ご家族が亡くなられた後、悲しみに暮れる間もなく、数多くの手続きに追われることになります。何から手をつければ良いのか、期限はいつまでなのか、全体像がわからず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。特に、普段馴染みのない行政手続きや相続関連の事柄は、戸惑うことばかりかもしれません。
この記事では、死亡後に必要な手続きを期限別にまとめた「やることリスト」を詳しく解説します。手続きの優先順位や必要書類がひと目でわかるため、抜け漏れなくスムーズに進めることができます。ダウンロード可能なチェックリストも用意しているので、ぜひご活用ください。
死亡後の手続きやることリスト【期限別】

ご家族が亡くなられた直後から、様々な手続きが始まります。これらは提出期限が厳密に定められているものが多く、期限が短いものから順に対応していくことが非常に重要です。まずは全体の流れを把握し、優先順位をつけて計画的に進めましょう。
この章では、手続きを「死亡後すぐ」「7日以内」「14日以内」「1ヶ月以内」といった期間で区切り、それぞれ具体的に何をすべきかをリストアップしました。時系列で確認することで、今やるべきことが明確になりますので、ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
死亡後すぐに行うべき手続き
まず最初に行うべきことは、医師から「死亡診断書(死体検案書)」を受け取ることです。この書類は、後の多くの手続きで必要となるため、必ず複数枚コピーを取っておきましょう。この診断書と一体になっている「死亡届」に必要事項を記入します。
死亡届の届出人は、親族や同居者などが務めます。記入が完了したら、市区町村役場へ提出する準備を始めます。多くの場合、葬儀社が提出を代行してくれるので、葬儀の打ち合わせの際に相談してみると良いでしょう。
7日以内に必要な手続き一覧
死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村役場へ死亡届を提出しなければなりません。この手続きは、国内での死亡の場合は7日以内、国外の場合は3ヶ月以内と定められています。提出先は、故人の本籍地や死亡地、または届出人の所在地の役所です。
死亡届が受理されると、「火葬許可証」が発行されます。この許可証がなければ火葬を行うことができないため、葬儀の前に必ず取得しておく必要があります。葬儀社に手続きを依頼している場合は、一連の流れで対応してくれます。
14日以内に必要な手続き一覧
死亡日から14日以内には、年金や健康保険に関する手続きが集中します。これらの手続きを怠ると、給付金の不正受給とみなされる可能性があるため、迅速な対応が求められます。特に年金受給停止手続きは、厚生年金の場合10日以内とさらに短いため注意が必要です。
故人が世帯主だった場合は、世帯主変更届も14日以内に提出します。手続きの際には、故人の健康保険証や年金手帳、届出人の本人確認書類などが必要になります。以下の表で、主な手続きと提出先を確認しておきましょう。
| 手続きの種類 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 年金受給停止手続き | 年金事務所または年金相談センター | 10日または14日以内 |
| 国民健康保険資格喪失届 | 市区町村役場 | 14日以内 |
| 世帯主変更届 | 市区町村役場 | 14日以内 |
| 介護保険資格喪失届 | 市区町村役場 | 14日以内 |
1ヶ月以内に必要な手続き
故人が雇用保険(失業保険)を受給していた場合は、死亡後1ヶ月以内に「雇用保険受給資格者証」をハローワークへ返還する必要があります。この際、未支給の失業手当があれば、遺族が請求できる場合がありますので、併せて確認しましょう。
また、故人が児童扶養手当を受給していた場合も、資格喪失届を市区町村役場へ提出します。手続きには期限が設けられているため、故人の勤務状況や公的な手当の受給状況を早めに確認し、対応することが大切です。
期限はないが早めに行う手続き
相続税の申告(10ヶ月以内)のように明確な期限が設定されていない手続きも、放置するとトラブルの原因になりかねません。特に、公共料金やクレジットカードなどの契約解除は、速やかに行わないと不要な料金が発生し続けるため注意が必要です。
遺言書の有無の確認や、運転免許証・パスポートの返納、遺品整理の準備なども早めに着手しましょう。相続人や相続財産の確定作業は、すべての相続手続きの基礎となるため、特に優先して進めることをおすすめします。
【分野別】手続き詳細と必要書類

死亡後の手続きは多岐にわたるため、関連する手続きを分野ごとにまとめて進めるのが効率的です。例えば、役所で行う手続きは一度に済ませられるよう、事前に必要書類をリストアップしておくと良いでしょう。これにより、何度も足を運ぶ手間を省けます。
ここでは、「市区町村役所」「金融機関」「年金・健康保険」「遺産相続」「契約サービス」の5つの分野に分けて、それぞれの手続き内容と必要書類を具体的に解説します。ご自身の状況に合わせて必要な項目を確認してください。
市区町村役所での主な手続き
市区町村役所では、死亡届の提出から住民票の抹消、各種保険や手当に関する手続きまで、生活に密着した多くの手続きを行います。これらの手続きは、他の手続きの前提となることも多いため、優先的に済ませましょう。
手続きには、故人のマイナンバーカードや本人確認書類、届出人の印鑑などが必要になることが一般的です。自治体によっては「おくやみ窓口」が設置されている場合もあるので、事前にホームページなどで確認しておくとスムーズです。
- 死亡届・死亡診断書の提出
- 火葬許可証の交付申請
- 住民票の抹消・住民票除票の写しの取得
- 印鑑登録の抹消
- 国民健康保険・介護保険の資格喪失届
- 世帯主変更届
銀行など金融機関での手続き
金融機関では、まず故人名義の口座の有無を確認し、死亡した旨を連絡します。連絡後、口座は凍結され、入出金や引き落としができなくなります。公共料金などの引き落とし口座に設定している場合は注意が必要です。
預貯金の相続手続き(解約・名義変更)には、故人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書など、多くの書類が求められます。金融機関ごとに必要書類が異なる場合があるため、事前に電話などで確認しておきましょう。
年金や健康保険に関する手続き
年金受給者が亡くなった場合、速やかに「年金受給権者死亡届」を提出し、受給を停止します。手続きが遅れると、過払い分を返還する必要が出てくるため注意してください。また、故人が受け取っていない未支給年金がある場合は、遺族が請求できます。
健康保険からは、葬儀費用の一部として「埋葬料」や「葬祭費」が支給されます。請求には期限(2年以内)があるため、忘れずに申請しましょう。故人が加入していた健康保険の種類によって申請先や支給額が異なります。
遺産相続に関する重要な手続き
遺産相続は、手続きの中でも特に専門的な知識が必要となり、時間もかかります。まずは遺言書の有無を確認し、相続人と相続財産を確定させることから始めましょう。財産よりも借金が多い場合は、「相続放棄」を検討する必要があります。
相続放棄の手続きは、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で行わなければなりません。また、遺産総額が基礎控除額を超える場合は、死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税が必要です。手続きが複雑なため、相続放棄を自分で行うのが不安な場合は専門家への相談も視野に入れましょう。
契約サービスの解約手続き一覧
故人が契約していた様々なサービスは、一つひとつ解約または名義変更の手続きが必要です。これを怠ると、利用していないサービスに料金を支払い続けることになります。故人の郵便物や通帳の引き落とし履歴などを確認し、契約サービスをリストアップしましょう。
特に、電気・ガス・水道といったライフラインや、携帯電話、インターネット回線、クレジットカードなどは優先的に対応が必要です。解約には契約者本人の死亡を証明する書類(除籍謄本など)が求められることが多いため、事前に準備しておくとスムーズです。
手続きを効率的に進める3つのコツ

膨大な量の手続きを、悲しみの癒えない中で進めるのは非常に大変です。しかし、いくつかのコツを押さえるだけで、手続きの負担を大幅に軽減することができます。やみくもに手をつけるのではなく、まずは計画を立てることから始めましょう。
ここでは、手続きを効率的に進めるための3つの具体的なコツをご紹介します。「全体像の把握」「書類のまとめ取得」「専門窓口の活用」がキーワードです。これらを意識するだけで、時間的にも精神的にも余裕が生まれるはずです。
まず全体の流れと優先順位を把握
最初に、やるべき手続きの全体像を把握することが最も重要です。この記事で紹介しているチェックリストなどを活用し、どのような手続きが、いつまでに必要なのかを可視化しましょう。全体が見えれば、漠然とした不安も解消されます。
全体像を把握したら、次に「優先順位」を決めます。基本的には期限が迫っているものから着手しますが、他の手続きの前提となる「戸籍謄本の収集」などを先に行うと、その後の流れがスムーズになります。
必要書類はまとめて取得しよう
多くの手続きでは、故人の「戸籍謄本(除籍謄本)」や「住民票の除票」、相続人の「戸籍謄本」や「印鑑証明書」など、共通の書類が必要になります。これらの書類は、市区町村役場で一度にまとめて取得するのが効率的です。
手続きごとに何度も役所へ足を運ぶのは大きな負担です。事前にどの手続きにどの書類が何部必要かをリストアップしておきましょう。少し多めに取得しておくと、不測の事態にも対応できるので安心です。
自治体の「おくやみ窓口」を活用
最近では、多くの自治体で「おくやみ窓口(コーナー)」と呼ばれる専門の相談窓口が設置されています。ここでは、死亡に伴う役所での手続きをワンストップで案内・支援してくれます。どの課に行けばよいかわからない、といった場合に非常に便利です。
必要な手続きを洗い出し、申請書類の作成をサポートしてくれるなど、手厚い支援を受けられる場合もあります。ご自身がお住まいの自治体のホームページなどで設置の有無を確認し、積極的に活用することをおすすめします。
ダウンロードできる手続きチェックリスト

ここまで解説してきた死亡後の手続きを、一覧で管理できるチェックリストをご用意しました。やるべきことや期限、担当者を書き込めるようになっているため、ご家族で情報を共有しながら進捗を管理するのに役立ちます。
印刷して手書きで使いたい方向けの「PDF版」と、パソコンで編集・管理したい方向けの「Excel版」の2種類があります。ご自身の使いやすい形式をダウンロードして、手続きの抜け漏れ防止にお役立てください。
印刷して使えるPDF版チェックリスト
PDF版のチェックリストは、ダウンロード後すぐに印刷して使える手軽さが魅力です。ファイルを開いたり編集したりする手間がなく、誰でも簡単に利用できます。バインダーに挟んでおけば、いつでも確認できて便利です。
手書きでチェックを入れたり、メモを書き加えたりすることで、進捗状況がひと目でわかります。家族会議の際など、複数人で確認しながら使う場面にも適しています。まずはこのPDF版で、全体像を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
編集可能なExcel版チェックリスト
Excel版のチェックリストは、パソコン上で直接入力や編集ができるため、より柔軟な管理が可能です。各家庭の状況に合わせて項目を追加・削除したり、担当者や連絡先などの詳細情報を追記したりできます。
また、データの保存や共有が簡単なのもメリットです。遠方に住む親族ともメールなどで最新の状況を共有しやすいため、協力して手続きを進める際に役立ちます。ご自身のやり方で管理したい方におすすめです。
まとめ:死亡後の手続きは計画的に進めよう

身近な方を亡くされた直後は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。その中で、複雑で多岐にわたる手続きを進めるのは決して簡単なことではありません。焦らず、まずは全体像を把握し、一つずつ着実に終わらせることが大切です。
この記事で紹介した期限別のリストやチェックリストを活用し、計画的に進めていきましょう。また、今回の経験を通して、生前の準備の重要性を感じた方もいるかもしれません。これを機にエンディングノートの作り方を学んだり、無料のテンプレートを探してみるのも良いでしょう。
死亡後の手続きに関するよくある質問

死亡後の手続きを進める上では、様々な疑問や不安が生じるものです。ここでは、特に多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式で解説します。手続きにかかる費用や、専門家への依頼、借金の相続など、気になる項目を確認してみましょう。
もちろん、ここで紹介する内容がすべてではありません。個別の状況によって対応は異なるため、不明な点があれば、各手続きの窓口や専門家に相談することが重要です。ひとりで抱え込まず、周りの力も借りながら進めていきましょう。
手続きにかかる費用はどのくらいですか?
手続き自体にかかる費用は、主に書類の取得費用です。例えば、戸籍謄本は1通450円、印鑑証明書は1通300円程度が目安となります。相続手続きなどで多くの書類が必要になると、数千円から1万円程度かかることもあります。
この他に、相続税の申告を税理士に、不動産の名義変更を司法書士に依頼するなど、専門家への報酬が発生する場合があります。依頼する内容や財産の規模によって費用は大きく変動するため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
専門家に依頼すべき手続きはありますか?
ほとんどの手続きはご自身で進めることが可能ですが、専門的な知識が必要な場面では専門家の力を借りるのが賢明です。特に、遺産分割で揉めている、相続税の申告が必要、不動産の名義変更がある、といったケースでは専門家への相談を強く推奨します。
弁護士、司法書士、税理士、行政書士など、相談内容によって適切な専門家は異なります。何から始めればよいか分からない場合は、終活に関する本などを参考に、生前の準備について学ぶことも一つの手です。
故人の借金も相続しないといけませんか?
相続は、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐのが原則です。しかし、どうしても借金を相続したくない場合は、「相続放棄」という選択肢があります。これは、すべての財産を相続する権利を放棄する手続きです。
相続放棄は、自身のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。この期間を過ぎると原則として放棄できなくなるため、財産調査は迅速に行い、早めに判断することが重要です。
期限内に手続きが終わらないとどうなる?
手続きによっては、期限を過ぎると法的なペナルティが科される場合があります。例えば、死亡届の提出が遅れると過料(罰金)の対象になる可能性があります。また、相続税の申告が遅れると、延滞税などの追徴課税が発生します。
金銭的な不利益だけでなく、受け取れるはずだった給付金(埋葬料など)が請求できなくなるケースもあります。やむを得ない事情で期限に間に合わない場合は、速やかに提出先の窓口に相談しましょう。事情によっては、期限の延長が認められることもあります。
故人のスマホやSNSはどうすればいい?
故人のスマートフォンは、まず携帯電話会社に連絡して契約を解約します。未払いの機種代金が残っている場合は、相続人が支払う義務を負うので注意が必要です。解約前に、必要なデータ(写真や連絡先など)のバックアップを取っておくと良いでしょう。
FacebookなどのSNSアカウントは、遺族が手続きをすることで「追悼アカウント」に移行したり、アカウント自体を削除したりできます。故人のプライバシーに関わることなので、親族間でよく話し合ってから対応を決めることが大切です。