はじめに：枕を変えるだけで睡眠は変わる？高齢者にこそ枕選びが重要な理由
「最近、夜中に目が覚めてしまう」「朝起きると首や肩が凝っていてスッキリしない」といったお悩みはありませんか？年齢を重ねるにつれて変化する身体にとって、若い頃から使っている枕が合わなくなってくるのは自然なことです。合わない枕を使い続けると、知らず知らずのうちに首や肩に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまうことがあります。
この記事では、60代、70代以上のシニア世代の方々が快適な朝を迎えられるよう、高齢者向けの枕の選び方を専門的な視点から徹底解説します。ご自身にぴったりの枕を見つけるだけでなく、親御さんへのプレゼントを探している方にも役立つ情報をまとめました。自分に合う枕で、ぐっすり眠れる快適な毎日を取り戻しましょう。
【基本】失敗しない！高齢者のための枕の選び方5つのポイント
高齢者の枕選びで失敗しないためには、いくつかの重要なポイントがあります。なんとなくで選ぶのではなく、「高さ」「硬さ」「素材」「サイズ」「機能性」の5つの観点から、ご自身の身体に合う枕を見極めることが快眠への第一歩です。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
ポイント1：理想的な「高さ」で首への負担を軽減する
枕選びで最も重要なのが「高さ」です。枕の役割は、敷布団やマットレスと首の間にできる隙間を埋め、睡眠中の頸椎（首の骨）を自然なカーブに保つこと。高すぎても低すぎても首に負担がかかり、肩こりやいびきの原因になります。寝姿勢によって最適な高さが異なるため、ご自身がどちらの姿勢で寝ることが多いかを確認してみましょう。
仰向け寝の場合
仰向けで寝たときに、顔の角度が5度前後に傾くのが理想的な高さです。目線が真上より少し足元側に向かう状態を意識してください。後頭部から首筋にかけて枕がすき間なくフィットし、頸椎のカーブをしっかり支えてくれるものを選びましょう。高すぎる枕はあごが引けて気道を圧迫し、低すぎるとあごが上がってしまい首に負担がかかります。
横向き寝の場合
横向きで寝る場合は、頭から首、背骨までが一直線になる高さが理想です。肩幅があるため、仰向け寝用の枕よりも高さが必要になります。枕の高さが足りないと頭が下がって首に負担がかかり、逆に高すぎると首が不自然に曲がってしまいます。寝返りをうつことを考慮し、枕の中央が低く、両サイドが高めになっている形状のものがおすすめです。
ポイント2：寝返りをサポートする「硬さ・反発力」
寝返りは、睡眠中に体の同じ部分に負担がかかり続けるのを防ぎ、血行を促進するための重要な生理現象です。高齢になると筋力が低下し、寝返りの回数が減る傾向にあります。そのため、適度な反発力があり、スムーズに寝返りがうてる硬さの枕を選ぶことが大切です。
柔らかすぎる枕は頭が沈み込みすぎて寝返りがしにくく、逆に硬すぎる枕は頭部が安定せず、フィット感も得られにくいです。実際に触れてみて、頭を乗せたときにしっかりと支えてくれる安定感と、楽に左右に動ける反発力があるかを確認しましょう。
ポイント3：清潔さと快適さを保つ「素材・通気性」
人は寝ている間にたくさんの汗をかきます。枕を清潔に保つためには、使われている「素材」と「通気性」が重要です。特に高齢になると免疫力が低下することもあるため、衛生的な睡眠環境を整えることは健康維持にも繋がります。
パイプやファイバー素材など、通気性が良く、熱がこもりにくい素材は快適な眠りをサポートします。また、枕本体やカバーが丸洗いできるタイプであれば、汗や皮脂の汚れを洗い流し、ダニや雑菌の繁殖を防ぐことができます。定期的なお手入れのしやすさも、素材選びの重要な判断基準です。
ポイント4：体格や寝姿勢に合った「サイズ・形状」
枕の「サイズ」も寝心地を左右する大切な要素です。基本的なサイズは、頭が3つ収まる幅が目安とされています。寝返りをうっても頭が枕から落ちないよう、ゆとりのある横幅のものを選びましょう。一般的には横幅60cm以上あると安心です。
また、形状もさまざまです。首や肩口にフィットするようにカーブが設けられた「人間工学設計」の枕や、肩から背中まで支える大きめの枕など、悩みに合わせて開発されたアイテムがあります。ご自身の体格やベッドのサイズ、寝姿勢に合わせて最適なものを選びましょう。
ポイント5：安全に使える「機能性」｜介護にも
高齢者向けの枕には、安全に配慮した様々な機能を持つものがあります。例えば、誤嚥（ごえん）のリスクを軽減するために、少し上半身を高く保てるような傾斜のついた枕も開発されています。また、介護が必要な方の場合、寝たきりの姿勢でも安楽に過ごせるよう、体圧分散性に優れた枕が不可欠です。
こうした機能性枕は、利用者の状態に合わせて選ぶことが重要です。どのような機能が必要か、かかりつけ医やケアマネージャーに相談してみるのも良いでしょう。
【悩み・状態別】高齢者向け枕の選び方｜円背・寝たきり・頚椎症
基本的な選び方に加え、高齢者特有の身体の状態やお悩みに合わせた枕選びも重要です。ここでは「円背（猫背）」「介護・寝たきり」「頚椎症」の3つのケースについて、それぞれに適した枕の選び方を解説します。
円背（猫背）の方向け：背中から緩やかに支える枕
加齢とともに背中が丸くなる「円背（えんぱい）」の姿勢になると、普通の枕では頭が前に突き出てしまい、首や肩に大きな負担がかかります。円背の方の場合は、枕だけで高さを調整するのではなく、背中から後頭部にかけて緩やかな傾斜で支えることが大切です。
タオルケットなどを背中の下に敷いて高さを調整する方法もありますが、専用の「円背枕」や、背中から支える大きめの枕を使用するのがおすすめです。敷布団との間に大きなすき間ができないよう、身体全体でフィットするものを選びましょう。
介護・寝たきりの方向け：褥瘡（床ずれ）予防と安楽な姿勢を
寝たきりの方にとって、枕は単なる寝具ではなく、安楽な姿勢を保ち、褥瘡（じょくそう）を予防するための重要な介護用品です。同じ場所に圧力がかかり続けないよう、体圧分散性に優れた素材（ウレタンフォームやジェルなど）が使われた医療用・介護用の枕を選びましょう。
また、定期的に体の向きを変える「体位変換（たいへん）」の際には、身体の各部を支えるためのポジショニングクッションと組み合わせて使用します。枕の高さや当て方が適切でないと、呼吸のしづらさや拘縮（こうしゅく）につながるため、専門家の指導のもとで選定・使用することが望ましいです。通気性が良く、清潔を保ちやすいカバーかどうかも確認しましょう。
頚椎症など首に悩みがある方向け：首を安定させる形状を選ぶ
頚椎症やストレートネックなど、首に特定の症状がある場合は、枕選びに一層の注意が必要です。合わない枕は症状を悪化させる可能性があるため、首のカーブを自然な形で支え、しっかりと安定させてくれる枕を選ぶことが重要です。整形外科医が監修した枕や、頸椎のサポートに特化した形状の製品が人気です。
ただし、特定の疾患に対応する枕は、個人の症状によって合う・合わないが大きく分かれます。「頚椎症におすすめ」とされている枕でも、万人に合うわけではありません。購入前にはかかりつけの医師や理学療法士に相談することをおすすめします。
【2025年最新】ぐっすり眠れる！高齢者におすすめの枕ランキング7選
ここでは、これまで解説してきた選び方のポイントと、利用者の口コミや評判を基に厳選した、高齢者におすすめの枕をランキング形式でご紹介します。それぞれの枕の特徴を比較し、ご自身にぴったりの逸品を見つけてください。※価格は2025年8月調査時点のもので、変動する可能性があります。
【1位】ニトリ｜高さが10か所調整できるまくら(パイプ)
「自分に合う高さがわからない」という悩みを解決してくれる、究極の高さ調整枕です。頭、首、両サイドの計10か所を個別に調整でき、ミリ単位でのフィット感を追求できます。中材は通気性の良いパイプ素材で、丸洗いも可能。まずは手頃な価格で失敗のない枕選びを始めたい、という全ての方におすすめできる鉄板のアイテムです。
【価格】約4,990円（税込）
【2位】西川｜医師がすすめる健康枕 もっと肩楽寝
寝具の老舗・西川と整形外科医が共同開発した、肩こりに悩む方のための枕。首と肩口にフィットする特殊なアーチ形状が、肩への圧力を軽減し、リラックスした寝姿勢をサポートします。付属のシートで簡単に高さ調整ができるのも魅力。長年の実績と信頼性で、プレゼントとしても安心して選べる一品です。
【価格】約6,600円（税込）
【3位】タナカふとんサービス｜guguスリープ
「枕がずれてしまう」「背中のすき間が気になる」という方におすすめの、肩から背中までを広く支えるワイド枕。上半身全体で体圧を分散させることで、一点にかかる負担を劇的に軽減します。円背気味で普通の枕が合いにくい方にも最適。大きな安心感に包まれるような寝心地を提供してくれます。
【価格】約19,800円（税込）
【4位】CURE:RE（キュアレ）｜THE MAKURA
「何を試してもダメだった」という深刻な首の悩みを抱える方に、最終手段として選ばれている整体枕。特許取得の三段構造が頚椎をフリーな状態に導き、首に一切の負担をかけない寝姿勢を実現します。価格は高価ですが、長年の悩みを本気で解決したいと願う方から絶大な支持を得ています。まさに「治療」に近い感覚の枕です。
【価格】約39,600円（税込）
【5位】Technogel®｜テクノジェル ピロー
医療用に開発されたジェル素材「テクノジェル」を贅沢に使用した枕です。上下左右に動く性質を持つジェルが、どんな寝姿勢にも吸い付くようにフィット。優れた体圧分散性で、首や頭への負担を極限まで減らします。横向き寝の際も肩が圧迫されにくく、スムーズな寝返りをサポート。唯一無二のフィット感を求める方におすすめです。
【価格】約28,600円（税込）～
【6位】MOGU｜体位変換に使いやすい筒形クッション
こちらは寝るための枕とは少し異なりますが、介護や寝たきりの方の姿勢保持（ポジショニング）に絶大な効果を発揮するクッションです。パウダービーズ®の流動性が身体の形に合わせ、膝下や背中などのすき間を優しく埋めます。安楽な姿勢を保ち、褥瘡予防に繋がるため、介護の現場で広く活用されています。
【価格】約4,180円（税込）
【7位】太陽｜ヒツジのいらない枕 -至極-
活性炭を練り込んだTPE（熱可塑性エラストマー）素材の格子構造が特徴的な新感覚の枕。バケツの水をかけて丸洗いできるほどの圧倒的な通気性と、柔らかいのに沈み込みすぎない絶妙なフィット感が魅力です。汗をかきやすい方や、常に清潔な状態を保ちたい衛生面を重視する方に、ぜひ試していただきたい逸品です。
【価格】約15,800円（税込）
購入前にチェック！枕を試す方法と返品・交換保証の重要性
枕は、カタログスペックだけでは自分に合うかどうかの判断が難しい寝具です。購入後に「合わなかった」と後悔しないためにも、可能な限り試してから購入することをおすすめします。寝具専門店のショールームやデパートの売り場では、専門の販売員に相談しながら実際に試すことができます。
また、オンラインストアで購入する場合は、「お試し期間」や「返品・交換保証」が付いているかを必ず確認しましょう。自宅のベッドで一定期間試すことができれば、より正確なフィット感を確認できます。安心して購入するために、保証制度が充実しているメーカーや販売店を選ぶことが重要です。
まとめ：自分に合う枕で、首が楽になる快適な毎日を
今回は、高齢者の方に向けた枕の選び方から、具体的なおすすめ商品までを詳しく解説しました。自分にぴったりの枕を見つけることは、単に寝心地が良くなるだけでなく、日中の活動意欲や心身の健康にも繋がる大切な投資です。
この記事でご紹介した5つの選び方のポイント（高さ・硬さ・素材・サイズ・機能性）を参考に、ご自身の身体の状態や悩みに合った枕を探してみてください。あなたに最適な枕が、ぐっすり眠れる快適な毎日をもたらしてくれることを願っています。
高齢者の枕選びに関するよくある質問
最後に、高齢者の枕選びに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。枕選びの際の参考にしてください。
枕の理想的な高さはどれくらい？高い枕の危険性とは？
理想的な枕の高さは、仰向け寝では首のカーブを自然に支え、横向き寝では頭から背骨が一直線になる高さです。体格によって異なりますが、一般的に敷布団から首の最も深い部分までが5～8cm程度とされます。高すぎる枕は、首の圧迫や神経への負担、呼吸のしづらさにつながる危険性があります。特に高齢者の場合、血行不良の原因にもなりうるため、高すぎる枕は避けるべきです。
枕は硬めと柔らかめ、どちらが良いですか？
一概にどちらが良いとは言えず、好みと機能性のバランスで選ぶことが大切です。柔らかい枕はフィット感が高いですが、頭が沈み込みすぎて寝返りがしにくい場合があります。硬い枕は頭が安定しやすく寝返りしやすいですが、フィット感が得にくいことも。高齢者の方には、頭をしっかり支え、スムーズに寝返りがうてる「適度な硬さと反発力」がある枕をおすすめします。
枕が合わないサインと交換時期の目安を教えてください
「朝起きたときに首や肩が痛い」「夜中に何度も目が覚める」「寝ても疲れがとれない」「いびきをかくようになった」といった症状は、枕が合わないサインかもしれません。枕の寿命は素材によって異なりますが、一般的にはウレタンで2～5年、パイプで3～5年が目安です。見た目にへたりがあったり、頭を乗せたときに底付き感があったりする場合は、交換を検討しましょう。
ストレートネックや頚椎症の場合、枕はどうすればいいですか？
ストレートネックや頚椎症の方は、首のカーブを優しくサポートしてくれる枕が推奨されます。首元が少し高くなり、後頭部がフィットするような形状のものがおすすめです。ただし、症状の程度によって最適な枕は異なります。自己判断で選ぶと症状を悪化させる可能性もあるため、まずはかかりつけの医師や理学療法士などの専門家に相談することが最も安全で確実です。