まとめ:滑り止め靴下の特性を理解し、安全な転倒予防を

高齢者向けの滑り止め付き靴下は、決して「絶対的に危ないもの」ではありません。しかし、万能な安全対策ではなく、使う方の歩き方や生活環境によっては、かえって危険を招く可能性があるという側面も持っています。

最も大切なのは、「すり足の方には逆効果になる可能性」などの特性を正しく理解し、ご本人の身体状況に合わせて慎重に選ぶことです。そして、靴下選びだけに頼るのではなく、ルームシューズの活用や手すりの設置といった住環境の整備、さらには簡単な運動による身体機能の維持を組み合わせた、総合的な視点で転倒予防に取り組むことが重要です。この記事が、あなたの大切な家族の安全な毎日を守る一助となれば幸いです。

高齢者の靴下や転倒予防に関するよくある質問

高齢者の転倒やつまずきを防ぐには、まず何をすればいいですか?

A. 高齢者の転倒予防は、一つの対策だけでなく、複数のアプローチを組み合わせることが最も効果的です。まず始めるべきことは、①住環境の見直し、②身体に合った履物選び、③身体機能の維持の3つです。具体的には、床に物を置かない、段差をなくす、手すりを付けるといった環境整備。そして、本人の足の状態や歩き方に合った、滑りにくく履きやすい靴下やルームシューズを選ぶこと。最後に、無理のない範囲でかかと上げ運動などを行い、筋力やバランス能力を維持することが重要です。

滑り止め付き靴下のメリット・効果は何ですか?

A. 滑り止め付き靴下の主なメリットは、フローリングなどの滑りやすい床材の上でのスリップ(滑り)を防ぐ効果です。特に、椅子からの立ち座りやベッドからの移乗、リハビリテーションでの特定の動作など、足裏でぐっと踏ん張る場面でその効果を発揮します。足元が安定することで、本人の安心感につながるだけでなく、介護者の介助負担を軽減する助けになる場合もあります。ただし、すり足歩行の方には逆効果になるため、使用者の状況を見極めることが重要です。

スリッパはなぜ危ないのですか?室内では履かない方がいい?

A. スリッパが危ない理由は主に3つあります。1つ目は、かかとが固定されていないため歩行中に脱げやすく、脱げたスリッパにつまずく危険があること。2つ目は、底が硬いものが多く、足指で地面をつかむような自然な歩行ができないこと。3つ目は、少しの段差でも先端が引っかかりやすいことです。これらの理由から、高齢者の室内履きとしてスリッパは転倒リスクが非常に高く、推奨されません。安全のため、かかとが覆われたルームシューズや介護シューズの使用をおすすめします。

転びにくい靴や室内履きはどんな特徴がありますか?

A. 高齢者向けの転びにくい靴や室内履きには、いくつかの共通した特徴があります。まず「軽量」であること。そして、つまずきを防ぐために「つま先が少し反り上がっている」こと。また、脱げにくいように「かかとがしっかり覆われている」ことや、足の動きに合わせて曲がる「屈曲性の良さ」も重要です。もちろん「靴底が滑りにくい素材・構造である」ことも必須の条件です。これらのポイントを満たした履物を選ぶことで、安全な歩行をサポートできます。

介護で靴下を履かせる時のコツはありますか?

A. 介護で靴下を履かせる際は、安全でスムーズに行うことが大切です。まず、お互いに安定した姿勢(椅子に座るなど)で行いましょう。コツとしては、履かせる前に靴下全体を足首部分まで手でたぐり寄せておき、つま先を入れてから一気に引き上げると履かせやすくなります。また、本人がむくんでいたり、関節が硬くなっていたりする場合は、締め付けの少ない、伸縮性の高い介護用の靴下を選ぶと良いでしょう。「ソックスエイド」と呼ばれる、靴下を履くのを補助する自助具を活用するのも一つの方法です。

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